
アイアン・メイデンのファーストアルバム
『鋼鉄の処女』は、1980年4月14日にリリースされました。
今から、40年も前の事です。
解散の危機も何度かありましたが、40年間途切れる事なく第一線でヘビーメタルを牽引し続けられているのはとても偉大なことだと思います。
ただし、長く続けているバンドだからこそ音楽性の違いや、考え方の違い等もありメンバーが入れ替わる事はあります。
そのメンバーの入れ替わりが楽器であれば、まだ何とか違和感を感じる事は少ないです。
しかし、入れ替わったメンバーがボーカリストだったりすると完全にバンドとしての雰囲気がガラッと変わってしまいます。
アイアン・メイデンもそういった大物バンドの例にもれず、過去に何度かボーカリストの入れ替わりが行われています。
『鋼鉄の処女』でデビューした時のボーカリストはポール・ディアノでした。
そして1982年にボーカリストがポール・ディアノから
ブルース・ディッキンソンに変わり発表されたアルバムが
3rdアルバム『魔力の刻印』です。
ブルースに変わった事で、ポールのパンクっぽい歌唱スタイルから、よりハードロックっぽい歌唱スタイルに変化しました。
しかし、大きな変化ではありましたが、ブルースは声域の広さと圧倒的な表現力でポール以上の評価を獲得することに成功したのではないかと思います。
そんな評価の高かったブルースですが、諸般の事情により1993年にアイアン・メイデンを脱退する事となったのです。
ブルースの後を引き継ぎ1994年に加入したのはブレイズ・ベイリーです。
そしてブレイズ・ベイリー加入後に発表されたのが今回のアルバム『Xファクター(The X Factor)』(1994年)です。
今作のアルバムのメンバーは、
ベース :スティーヴ・ハリス
ボーカル:ブレイズ・ベイリー
ギター :ディヴ・マーレイ
ヤニック・ガーズ
ドラム :ニコ・マクブレイン
の5人編成となっています。
収録曲は、
01 サイン・オブ・ザ・クロス(Sign Of The Cross)
02 ロード・オブ・ザ・フライズ(Lord Of The Flies)
03 マン・オン・ジ・エッジ(Man On The Edge)
04 フォーチュンズ・オブ・ウォー(Fortunes Of War)
05 ルック・フォー・ザ・トゥルース(Look For The Truth)
06 ジ・アフターマス(The Aftermath)
07 ジャッジメント・オブ・ヘヴン(Judgement Of Heaven)
08 ブラッド・オン・ザ・ワールズ・ハンズ(Blood On The World's Hands)
09 ジ・エッジ・オブ・ダークネス(The Edge Of Darkness)
10 2 AM
11 ジ・アンビリーヴァー(The Unbeliever)
全部で11曲70分越えの超大作となっています。
このアルバム『Xファクター』は新ボーカリストのお披露目ということもあってか、全曲にわたり力の入った大作となっています。
大作にこだわり過ぎているため、ヘビーメタルというよりはプログレッシブロックのアルバムの様になってしまっており、ボーカリストが変わった事も相まって従来からのアイアン・メイデンファンに敬遠されてしまう結果になってしまったようです。
しかし、改めて聴いてみると現在のアイアン・メイデンに至る過程として、この様な作風の作品もありだと思います。ただ、全曲この調子はさすがにきついかな…。
また、ブレイズ・ベイリーについても、彼がいなければアイアン・メイデンというバンドが1993年に終わっていたかもしれないと考えると、彼はアイアン・メイデンの救世主であったと思います。
では、曲紹介へGO!!
いきなり11分越えの大作、サイン・オブ・ザ・クロス(Sign Of The Cross)。
静かに曲が始まり、淡々とした調子で曲は進みます。
が、このままでは曲は終わりません、4:30からのインストパートは聴きごたえあります。
さらに7:30から激しさを増しします。カッコいいです。
3曲目、マン・オン・ジ・エッジ(Man On The Edge)。
このアルバム本編で唯一(?)のストレートなヘビーメタルナンバーです。
スピード感がいい、やっぱこれだね!!
4曲目です。
またまた7分越えの大作、フォーチュンズ・オブ・ウォー(Fortunes Of War)。
この曲も、ゆったり始まり途中から早くなるパターンの曲です。
5:30くらいから『来た来た!!』って感じが、カッコいいです。
そんな本編の最後の曲。
11曲目、ジ・アンビリーヴァー(The Unbeliever)。
この曲も8分越え…。説明するまでも無いですね。
聴きどころは、3:40くらいからです。
以上の様に、このアルバムは、1曲、1曲の完成度はかなり高くカッコいいです。
唯一の欠点は、超大作を集め過ぎてしまった事。
内容が濃すぎて聴き終わった後に疲れます。
ストレートな聴きやすい曲が何曲か混じって入ればもっと多くの人に受け入れられたのではないかなと思います。

という事で、日本版ボーナスディスクです。
現在販売中のものに付いているのか不明ですが、当時のものにはボーナスディスクが付いていました。
収録曲は、
01 ジャスティス・オブ・ザ・ピース(Justice Of The Peace)
02 アイ・リブ・マイ・ウェイ(I Live My Way)
03 ジャッジメント・デイ(Judgement Day)
の3曲です。
これ、ある意味おすすめです。
本編を聴いた後の欲求不満が解消されます。
ジャスティス・オブ・ザ・ピース(Justice Of The Peace)。
そうそう、これこれ、コレが聴きたかったんだよねー。
って感じの曲が3曲続きます。

アイアン・メイデンのアルバムの中でも1、2を争う問題作、『Xファクター』。
アイアン・メイデン初心者にはけっしておすすめできるようなアルバムでは無いですが、アイアン・メイデンの事をより深く知りたい人には、アイアン・メイデンの歴史の中で重要な転機となったアルバムなので一度は聴いていただきたいですね。