ランチア・テージスのシートリペア（革座面のたるみ取り＝DIY）

イタリア車の革シートのレベルは、間違いなく世界第一級だと思う。フェラーリ然りアルファロメオ然り。マセラティ、無論ランチアも。

革の質、デザイン、座り心地、耐久性、どれをとっても他国のクルマと比較して非常に高レベル。もちろん、テージスのシートもその例に漏れない。

ところが、テージスはマイナーチェンジの際にシートの細部を変更し、コストダウンを図ったと思しきふしがある。切れ込みやステッチが結構減っているのだが、その変更の影響なのか、マイチェン以降は運転席側の経年の使用によるパンチングレザーの座面の革伸びが発生している個体が多い。私のも購入時にはすでにこうなっており、この座面のブヨブヨっとした革伸びは過去のオーナーの過失。体重も重くなく、ついでに人間性も軽い私の尻ではこうはならないはず。

過去にブログに書いた、以前西宮のKさんにお借りした前期型3.0リッターテージス。そのシートをDIYでクリーニング（クイックブライトで）したときの画像。走行距離がほぼ10万キロに達しようとしていたクルマの座面。クリーニングしただけのシートは擦れも全く無くパンと張っていてとてもそんなに使用されたシートに見えない。アンコのヘタリもまったく見受けられない。これが元来のイタリア車のシートの高品質たる所以。私の後期型のシートよりステッチが多いことも注意。

革の張替えをしても良いけど、何かと面倒。とりあえずシートの革たるみ取りの情報を早速ネットで調べてみる。本革は高熱を加えると収縮する性質を持っているらしい。しかしネットの情報ではヒートガンなどを使用すると書いてある。が、失敗する確率が非常に高いらしい・・・ヒートガンは使わないほうが無難そう。

そういえば、たしかこの本に書いてあったはず・・・これこれ、福野礼一郎の『極上中古車を作る方法』。それによると、革は基本的に熱に強く高温を与えるとセルロース繊維質が収縮する。革が本当にきゅっと収縮するのは燃え始める温度の一歩手前（150～160℃）、なのだとか。

ヘアドライヤーで熱してみたけどまったく効果がない。そうだ、アイロンならいけるかも！

ということで、座面に木綿の布を敷いて、その上からスチームアイロンを気を付けながら当ててみることに。するとどうでしょう、表面にダメージ無くブヨブヨは随分目立たなくなった。

これはあくまで本革の部分だけに有効な方法。本革シートと言っても最近のクルマはすべて本革で張ってあるわけではなく、座面など主要な部分のみ本革で、残りはフェイクレザーを使ってあるそうなので注意が必要。

このような症状が出ている本革シートのオーナーさんはお試しあれ。ただし、あくまで自己責任でお願いします。

令和2年5月追記

画像は座面たるみ取りDIYからおよそ半年後の3月頃。徐々にだけど、施工前の状態に戻りつつある。

やはりどこかで思い切って座面革の張替えをするしかないかな。その前にもう一度、スチームアイロンを当ててみようかな。