一番の目的だった園内バスですが、この暑さで来場者が少ないせいか残念ながら運休でした。ただ、そのおかげで1台1台をじっくり見て回る事ができました。
初めに概要を述べると、ここに在籍するバスは基本的に福島交通の中古車を使っています。
まずは現在活躍しているバスをご紹介。

現在の主力は初代三菱ふそう エアロスターで、最も台数が多いです。車内は懐かしい板張りの床でした。
小学生の頃に福島へ家族旅行した際、駅から土湯温泉まで乗った路線バスが福島交通のこのエアロスターでした。その頃と同じクルマだと思うと懐かしいです。


車体に書かれた文字の書体から、ごく最近入ってきた物と思われますが、それでも平成元年式の三菱ふそう エアロミディ(P-MK117J)です。地元の庄内交通でも長年このクルマが主力でしたが、近年急速に置き換えられ全く見かけなくなってしまいました。そういった意味で、こちらも非常に懐かしいです。



まさかこのタイプが現役だとは思いませんでした。1986年式の三菱ふそう P-MM516Hです。個人的にこの顔は貸切バスよりも、施設や旅館の送迎バスというイメージが強いですね。こちらもすっかり見かけなくなりましたが、今でも使っている所は他にもありそうです。


懐かしいバスとの出会いはまだ続きます。この2代目日産 シビリアンは幼稚園の頃、通園バスとして2台使われていました。手持ちのカタログから判断するに、一部を除いて角目ライトが標準になった84~85年以降のDXだと思われます。 (当時幼稚園にあった物は丸目の最初期型DX) これと全く同じ型が地元にある料亭の送迎バスとして現役ですが、今も元気だろうか…?

北村製作所製車体のいすゞ ジャーニーQ。 このクルマも庄内交通に数台在籍していましたが、いつの間にか姿を消しました。現役に遭遇したのは実に数年ぶりです。


1988年式の日野 レインボー(P-RJ170B)。ほぼ同じ車体のまま近年まで生産されていたレインボーRJの初期型です。丸目2灯ライトが特徴的なこのクルマも昔、庄内交通に在籍していました。現在は新しい世代のRJが中古で数台入り、活躍しています。

パークの事務所へ向かう途中にも4台停まっていました。左の7B車は東北サファリパークのCMにもちらっと出演しています。
事務所に戻るとちょうどバス担当の方も戻っていたため、ご挨拶の後その方の案内で、パーク関係者以外は立ち入れない場所へと移動しました。
※※おことわり※※
これ以降の写真は、事前に入念な交渉を行った上で立ち入り及び写真の掲載について特別に許可を頂いたものです。写真のみの転載はご遠慮ください。
その一角に……
トラ1号は待っていました。
1979年式 三菱ふそう フルデッカー 「トラ1号」
事前の交渉で状態は悪いと聞いていましたが、予想以上の程度の良さに驚きました…
担当の方曰く、なんと引退したのはつい2年前。理由はやはり部品の確保が難しくなってきた事に加え、冷房が故障した事が引導を渡してしまったようです。
恐らくこれが、フルデッカー最後の現役車だったかも知れません…
因みに、いつ頃ここへやってきたのかについては担当の方もわからず、詳しい経歴を知る事はできませんでした。

同じく名車であるパノラマデッカーに共通するライト周りの縁取りに加え、フロントガラス上部の大きな天窓、そして独特な配置の3連ワイパーがフルデッカーの特徴。この顔を生で見たかったのです…! 「東北サファリパーク」の名称板がいい味出してますねぇ。

シリアルプレート。型式K-MS615S エンジンは名機8DC9。



シートの破れこそありますが、車内も非常に綺麗でした。8トラデッキがたまりません。



今のバスにはない無骨な運転席。丸いホーンボタンのハンドルと長いシフトレバーが懐かしいです。走行距離計は121864Km。果たして何周しているのでしょうか…?

福島交通で、そしてここで現役だった時代、この天窓にはどんな景色が映っていったのか…? つい考えてしまいます。
(尤も、車内はサウナ状態だったので長くは居られませんでしたが…)

一通り見た後も、ここでしばし見入っていました…



因みに「トラ2号」も存在し、こちらは平成元年式の日産ディーゼル P-RA53T。残念ながらトラ1号と同時期に引退してしまったようです。このクルマも、高校時代に同型車がスクールバスとして使われていたので懐かしいですね。今はどうなっているのだろうか…?


資材運搬に使っているのか、こんな素敵な色のトラックもいました。デコトラの新しいカスタムとしてどうでしょう?(笑)


こちらはパークの送迎バス。なんと初代三菱ふそう エアロバスが2台も現役! 他にエアロクイーンMVもいましたが、既に引退していました。
後に調べてわかった事ですが、トラ1号も導入当初は送迎バスとして使われていたようです。


うち1台は帰り際、我々を見送るかのように正門まで出てきました。
一昔前の大型車特有の低く唸る力強いエンジン音に痺れます…
郷愁と感動と名残惜しさを感じつつ、パークを後にしました。
~~おわりに~~
とまあ、園内バス目当てでサファリパークへ行くという前代未聞の旅だったわけですが、数十年ぶりに改めて体験してみると、色々な意味であの頃より楽しかったです。トラ1号との邂逅から始まったこの旅は、私にとってもAちゃん氏にとっても非常に濃密で有意義なものとなりました。
そのトラ1号は廃車の処分が進んでいる事もあって、いずれ消え去る運命にあります。万が一、本当に万が一ですが、この訪問がきっかけで良い方向に動きがあれば…と願ってやみません。
最後に、親切に対応して下さったパークの皆様、お忙しい中案内して下さったバス担当の方には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。そして、その日一日運転してくれたAちゃん氏は本当にお疲れさまでした。
~~おまけ~~


パーク内で見つけた看板。園内バス、代車、エビスサーキットを含めて、ここがクルマ好きにも楽しめるスポットである事を暗に語っているような気がします。てかハコスカやスバル360が代車だったら凄すぎますよ(笑)

帰りに乗った庄内交通の高速バス。よく考えたらエアロエースはフルデッカーの現代の子孫とも言えます。
かつてのトラ1号の雄姿を収めた記事を見つけました。今から7年前、エビスサーキットでこんな走行会があったんですね…。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~bus-no-album/97603697/index.html
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2017/07/31 17:52:32