ようやく一段落ついたので、記録を残すつもりでブログに書きます。
※内容を参考にするのはご自身の判断で行ってください。
また、その結果の責任はすべてご自身で負って頂く様お願いします。
最初に、、、とにかく、、、
疲れた・・・(苦笑)
まず、私の簡単な説明です。
・資格:建築士
・業務内容:設計、設計監理、積算、施工監理
・主たる分野:改修工事(非木造)
こんな人間が、それなりの視点で自宅の改修を行うことに。。。
家計から支払う施工費は非常に多額なものです。
よって
大マジです(爆)
「1.きっかけ」
実家(一般戸建住宅)がそろそろ築10年を迎えるのですが、外壁に不具合があることが発覚しまして、外壁および屋根の塗装替え(以下、塗装改修)を行うことになりました。
ことの発端はリフォーム業者が家に来たことから始まりました。
帰宅すると、たまたま母親と業者が庭から外壁を見上げて話をしていました。
最初は何を話しているのか分からなかったのですが、しばらく眺めてると外壁改修の話だということがわかりました。
母親では話が分からないだろうと思い、二人の話に混ざることにしました。
業者から説明を受けた結果、私の判断でも早急に塗装改修を行う必要があることがわかりました。
そのまま業者とリビングで話をして、早速業者から塗装改修の見積書の提示が。
金額は記載しませんが、
私:「高っ・・・」
以下、訪問業者の説明内容です。
自社はこの地域で施工実績が無く、施工件数を増やしていきたい。
現在、他に何チームかこの地域を回っており、数件契約を頂いている。
もし、今契約してくれるなら、(見積書の中の数項目に丸をつけて)この部分の価格はサービスします。
自社の塗料はオリジナル塗料で、耐水性・耐候性が非常に高いので長持ちする。
また、透湿性(ゴアテックスみたいなもの)がありますので、外壁や木材の湿気を外に出す性質もある。
(サンプルを取り出して、目の前でデモンストレーションをしてくれたが、確かに透湿性があり、耐水性もある。)
考察:
一般的に言われる「訪問業者」です。
塗装改修しようとする人はネットで色々検索するでしょうが、つまりその業者です。
「訪問業者」=「悪徳リフォーム会社」
・・・って説明されていることが多いですよね。
特徴は上述したような発言をしてきますw。
ただ、今回の業者は悪徳リフォーム会社では無かったですね。
値段は確かに高かったし、訳の分からないサービスの話もありましたが、企業としては結構しっかりしているようでした。
質問にも答えてくれましたし。
ですが、私が払える金額を超えていたので相手の説明を聞いて、不明点の質問をしてお引とり頂きました。
というわけで一般的な話ですと、そのまま契約して被害を受けた、とかに続くのですが、私の場合は業者が訪問してきたことがきっかけになりました。
稀なケースかもしれません。
さらに実家もそろそろ築10年になるので、塗装改修はしなくてはならないと薄々は感じていました。
そして、現状の外壁を見て絶句・・・、不具合箇所が大ダメージを受けた状態でして、塗装改修の緊急性を感じた次第です。
「2.まずは見積もり徴収」
塗装改修を行うことは決めました。
次はどこの業者にお願いするかです。
世の中には沢山業者がいますので、どうしていいか分かりませんよね。
こういうときは、まずは工事の見積もりをもらうことからはじめます。
今はインターネットで「外壁塗装」や「塗装改修」と検索すると色々なサイトが出てきます。
その中に、自動車保険の見積もり徴収と同じようなサイトが何件か見つかったので、利用することにしました。
便利な時代になったものです。
気をつけたこと:
・見積もりサイトも選びましょう。
私が利用したのは2サイトですが、サイト側の接客態度・サービスと紹介される会社の知識や技術のレベルが全く違いました。
ここで、サイトにも良し悪しがあることを学びました。
・「1級塗装技能士」がいる業者の見積もりがもらえるサイトを使いましょう。
技能士という資格がありまして、詳しいことは検索してください。一言で言うと、高い技術を持った塗装職人しか取れない国家資格、です。
技能士を持っていないからといって、高い技術を持っていないわけではありません。
技能士を持っている人は間違いなく高い技術を持っているということです。
ですので、はじめから1級塗装技能士がいる、または1級塗装技能士に指導を受けて塗装ができる職人がいる業者から見積もりをもらった方が、効率的に良い業者に巡り会えます。
・見積もり徴収業者数と今後の大変さは比例します。
見積もり数は多いほうがいいです。
理由は、数が多いほうが良い業者に当たる可能性が高くなるからです。
ですが、その後の業者選定が非常に大変です。
ちなみに、私は以下の所から見積もりを徴収しました。
2-1)実家を建てたハウスメーカー 1社
2-2)見積もり比較サイトA 2社
2-3)見積もり比較サイトB 2社
2-4)自分でネット検索した業者 1社
2-5)ホームセンター 1社
合計7社ですね。
一般的に6社、私の考えでは3社でよいと思うのですが、相場がわからなかったので多めに徴収して相場の把握と比較をしました。
こちらも結論から言いますと、2-1~3)だけ見積り徴収すれば良いと思いました。2-1)と既に関係を絶っている方は2-2~3)だけで十分です。
相場は、結構幅があることがわかりましたが、結局のところ、見積りサイト(登録制のところにしてください)から紹介される業者は価格競争の意識があるので、相場の中でもある程度安い価格を提示してきます。
その後の労力を考えると、2-2~3)が必要にして十分な数だと思いました。
・見積りのフォーマットを統一しましょう。
これについては「3.」で説明します。
「3.ここからが本番、見積り比較」
見積り徴収をお願いすると、サイトから紹介された業者から、必ず「現地(現状・状況...etc)調査」という名目で自宅に来る為のアポを取ってきます。
まず、ここで電話の応対態度をしっかりチェックしましょう。
応対態度から、大体会社全体の営業力や工事品質の良し悪しについて何となくわかります。
あ、あと、アポは絶対断ってはいけません、絶対に来てもらってください。
来てもらわないと見積りできませんし、電話応対と図面だけで見積りを出す会社(いないと思いますが)は、その時点でアウトです。
ですので、自分が面倒臭くても来てもらってください。
1社あたりの見積り徴収までの流れは、
3-1)現地調査のアポ依頼
3-2)現地調査(自宅に来る)
3-3)見積りの徴収と塗装内容の説明・提案(自宅に来る)(営業の人柄、提案力、人間的な面を沢山観察してください。あとは近隣への挨拶はどうするか、後で見積り価格以外の請求がないかを確認してください。)
3-4)受けた説明で不明な点を業者に確認する。無ければ、とりあえず徴収完了
となります。
さらに気をつける点をあげます。マイカーを売りに出すとき、売却価格の見積りで高く買ってもらう為に、業者を同じ時間に一括で呼んでその場で価格競争させることがあります。
建築改修ではこの方法は通用しません。
なぜならば、見積書の中身はそんな単純なものではなく、その場で価格など出せないからです。
仮にその場で見積書の提出を強要した場合、自分が知らないことについての質問攻めにあってしまいます。
ですので、ここやり方はやめましょう。
さて、見積もりが揃いました。7社分の見積書を机に並べて、合計金額を比較しますよね?
一番安いA社に決定。
これでフィニッシュ・・・なんてことはないんです。
ここからが大変なんですよ・・・。
真面目にやろうとすると、本当に大変なんです。
私は真面目にやったので、正直言って途中で嫌になりました。
まっ、私の場合は職業病故に真面目に精査してしまったのが原因なのですが、、、一般の方はまず混乱するでしょう。
では、見積り比較の方法を紹介します。
まず、A社の見積書を見てみましょう。なんとなく内容がわかると思います。
次にB社の見積りをみてみましょう。B社の内訳項目の金額が、A社のどの内訳項目と同じなのかわかりますか?
私は職業柄わかるんですけど、それでも骨が折れます。
項目の書き方も各社バラバラなので見難いし、消費税も項目ごとに入れてるものがあったり(こんな見積書初めてみたよ!)、結構カオスでした。
こんなカオスな見積書が、2-2~3)のやり方でも4社集まってしまいます。
困ってしまいますよね。
そこで、「2.」で後述説明すると書いた内容を紹介します。
・見積書のフォーマットを統一しましょう。
3-2)の時に、こちらから見積書のフォーマットを提示して、それに従った見積書の提出をお願いしましょう。
ちょうど、このブログのTOP写真のようなフォーマットでよいと思います。
こちらから提示するものは手書きでも良いので、それを印刷して相手に渡してあげましょう。
こういう小さくて余計な手間が、大きな見返りとなってきます。
情けは人のためならず、です。
フォーマットを作るときの注意点は、知りたい情報が自分が理解できる形で記載されるようにする、ということです。
例えば、私の場合は一軒家2階建て、外壁・屋根の塗装改修でしたので、以下の項目を知りたいと思いました。
3-5)内訳項目
仮設工事価格・・・工事は仮設工事がかなりの割合を占めます。これを把握することは重要です。
・工事部位・・・どこの部位の工事の内容が書いてあるかがわかります。
・細かい工事内容・・・何の工事の金額なのかわかります。
・数量・・・工事内容を行うにあたっての材料の量などがわかります。が、各社バラバラですので気にしないでください。
・単価(税抜き)・・・同上です。細かい話をすると、この手の小さな工事は価格(欲しい金額)を数量で割って単価を出していることが多いです。
・価格(税抜き)・・・数量x単価=価格です。細かい工事内容の工事価格がわかり、これの比較をすることで、各社のどこが高くてどこが安いかがわかります。
・消費税・・・現在は8%を乗じた金額。
・工事費・・・今回の工事の全費用です。
・その他・・・使用材料名、メーカー、仕様材料の性能
これを簡単にまとめたサンプルがTOPの写真の表になります。
なお、条件は次のとおりとしました。
仮定条件は1軒屋、2階建て、外壁(サイディング)と屋根(スレート葺き)の塗装改修とします。
こんな感じにしておけば、業者の見積りは横並びで比較ができます。
フォーマットは変えられない、と言われたら、手書きでいいから作って欲しい、とお願いしたほうがいいです。
これをやらないと、その業者は見積り比較の土俵にも上がらず落選となりますので。
自分のために、心を鬼にしてください。
「4.苦行、塗料選び」
ぶっちゃけて言います。
私は、塗料選びで若干ノイローゼになりました。
国産・海外メーカーが数社(本当はもっと沢山存在します)、その会社それぞれに塗料があり、似たような性能の塗料が沢山あります。
しかも耐候年数(一般自然環境で何年不具合が発生しないか。色艶が80%まで劣化するのに何年かかるか。)の判定試験もメーカーや塗料ごとにバラバラだったり、JIS規格認定は受けてないけど同じ判定試験をしてますとか、、、もっともっと書きたいことがあるのですが、・・・ホント混乱します。
ですので、各社使いたい塗料があると思うのですが(昔ほど縛りは無いみたい)、
私は塗料の性能が要求を満たしてくれればそれで良かったので、メーカーと塗料は指定しないで求める性能を業者に伝えて、あとは業者に塗料を選定してもらい再度見積りを持ってきて、とお願いしました。
余談になりますが、これを「性能発注」といいます。要求する性能を満たしていれば、材料・工法は問わないよというものです。逆に日本ペイントのサーモ・アイSiを使って、とか仕様を指定することを「仕様発注」といいます。
塗料の性能はおよそ以下の数(他にもあるかもしれませんが、それは業者に聞いてみてください)ほどありますので、自分が求めるものを決めて業者に伝えましょう。
4-1)低汚染性(艶々してて、雨が降ったら流れ落ちるだけです)
4-2)耐久性(耐候性と同じで1種、2種、3種があります。1種の方が長持ちします)
4-3)防かび・防藻性(カビや藻の発生を防ぎます)
4-4)透湿性(建物の壁内部の結露防止に役立ちます)
4-5)遮熱性(太陽光を反射して、建物内部の温度を下げる環境負荷低減を目的とします。が、実際のところ遮熱塗料単独での室内温度変化は微量で、何も知らなければ遮熱塗料を塗ったこともわからない程度の変化だそうです。)
4-6)水性、弱溶剤系、溶剤系(厳密に言うと右に行くほど塗膜が強く、工事中の匂いも強くなります)
4-7)弾性、微弾性、硬質(塗料の伸び縮みへの対応力です。右に行くほど伸びにくく割れやすくなります)
4-8)その他(アクリル系、ポリウレタン系、シリコン系、フッ素系などがあり混乱を招きますが、右に行くほど耐久性が高く高価な塗料といわれています。)
他は業者に聞いてください・・・。
さて、私が塗料を選ぶときに
一番気にするのは耐候性でした。
はじめは耐候性が長ければ、次回の改修も先延ばしになりお得になる、と考えていたのですけど。。。
冷静になって考えると、
それは勘違いだと気がつきました。
建物には仕上げ材の間に
「シーリング」と呼ばれる防水材が塗られる(通常「打つ」と言う)のですが、
これの耐久性で次回工事が決まることを忘れていました。
塗装改修は必ず足場を掛けますが、塗装改修と同時にシーリング工事も一緒に行われます。
そのとき、耐候性が高く値段も高い塗料を塗布しても、その前にシーリングが劣化してしまったら足場を架けて打ち替えをする必要があります。
そうなると、足場代金は高いので、せっかく足場を架けるのならば塗装改修も、、、という流れになるわけです。
であるならば、ある程度の耐候性があれば十分と言うことに気がつきました。
シーリングは紫外線に弱く、一般的な施工方法は新規シーリングが硬化後に上から塗装をして耐久性を持たせる(紫外線が直に当たらない)のですが、我が家はシーリングが露出してしまうところがあります。
よって、10年毎の改修頻度で良いという結論に達しました。
私の求めた性能は、外壁は4-1~4、6、7)で、弱溶剤系、弾性。
屋根は4-1~7)で、弱溶剤系、弾性の塗料を探してもらい決定しました。
ついでに言うと、
シーリングに求めた性能は、ノンブリードのもの、としました。これは説明すると長くなるので省きますが、普通は「シーリングは
ノンブリードで可塑剤が入っていないものにしてください」と呪文のように業者に伝えれば大丈夫です。
「可塑剤が入っていないジーリングがどれかわかりません」と言われたら、「メーカーに確認してください」と言った方がいいです。簡単に言うと、シーリング材料の選定を間違えると、シーリングの上に塗った塗料にシミが発生する可能性があるのです。このへん、塗装業者も甘く見ていますが、その対処の面倒臭さを経験したことがある私には譲れない事前対策なのです。
さて、ここにきて気がついた人もいるでしょう。
塗料選びは3-2)でやるべきなんじゃね?・・・と。
そうですね、、、求める性能がそのとき決められればね。。。
でもね、
そんな簡単に性能を決められません(悩
良いものは高くて、そうでないものは安い、、、予算内に収める為には性能も選ばなければならないんです。
そして、それは非常に迷うところなのです。。。
色々調べながらやっていくと、結局この時期になってしまったのです・・・。
調べないと、このこと自体もわからなかったことを考えると、結局この流れにならざるを得なかったのです。
はい、というわけで、全社に性能を伝えて
再度見積もりを徴収しました。
これでやっと、
見積もりを横並びで比較することができますね。
次に、工事完了後に不具合があった場合の
保証があるか、保証は
どのようなもので
有効期間はいつまでか、をしっかり確認しましょう。
とても大事なことなので、些細な不明点でも
遠慮せずバンバン聞きましょう。
その後、気に入った見積書を2社選びました(3社でも4社でも良いです。私は迷いが出てしまうので、ドライに価格のみで2社に絞込みました)。
「5.最後は担当者の人柄で決めましょう」
私のようなガチガチの頭をした人間が、こんなことを言うのは意外かもしれません。
ですが、
経験上、工事ってのは信頼関係がないと上手くいかないんです。
信頼していないと、見ていない時の工事は任せられないし、手抜きしてるかも、、、なんて心配も出てきます。
悪徳リフォーム業者が未だに多いご時世(ボッタクリから始まり、手抜き工事まで)、見積もりを何度かもらうことで担当者の雰囲気や色が見えてきたと思います。
2社に絞ったあとは、いったん2社をスタートラインに戻し並列化しましょう。
その後、担当者の人間性から見た会社の印象や自分とのフィーリングから1社を選定することをお勧めします。
5万円程度高くても、気持ちよい関係でいられて、キチンとした工事をやってくれれば安心ではないですか?
そして、今回工事をきっちりやってくれれば、
次回の塗り替え時や給湯器交換などの別工事(総合工務店の場合)の時もよい関係でお願いできますよね。
いずれ、
自分の家の主治医を任せられる可能性を秘めた業者を選定したほうがいいと思います。
というわけで、私は最後の1社を決めました。
記録として残すために書きましたが、誰かのお役に立てたら幸いです。
まるっ。