
ついに平成が終わり、令和の時代が始まりましたね。これまでにも増して良い時代になってくれる事を切に願うばかりです。
そんな私は平成が終わろうとしていた今月26日、県内の最上町は瀬見温泉にある、あの銀山温泉を超える県内最古の築年数を誇る旅館、喜至楼に宿泊してきました。
私が初めてここを訪れたのは小5~6年の頃。その時は日帰り入浴でしたが、子供心にその佇まいと、ほとんど昔のままの内装に衝撃を受けたものでした。それから月日は流れ、6年前をきっかけに以降3回も泊まりに行き、その度にこの宿の魅力を深く知る事となったのです。
歴史的な瞬間を前にした今回、特別な想いを胸に再びここを訪れました。

当日の現地は雨模様。過去3回とも天気に恵まれただけに少し残念でしたね。

ともあれまずは昼食。温泉街の入口にある「やまや食堂」にて頂きました。ここも昔から続いているだけあって、ノスタルジックな店内に癒されます。今回は親子丼を頂きましたが、甘みの強いタレがなんとも美味でした。こごみのクルミ和えなどをサービスしてくれたのも嬉しかったです。

見えてきました。

その威容を前にした瞬間、心は現実から解き放たれる。

間もなく5つ目の時代を迎えようとしている、明治元年(1868年)建築の本館。その空気を感じたいがために、今回の宿泊を決めたのです。
名前と造りから元遊郭のように見えますが、これは創業者の上嶋喜四郎の当て字が由来で、当初から純粋な旅館です。
それにしても「喜」びに「至」る「楼」閣とは、なんと粋でこの威容に相応しい言葉であろうか。

向かって右が先程の本館及び大正時代に建てられた大浴場/本館客室棟、中央が厨房のある棟で、左が別館。時代と共に建て増しを繰り返した建物でもあります。

昭和30年代に建築された別館が、喜至楼で最も新しい建物。いつかデボネアをお迎えした暁には、この玄関前で当時の広告っぽく写真を撮ってみたいもの。その時まで健在であってほしい建物の一つです。

フロントでチェックインを済ませます。2食付きで頼んだおととしの前回を除き、今回も朝食のみのプランで予約しました。夕食こそ持ち込みの自炊になりますが、歴史ある本館の部屋が充てられる上に一人1泊なら¥5000以内で泊まれる個人的におすすめのプランです。
今回、本館の大掃除がまだ終わっていないそうで別館への宿泊になる予定でした
が、ちょうど使える部屋が1つあるとの事で、無事本館の部屋に落ち着きました。
おや? カウンターの左側にあるのは…

なんと私の描いたイラストでした! これまでの宿泊で受けた感銘から製作に至り、前回寄贈した物ですが、まさかこんな目立つ場所に飾ってくださるとは… とても嬉しいですが、ちょっぴり恥ずかしいですね。
ここに描いたキャラクター達のモデルは、館内のどこかにいます。宿泊する機会がありましたら、是非探してみてくださいね。

さてお部屋へ。前回と同じ角部屋でした。個人的に、窓が多く見晴らしが良い角部屋は本館で最もおすすめです。
鯉の彫り物があしらわれた飾り窓が目を引きますが、コレには凄い秘密が…
因みに、前述の理由で本館が貸切状態なので他の部屋も覗いてみましたが、飾り窓があるのはこの部屋だけでした。

行く途中で買った夕食を済ませ、喜至楼が誇るローマ式千人風呂へ。ここが造られた大正年間、ローマ風呂は大浴場の様式の一つとして流行っていたようです。所々剥がれ落ちたタイルにも、歴史の重みをひしひしと感じます…
天気のせいかお湯は濁っていましたが、今回もいい湯加減でした。

壁面にタイルで描かれたローマ人(?)の男女。前述のイラストに描いたキャラクターのモデルの1つです。恐らく千人風呂の完成と同時に描かれたと思われ、それから2人が過ごしてきた年月を考えるとつい見入ってしまいますね…
真夜中、風呂場に明かりが灯り、湯船に2つの人影が見えたなら、それはきっとこの2人でしょう……なんて。そう思いたくなるほどの空間です。

足元を流れる最上小国川のせせらぎと、向かいを走る陸羽東線から時折聞こえてくる列車の音に耳を澄ませつつ、次の日の朝を迎えました。

もう一つの大浴場、オランダ風呂にて朝風呂。こちらの名前の由来はHPの記載によると、竣工当初周囲に高い建物がなく見晴らしが良かった事が、ヨーロッパによくある温泉の形式に似ていた為に先代が名付けたそう。今は何も見えませんが、静かで落ち着いた雰囲気のお風呂です。

今回の朝食は、鮎の開きの塩焼きと湯豆腐がついてちょっと豪華でした。

いよいよお別れの時。天気だけが残念でしたが、今回も素敵な2日間を満喫できました。いつかまた、泊まる機会ができるといいです。
<その他館内の写真は
フォトアルバムにて>
令和の時代を迎えてもなお、この旅館がその歴史的価値と共に、いつも何度でも、私も含めちょっとだけ現実から離れたくなった人達の癒しの場であり続ける事を願って。
~~寄り道と余談~~

愛車紹介のプレオの写真を撮った中山平温泉駅前のC58 356号に再び会いに行ってきましたが、何やら柵で囲われていました。あの時と比べ手入れもされていない様子を見るに、まさか解体されてしまうのでは… 陸羽東線ゆかりの機関車だけあり、これが修繕のための措置である事を願わずにはいられません。

今回、偶然場所を知った堺田駅前の分水嶺。天気さえ良ければじっくり見られたのですが…

去年8月の豪雨で被害を受けた、川の駅 ヤナ茶屋もがみにある吊り橋は撤去されていました。ヤナ場と共にここのシンボルなので復旧が待たれます。ここの近くだけあってあの時は瀬見温泉の事も非常に心配でしたが、何事も無かったのでホッとしています。

帰り道の昼食は、前回の行きで初めて立ち寄った芭蕉ドライブインにて。
バイパスドライブインには負けますが、こちらも昭和のドライブインの佇まいを色濃く残す物件です。玄関に置かれたピカデリーサーカスも健在でした。

今回は豚骨ラーメンを注文。もっちりした縮れ麺にややあっさり目のスープがよく絡む、癖のない美味しさでした。

ここの昔の写真が2枚飾られており、1枚目は創業当時の建物ですが…

現在の建物に変わった2枚目のこの写真!! 嗚呼、この風景を再現してみたい……!という事で、いつかデボネa(略)

中山平温泉駅へと向かう途中、なんと現役の日産 クリッパーに遭遇! 県内で見たのは初めてです。
キャブオールの姉妹車となった3代目で、先代から引き継いだプロペラグリルが特徴。この代で最後になりましたが、後にミニキャブ-キャリイ/エブリイのOEMで復活したのはご存知の通り。個人的には、オプション扱いでもいいのでプロペラグリルを用意してほしかったです。
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Posted at
2019/05/01 13:07:39