
運転技術の話しかな?セッティングの話かな?
私は泥沼にハマって数年間苦しい思いをした経験があります。
同じように苦しんでいる人に少しでも役に立てればと思い、今回はFFの前後タイヤの組み合わせについて徒然なるままに書こうと思います。
自分で理解している内容は、どんどんオープンにします行動の一環です。
FFに乗っている人のタイヤのセッティングは二つのタイプに分かれます。
それは
フロント・リアタイヤ(F=R)とも太い人
と
フロントタイヤが太くてリアタイヤ が細いひと(F>R)
です。
もう、これは流派だと思うんですよ(笑)
(F=R)=4輪グリップ流
と、
(F>R)=とっとと曲げたい流
という流派です。
それについて徒然なるままに書こうと思います。
FFのタイヤサイズ選びって人それぞれ違いますよね。
某スイフトの人は(F>R)ですし、私の知っている凄く速くて巧いアクセラ乗りの方達も(F>R)です。
ですが、ユイレーシングスクールで相談したら前後同サイズが鉄則と言われました。
どちらが正しいのか?
そんな流れからのお話しです。
全て私の考えで正解かどうかはわかりませんので、その辺はご自分でご判断ください。
また、次のことを前提にします。
・両流派とも限界までタイヤグリップを使い切れることとする。 ←これが一番重要
・サーキットでタイムを求める場合に限定する。
・両流派ともフロントタイヤは同サイズとする。
・(F>R)の後タイヤは、前タイヤよりも2サイズ以上細いタイヤとする。
○4輪グリップ流(F=R)
まず純正サイズに着目すると、FFは前後同サイズですよね。
ということは、万人が安全に走ることが出来る基本形ということです。
この場合のメリット、デメリットは次の通りです。
-メリット-
1. コーナリングスピードが速い
横グリップの総和(4本の横グリップの和)が大きいため、コーナリングスピードが速い。
これが(F=R)の最大の武器です。
前後タイヤのスリップアングルを最大で一定にした状態が一番理想的なコーナリングになります。
言うは易しで、これは非常に難しいです。
逆に、コレを考えて走らせられる人は(F=R)でも早いタイムを出せます。
2.直進安定性・急ブレーキ時の安定性に優れる
当たり前の事だから気が付きませんが、これはとても大事なことです。
失った時に気が付きます(笑)
フロント+リアタイヤの4本で制動できるので、車体が安定した状態で減速できます。
-デメリット-
1. 基本的にアンダーステア
上述しましたが、FFはアンダーステアが宿命です。
縦と横を使っているフロントタイヤのスリップアングル限界が、横だけを使っているリアタイヤのスリップアングル限界より低いためです。
ただ、アンダーステアは悪ではなく、危ないときはアクセルを離せば何とかなるという利点でもあります。
ということで、4輪グリップ流の真骨頂は
「速いコーナリング」
にあり、物理的な横グリップを如何に使い尽くすかを求めていく必要があります。
ライン取りで考えるならば、アウト・イン・アウトで走る方が速く、王道の走り方ですね。
〇ひとっとと曲げたい流(F>R)
なぜ(F>R)にするかと言うと、理由は簡単です。
FFはアンダーステアなので、リアのメカニカルグリップを下げてオーバーステア状態にして曲げやすくするためです。
コレをもう少し深掘りすると、コーナリングを早く終えて加速したい、とも言えます。
というか、コレがやりたいことの全てじゃないかと思います。
こちらのメリット、デメリットは次の通りです。
-メリット-
1.良く曲がる
リアのメカニカルグリップを少なくしているので、スリップアングル限界が(F>R)となり物理的にオーバーステアが発生します。
比較的車速が低くタイトコーナーが多いミニサーキットでは簡単に旋回できて、さらにアクセルを踏めば曲がりながら加速も出来ますので大きな武器になります。
一言で言えば、楽してクルクル回れます。
ミニサーキットならば車速が低いので強ブレーキ時も姿勢がそれほど乱れませんので、メリットがかなり多いと思います。
2.早く加速体勢に入れる
メリット1を享受すると、速く加速体勢に入ることが出来ます。
例えばコーナー後に長い直線があるコースは、メリット1を生かしてコーナー前半でコーナリングを終了し、クリッピングポイントを通過する前には加速を開始できます。
これは非常に強い武器です。
-デメリット-
1.グリップ走行は遅い
ざっくり言えば、(F=R)の横グリップ限界を10=10、(F>R)の横グリップ限界を10>6としますと、横グリップに使える総和が(F=R)は20、(F>R)は16になり4不足するためコーナリング限界が低くなります。
これは、このままコーナリング速度に繋がりますので(F>R)のコーナリングは遅くなります。
このため、このセッティングで4輪グリップ流と同じことをしても物理的に勝ち目がありません。
なのですが・・・
リアが流れてもカウンターをあててアクセル踏みながらコーナーをクリアする場合はその差は埋まります。
その場合も、リアが横に流れている横荷重をフロントが担当し、さらに加速の縦荷重もフロントが担当するため厳密なメリットがどれ位あるかはわかりません。
フロントタイヤを縦にしか使わない状態(ゼロカウンター)が一番理想的な状態かもしれません。
私はそのように走っていました。
2.急ブレーキ時の安定性に難あり
高速ストレートエンドで急ブレーキをかけると、ハンドルを左右に取られます。
例えばSUGOの馬の背でのブレーキングでは、ハンドルが左右にブルブルします。
これはリアタイヤの接地面が少ないため減速できていない状態で、車両の重心は慣性力で前に進もうとしますが、リアタイヤが左右別々に離陸するのでリアだけ揺れてフロントタイヤが微セルフカウンターを当てている状態になるためです(多分)。
リアの伸びストロークが少ないと同じことが起きます(両方備えたセッティングですと、それはもう凄いブルブルですよ)。
結果的に(F=R)と比較して、フロント2輪で止まろうとしているため、または4輪で止まるためにブレーキを甘くしてリアタイヤのグリップ限界を越えないように調整する必要があるため、制動距離も長くなります。
例えば筑波2000の80Rを全開で抜けた後の2ヘア侵入時は、車体の横荷重が残っている状態で急ブレーキをかけますので、右後ろからリアタイヤがフロントタイヤを追い抜こうとします。
このため、ハンドルは若干カウンターをあてて、ブレーキも全力では踏めないため長い制動距離が必要になります。
ということで、とっとと曲げたい流の真骨頂は「素早くできる加速体勢」にあり、コレを求めていく必要があります。
ライン取りを考えるならば、スロー・イン・ファストアウトで走る方が速いです。
つまり、ここが大事ですが
「コースのなかでどれだけ直線の割合を多くできるか」
ということです。
ちなみに、例えば筑波2000の80Rはアクセル全開で行けるので直線のカテゴリーに入ります。
さて、4輪グリップ流(F=R) or とっとと曲げたい流(F>R)は、アウト・イン・アウト or スローインファストアウトに言い換えることができたので、ライン取りの面から考えてみます。
・アウトインアウト
どんな車でもタイムを出せる基本的なラインです。
・スロー・イン・ファストアウト
速い車(特に加速が速い車)がタイムを出せる限定ラインです。
ということは、(F=R)は車を選びませんが、(F>R)は車を選ぶため車種限定流派ともいえます。
自分の車は速い車なので、とっとと曲げたい流の長所を生かせるのだと思います。
余談ですけど、上記の考察が正しいならば、コーナリング速度の限界はリアの接地性が支配しているということですね。
フロントタイヤの横グリップの限界までリアタイヤの横グリップが付き合ってくれるセッティングで、それを使い切らないと4輪グリップ流(F=R)で限界のコーナリングはできないと思います。
〇とっとと曲げたい流(F>R)に対するドライバーの適正について
経験則でわかった大事なことがあります。
とっとと曲げたい流に入門するには必須の適正があるのです(笑)
その適正とは、リアが滑っても怖くない適正、です。
そして、今まで色々な方とお話しして気が付いたのですが、その適正が既に備わっている人が存在します。
なんて羨ましい!
それは次の人たちです。
-既に適正がある人-
1)バイク乗り
バイクはリアが滑るのが当たり前らしく、バイクより大きい自動車が滑っても挙動が緩やかで全く怖くないのだそうです。
2)ボート乗り
聞いてわかったのですが、ボートもリアから曲がるため、車のリアが滑っても挙動になれているので焦らないようです。
3)ラリーをやっていた人
ラリーはタイヤと路面の間に小石などのベアリングがあるため、常に大きく滑っているんですね。
ということは、タイヤ本来のグリップとは異なる挙動なので独特の操舵が求められます。
まっすぐ走っているのにハンドルが曲がっている、なんていうのはまさにコレですね(厳密には旋回力が残っているからですが)。
つまり、(F>R)のリアの挙動は独特の操舵の中の一つに過ぎないので、非常に適性があるそうです。
4)ドリフトをやっていた人
これは当たり前ですね。
〇まとめ
以上、徒然なるままに書きましたが、私の数年間の苦い経験を踏まえてまとめると次の通りです。
流派の選び方は慎重に考えた方が良いと思います。
まずは基本操作が必須になる4輪グリップ流に入門することをオススメします。
そして、コレを会得しましょう。
これだけだって相当難しいですし、私は出来ていません。
ある程度できたら、とっとと曲げたい流の門を叩いてみましょう。
ここで体験入門として、半年から長くて1年間くらいチャレンジして自分に適性があるか試してみましょう。
既に適性がある人は、ここで強みが発揮され上達していきます。
逆に、怖くて練習にならないと思ったら、潔く4輪グリップ流に戻り楽しくサーキットを走ることをオススメします。
「楽しく走る」を一番大切にすべきです。
私は苦しむだけ苦しんでやっとわかったことがあります。
それは、プロの様に毎日走れる訳ではなく、プロよりもチャレンジ回数が少ない環境で、プロみたいな運転技術を身につけられる訳がないということです。
人生の中でサーキット趣味に充てられる時間はそれほど長くありませんし、タイヤ・油脂類などのランニングコストも非常にかかります。
その中で、とっとと曲げたい流を極めるために数年間費やすことが、自分のサーキット人生に対してどれ位のメリットがあるか一旦冷静に考えた方が良かったなと思っています。
私は「この走り方で”なくてはならない”」という先入観が強烈だったため、それを考えられず数年間苦しい時間を過ごしました。
「そんなの当たり前だろう」と思うかもしれませんが、悩む人はそれに悩むわけです。
では、なんで今は理解できたのか。
それは、、、
歳を取ったから
絶対コレです(笑)
最近、考え方が色々落ち着いてきています。
以上、どこかの誰かにお役に立てるかも、と思い書いてみました。
まる。