
今回のブログもカタログネタをやらせていただきます。
本当はある70年代の日産車をやりたかったのですが、残念ながらカタログを持ってない為、同じ日産車でも80年代でしかももはや忘れられそうなオースターJXの後期型でいってみようかと思います。
オースターJX、スタンザFX、バイオレット・リベルタことT11/PT11型は日産が社運をかけて開発したブルーバードとサニーの間に位置する中間車種でまだまだFR(フロントエンジン・リヤドライブ)が主流だった昭和56(1981)年6月デビュー。先代A10/A11までのFRレイアウトと既存のエンジンから一転、パワートレーンからなにから完全新設計で登場したものの開発を急いだあまり完成度が低かったのと、あまりに先進的なスタイルが理解されず、車格よりも小さく見える見た目の割に高すぎる価格、各車適切な販売網に割り当てられてなかったなどといった様々な要因が絡んで販売は低迷、希代の不人気車というのが定説になってしまっています。
オースターJX 4ドアセダン前期型
オースターJX 3ドアハッチバック前期型
余談ですが会社の先輩がこのオースターJXを「シトロエン・オースター」と言っていました。そう言われれば似てますね (笑
今も語り草になっているのは先進的なスタイルの前期型で、マイナーチェンジ後の後期型はもはやすっかり忘れられた存在になっています。そういえば10モード燃費を重視し過ぎた高すぎるギヤ比は果たして後期型では改良されたのであろうか?この疑問から今回のブログテーマが決定したのでありました (笑
バイオレット・リベルタは1年で生産中止されてますので後期型は存在せず、オースターJXとスタンザFXで、たまたまカタログを持ってましたオースターJXの方をご紹介していきましょう。
まずは表紙から。

昭和58(1983)年6月にマイナーチェンジが行われましたが、このカタログは昭和58年8月発行のものになります。
この年日産自動車は創立50周年を迎えまして、この表紙の右下に表記されています。
なぜこのカタログを持っているのかと言いますと、前期型オースターJXのカタログをヤフオクで物色していた際に前期後期セットで更に低価格だったのにつられて落札したんです (^^;
入手理由こそ積極的理由ではなかったものの今では大変貴重な資料、入手出来て良かったです!
表紙をめくって順次紹介していきましょう!

シトロエンにこそ似ていたものの(笑)新味のあった前期型から一転どっかで見たような感じに変わっております (汗
特に4ヶ月後にフルモデル・チェンジされたU11ブルーバードに瓜二つですねぇ!
みん友
demyさんが白/ギンツートンに塗り替えたオースターJXに乗り換えても誰も気付かないでしょうなぁ (爆
スマソdemyさん画像無断拝借させていただきました (^^;
元来、オースターはスポーティさを強調したモデルでしたが、ここにきて一転ファミリー路線へ変更されています。前期型にあった強化サスペンション、アルミロードホイール標準の「GT-ES」はカタログ落ちしております。

トップグレードのセダン1800GT-EX。
EGI仕様でオプションのアルミロードホイール装着車です。
こうして見るとプロテクトモールのデザイン変更や全車カラードバンパー装着等見た目の品質向上がされているのがわかります。

セダン1800GS-X。
1800シングルキャブレター仕様では一番上のグレードですが、GT-EXに比べ若干装備が簡略化されてます。
赤のオースターJXはなかなかイメージが湧かないですね。
この時代のFFセダンは広い室内空間を重視していた傾向があってこのT11もしかりですが、B11サニーやE80カローラ、ワンダーシビックセダンなど、どれも人に例えると6頭身プロポーションとでも言いましょうかどれもずんぐりしたスタイルを採ってました。
この画像ですと幅の狭さと車高の高さがより強調されて、よりずんぐりと見えてしまってます。
この当時まだまだ車格以上に大きく見える事が重視されていましたから、反対に車格より小さく見えたT11系は敬遠された理由のひとつだったのでしょうね。

セダンGT-EXのインパネ。
前期型に対してオーディオと空調のフィニッシャーが黒からシルバーに変更されていてベンチレーター下にモールが加えられて見た目の向上をしております。
細かいところでは前期型ではハザートSWとパーキングSWが別体だったのが一体に変更されて、リモコンミラーSWの形状も変更されています。
プッシュ式の空調SWは新しかったもののオーディオはDIN規格になりつつあった時に独自のものを採用していたのにはやや遅れを感じたものでしたねぇ。

セダンGT-EXの室内。
前期型に対しとにかくしょぼかった見た目を変更されています。
シート生地やリヤスピーカーカバー、メータークラスターの変更とセンターコンソールが追加されてます。
前期型と共通ですが、リヤドア内に埋め込まれてますアームレストに他車には見られない独特さが感じられます。

ハッチバックGT-EX。
これはセダン以上に激レアで実車を見た記憶がないです (汗
元々丸みを帯びたスタイルなのにフロントノーズのみ角張らせたので、セダン以上に違和感あるスタイルです。
みん友コタローさんが
目撃してますが、もう8年も前ですからねぇ、今も現役であることを願って止みません、ハイ・・・(^^;

ハッチバックGT-EXの室内。
リヤサイドウィンドゥがサイドブレーキレバー後にあるレバーで開閉出来るのが目を惹きます。
親父の勤めていた会社の社用車のB11サニー・カリフォルニアにもこれがありました。確かあれは左側だけでしたかねぇ。

エンジンは全てSOHC。
CA16 キャブレター仕様 CA18 キャブレター仕様 CA18E EGIインジェクション仕様の3種類。
この時代はパワーウォーズ真っただ中でターボやツインカム、はたまたツインカムターボまで普通のセダンに続々と追加発売されてましたが、T11は最後までこのようなハイパワーモデルの追加はありませんでした。
マニュアル車のハイギヤードなギヤ比は後期型になっても変更はなく、そのギヤ比でもって達成した1600cc車の4速、5速マニュアル車の10モード燃費は14.5km/l。
1600cc5速マニュアル車と1800cc5速マニュアル車のギヤ比は
1600(CA16) 1800(CA18・CA18E)
1速 3.333 3.063
2速 1.955 1.826
3速 1.286 1.207
4速 0.902 1.207
5速 0.733 0.733
後退 3.147 3.471
最終減速比 3.650 3.895
となっております。尚4速マニュアル車は5速がないだけで他は全く同一の数値です。
参考までにU11ブルーバードのCA18、CA18E車は全く同一の数値でそのままT11のマニュアルトランスミッションを流用したのだと思われます。CA16車は終減速比のみ変更されてました。
10モード燃費は車重が重い分U11ブルは低下してますが、何故か一番廉価の1600Lのみ15.2km/lと向上しています。
T11がほぼ全て1トン切っている車重に対してU11ブル1600Lは1010kg、エンジンスペックやギヤ比は他の1600と同一、すぐ上の1600LXとの重量差20kgのみにも関わらず1600LXとは10モード燃費が1.2km/lも違うのがどうしてなのか不思議です。
シフトパターンは4速、5速マニュアルと3速ロックアップ付オートマチックの3種類。
4速オートマチックが普及しつつある中でロックアップ付とはいえ3速オートマチックでしたので、ここでも残念ながら他車に比べて見劣りしましたね。

明るくルーミーな室内と快適性を説明されてます。
最廉価グレードまでに渡って全車ドアミラー標準装備、しかもフェンダーミラー車もメーカーオプションで全車選択できました。最廉価グレードがフェンダーミラーのみのクルマが多かったこの時代では良心的といえるでしょう。

トランクの容量の大きさ、室内の収納ポケットの豊富さと装備品の説明です。
最上級グレードのGT-EXにはこの後期型からフルホイールカバーが標準装備されます。
プラスチック製のフルホイールカバーを見ると最近のクルマのような感じもしますが、もう34年も前のクルマなんですねぇ・・・(汗

セダン1600シリーズ。
前期の1600は全車無塗装の樹脂バンパーにドアモールなしでしたから価格の割にかなり安っぽかったのですが、それに比べれば大幅に見た目の向上をしております。
但し全車パワーステアリングはメーカーオプション、パワーウィンドゥに関しましては設定なしでした。

セダン1800シリーズ。
前期にあった1800GSは1800GS-Lにグレード名を変更されています。

ハッチバックシリーズ。
1600、1800シングルキャブ、1800EGIにそれぞれ1グレードとセダンに比べグレードは僅かな設定。因みに前期では5グレードもありました。
尚ハッチバックは5速マニュアルとロックアップ付3速オートマチックのみの設定。

装備一覧表

主要諸元表
右下のパルサー販売店のサービス体制の説明写真
巨大なニッサルコの整備機器が時代を感じさせます。これは実物見た事ないですね。
赤いクルマは
エクサーマン快鳥が激しく反応しそうですが・・・(爆

裏表紙
個人的にはかなり馴染みが深い日産車の中でもこのクルマに関しましてはほぼ接点がなく(しいて言えばセダンの解体車から50周年エンブレムを取り外した位)、思い入れも然程強くない為ブログ化するのにはかなり骨が折れましたが、ほぼ忘れ去られそうなT11オースターJX後期型をあえて引っ張り出して話題にして目に留めていただければと思ったからなんです。それと先にも言いました高すぎるマニュアル車のギヤ比が後期型では改善されたかどうかも気になりましたからねぇ。おかげで1800に関してはU11ブルにまで継続使用された事まで知る事が出来ました。
人気のハチマル車の中でも一向に語られる事のないT11オースターJX後期型をぜひ思い起こしていただければ幸いです。