ブリヂストン ポテンザRE004を履いて一年以上使用しましたので、 備忘録として私が感じたタイヤの性格を書いておこうと思います。
まずは結論を。。。
・グリップはまぁまぁ
・練習タイヤとしては結構良いが、他銘柄と一緒の競技でタイムを求めるならナシ
・普段履きとサーキットを両立でき、かつ持ちがよい
・値段が高いので、 Z3と同価格ならばZ3を選ぶのが良いかな
本当になかなか減らないんです。
猿みたいに走り続けてもタレない、減らない、練習用としてはとても良いタイヤです。
では、そこに至った理由を徒然なるままに。。。
使用歴
・筑波ジムカーナ場 多数回
・リンクサーキット 多数周
・SUGO 多数周
・筑波TC2000 30周回位?
・オートポリス 7周位? (ウエット)
・普段使い
・旅行多数(北海道から九州まで)
記録に残そうと思った理由は、このタイヤは結構癖があると感じたからです。
その理由を自分なりに考え一旦の結論が出ましたので、忘れないように記録しておこうと思いました。
といっても、これを考えていたのは随分前のことで、既に忘れてきてしまっているのですが。。。
時系列で書いたほうが、このタイヤの評価が浮き沈みした理由が伝わるかもしれないので、そのように記述しました。
1.初めて使用した感想
初めて使用したのは、筑波ジムカーナ場でカラーコーンを立て練習するクラゴン部屋のスクールでした。
1回の走行時間は40秒くらいでしょうか、最高時速80キロくらいまでを全開で加減速、コーナリングをします。
それまではディレッツァZ3の同サイズを履いていたのですが、RE004の感想は 「結構グリップする」 でした。
事前調査ではRE004はグリップしないとの意見が多数でしたので、全然そんなことない、と思ったことを覚えています。
このスクールでのタイヤ空気圧はメーカー指定値にしています。
冷間
Fr:2.3
Rr:2.2
走行後のトレッド状態はサラサラ、摩耗の仕方は堅いゴムが削れていく感じでした。
超ハイグリップタイヤの様な溶けてグリップするタイヤとは全く異なる印象でした。
この時点でのタイヤの評価はこんなかんじです。
「結構グリップするタイヤ」
2. SUGOで使用した感想
初めてサーキットで使用したのですが、印象がガラっと変わったんですよね。
MFCTの前日練習と本番で走行したSUGOです。
普段はサーキット走行時の空気圧はこの様にセットしています。
冷間
Fr:2.0
Rr:2.1
ですが前日練習は、 まずはメーカー指定値で走ることにしました。
冷間
Fr:2.3
Rr:2.2
アウトラップの4コーナーくらいまでは非常にグリップする感じで 「よしよし、 グリップ
してる」 と思っていたのですが、 計測2周目の4コーナーではグリップ終わっている感が。。。
ペースは全然上げていないのに、どういうこと?
進入時のアンダーステアが非常に強く、進入後のコーナリング中も限界が低かったんです。
やがてリアタイヤもズルズルになって、 アンダーもオーバーも挙動が大きくなり「こりゃコントロールできない」と思いペースを上げられず。
クーリング走行をしてみましたが特に変化は無く走行終了。
で、戻ってきて空気圧を見ると
Fr:2.8
Rr:2.6
これはグリップしなくて当然かなと。
あと、ペースを上げていないのにずいぶん上がったという印象でした。
翌日はいつも通り空気圧を下げて走ったほうがいいな、と言うデータが取れました。
このときは、それしか考えていませんでした。
翌日のMFCT本番走行は、車の故障による赤旗を避けるためにアタック2周のみと決めていたため、空気圧は気持ち低めの冷間
Fr:2.2
Rr:2.2
走行を開始すると3周目までは前日よりはグリップしている感がありました。
アタックを2周で終了することにしていたので、空気圧が上がりきる前に走行を終了したため、たいしたデータは取れませんでした。
走行後のトレッド状態はやっぱりサラサラ。
そして減りが非常に少なかったです。
腕かタイヤか分かりませんが、Z3と比較してタイムは激遅でした(苦笑)。
この時点でのタイヤの評価はこんな感じです。
「事前調査のとおりグリップしないタイヤ」
3. リンクサーキットで使用した感想
3日間行われるクラゴン部屋の合宿です。
練習前のウォーミングアップ、練習後の自主鍛錬の時間がフリー走行になります。
練習はストレート・コーナーにクローズアップした練習を繰り返し、その後は自分の順番が来るまで40分くらい休憩、という感じです。
で、たまたま練習後の自主鍛錬の時に空気圧調整を忘れて走りに行ってしまったのですが、そのときのグリップが非常によく、いつまでも同じフェーリングで走っていられたんです。
この日は試験があったため一度ピットに戻り空気圧を確認したら次の通りでした。
Fr:2.5
Rr:2.4
ちょっと高いなと思い、 再度空気を抜いて次の数値に。
Fr:2.0
Rr:2.1
もう一度走行を開始したところ、スローペースにもかかわらずタイヤがなかなか張らずコーナリング中はゴリゴリとサイドを使っているのが分かります。
当然そんな状態ではペースは上げられないので数周様子をみたのですが状況は変わらずタイヤが張ってきません。
これでは試験で全開走行できないため、急いでピットに戻ってフィーリングが良かった空気圧に戻してから再度走行をすると、先ほどのフィーリングに戻りました (厳密には新たな常温の空気を入れているので高い膨張率のため空気圧が上昇してしまいますが)。
ちなみに、様子を見てコーナーは相当慎重に走ったにもかかわらずタイヤのサイドはこんな感じで傷だらけ。
考えてみると、練習後の自主鍛錬時間ではメーカー指定値から何度も空気を抜いた後の 「温間空気圧」になります。
これがキマっていたのが、 先ほどの状態だったのですね。
走行後のトレッド状態はいつもどおりサラサラで減りも少なかったです。
ただし、サイド剛性がかなり低く低空気圧で走行すると直ぐに痛めてしまうことがわかりました。
「キマればフィーリング良好で持ちもよく良いタイヤ」
4. まとめ
あくまで我が家のMSアクセラの話に限りますが。。。
グリップが一番おいしい空気圧は非常に狭い範囲の温間
Fr:2.4~2.5
Rr:2.3~2.4
であることがわかりました。
その理由を考察してみました。
理屈が理解できれば納得もできますので、その辺を考察してみます。
情報をまとめるとこんな感じです。
1. おそらくタイヤが暖まるのが早い (空気圧の上昇が早い)
2. サイド剛性が弱い
3. 一番良かった温間空気圧のゾーンが狭い。
4. 温間空気圧を外すと、ずっとグリップしない
まず、見た目がタレてないのにグリップが低下する理由を考察してみます。
多分RE004はトレッドの剛性も低いんじゃないかと。
そのため、空気圧が上昇するたびにトレッド面がラウンドしてしまうのかもしれません。
その結果、接地面積が少なくなってグリップが低下していくのだなと (接地面がかまぼこ形になっていき、接地面積が少なくなるということです)。
グリップ低下の速度は、おそらく二次曲線的に進んでいくのではないかと (グリップが落ちるペースが速いのと、ラウンド曲線ならば二次曲線的な現象かなと。
空気圧上昇のペースより接地面積が減るペースの方が早いということです (ラウンドしたトレッド面の断面は円ですので)。
このため、美味しい空気圧のゾーンが狭いのでは?と思います。
次に、 温間空気圧が低くてもダメな理由を考察してみます。
空気圧が高い方面から下げていくと、トレッドがラウンドしないところからが良い温間空気圧になります。
あとは接地面積を増やしたいため、下げられるところまで下げたくなりますよね。
ここからは、超ハイグリップタイヤの場合はサイド剛性に期待する範囲になります。
しかし、RE004はそれ以上空気圧を下げると、サイド剛性が低いためコーナリング時に危ない状態になるのかなと。
つまり、空気圧(下げたい)とサイド剛性 (上げたい) が歩み寄っていってぶつかった「狭い空気圧」が美味しい温間空気圧でということなんですね。
この範囲がピンポイントなのかと。
確か外国メーカーのタイヤは空気で剛性を作る、と聞いたことがあります。
RE004はそっちの性格のタイヤっぽいです。
もっとも、タイヤもバネですので柔らかい純正サスペンションを使っている私の場合は両方を直列した係数がトータルバネ係数になります。
ですので、硬い脚の車の場合はもう少し温間空気圧を下げたくなりますよね。
でも、サイド剛性を考えると下げられない、というジレンマに陥るかもしれません。
値段が同じならZ3の方が調整範囲が広いのだな、と思いました。
5. 結論
RE004はツンデレな性格だと言うことが分かりました。
というか、ほとんど
ツンしかない
そこをどう攻略するかがキモかなと。
あとはサイドまで使いたいとかお好みで良いと思いますが、個人的には非常にサイド剛性が低いのでバーストが怖くて下げる気になりません。
最後に、最新版のタイヤトレッド写真を。
繰り返しますが、持ちは相当良いです。
以上、 RE004を使用して留意する点を備忘録として纏めてみました。
まる。