
スバル/VIVIO T-top(1993)
排気量の660cc化とともにボディサイズが拡大した旧規格軽自動車は、それまでの実用性本位なものとは異なる高付加価値のジャンルに挑戦していた。
そのなかで富士重工が40周年記念(3000台限定)車として送り出したのが、軽オープンカーの中でも唯一の4シーターオープンクーペ‘ヴィヴィオT-Top’である。
3分割タルガトップに電動格納リアウィンドウを組み合わせたオープン仕様。
リアウィンドウを持つヴィヴィオT-Topは他の幌型軽オープンと比べ格段の耐候性とセキュリティ性を誇っていた。
Bピラーが残るため完全なフルオープンにはならなかったが、その代わりに転倒時の乗員保護という面からも高い安心感が確保されていた。
ボディカラーはグリーンとレッドの2色を用意。内装も同系のカラフルさが特徴。
ECVTと5速MTを設定。スバルの軽として初のサッシュレスドアと3Boxの車体を採用した。
法規上4人乗りではあったが、後席はエマージェンシー的要素が強く、翌年にはスーパーチャージャー版のGX-Tを発売した。
○全長;3,295mm
○全幅:1,395mm
○全高:1,380mm
○ホイールベース:2,310mm
○車両重量:730kg
○エンジン仕様・型式
EN07E 水冷直列4気筒SOHC8バルブ
○総排気量:658cc
○最高出力:52ps/7,200rpm
○最大トルク:5.5kgm/5,600rpm
○駆動方式:FF
【 回 想 】
下町の風呂無し1Kアパートで、何を思ったのか「俺はクルマを買う!」と決意した。
父親がスバルディーラーに勤務していたことは確かだが、既に一人暮らしは長かったし、当時、何を思ってこのクルマを買うことにしたのか、正直今なお謎なのである。
たぶん情報として「T-top」という魅惑のネーミングに加え「限定車」とか「屋根が開く」とか「電動」とか…断片的かつちょっとカッコ良さげな魅力的ワードを妄想でつなぎ合わせ、最終的には「価格もなんとかなる」と判断したのではないかと推察する。
情報に満ち溢れた現代では、信じがたい話かもしれないがこれは真実である。
「限定車だからカタログも無いし(これは後に虚偽だったと判明)、試乗も出来ないが、今申し込めば購入は出来る。」
…そんな実父の巧みなセールストークに舞い上がり、思い込んだら迷わず進め、とばかりに自らなけなしの貯金を叩き即金購入に至った。
「ボディ色は緑と赤の2種類があるが、赤ならすぐ入る。」
そんな初の‘大人の取引’に内心ニヤけながら自分のアーバンカーライフはもう始まっていた。
今思えば、当時の我が偉大なる妄想はもはやアルファスパイダーを駆る都会の一匹狼…的なレベルにあったのだった。風呂もないのに…
そしてある日、その真っ赤なアルファはやってきた。
「T-topってVIVIOじゃん!」
「電動オーブンって後窓だけじゃん!」
「屋根は3分割の手動じゃん!」
しかし住めば都である。当時の自分はこの‘変なアルファスパイダー'で恥ずかしげもなく恋人と大都会を走り回るのである。
下町とはいえ、極狭の軽専用の駐車場は月額28,000円であった。
毎日、徒歩圏内の銭湯に横付けのT- top。
あの頃は全てが青春だった。
Posted at 2018/02/08 01:24:29 | |
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