MAZDA3の発売日、平日の午後から試乗しました。
ファストバックのXD Lパッケージです。
丘越えを含む、およそ9kmのコースを走らせてもらいました。
(子供のお迎え後、
スイフトの時のように子連れ試乗しました)
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【外装】
いいですね。カッコいい。
お尻まわりを撫でまわしたい。
ファストバックと名乗っているのが、また粋でスカした感じですね。
オシャレではない自分が乗っても似合わないので、むしろ欠点になるかもしれません。(笑)
【内装】
いいですね。カッコいい。
絶品です。質感・統一感あります。
メーターは、高精度な液晶画面で 針のメーターを映します。
高級装備を持ってくるのはスゴイのですが、個人的には伝統的な実際の針のメーターの方が、僅かに立体的なところが好きです。(やはり直感で2次元と3次元の違いを感じる)
電動シートのおかげで、ベストなシートポジションを探し出すことができます。ランバーサポートもあり、腰を支えてくれます。
肘掛け(デミオには無い)は、慣れないせいか、肘の位置が浮いて置き心地が悪かったです。
スピーカーは音を聴いてないけれど、標準で
8スピーカー(!!!)ですもの、悪いはずはありません。
【安全】
・座りの落ち着き・操作のしやすさは良好
・視界 前方はしっかり見えますが、斜め後方と後方は悪いです。かなり、悪い。マツダは
リアのレーダーを意地で標準装備にしてますが、
デザインのために後方視界を切り捨てていることへの免罪符にしている、としか思えないです。
・先進安全装備は、現時点での最良のものだと思います。
【動力】
丘を越えても、1.8Lディーゼルターボに不満無し(煤問題は別)。
1.5Lガソリンも試乗したいけど、2Lガソリンならば まず実用充分だと想像します。
【居室空間】
・前席は申し分ありません。
・後席…175cmの私が座ると、足の甲が前席の下部につっかえます。結構血行に悪い。
つっかえないように足の裏の位置を手前に引くと、今度は太腿の裏が浮きます。成人男性は、ゆったりリラックスして座れません。
後席は子供や小柄な女性専用にすれば無問題ですね、と言いたいところですが、試乗中、下の子が声を上げました。
「おそとが みえない~~!」
そう、とても窓が狭く
閉塞感があります。子供にとっては、より増大して。
「○○○○(嫁車,コンパクトカー)
のほうが、ひろい~」
【荷室容量】
カタログや
ホームページを見ても、
ファストバックは 67Lのスーツケース2個
セダンは 67Lのスーツケース3個、または9インチのゴルフバッグ2個
…を収納できるとしか示されていません。
これは他のメーカーにも言えますが、
全メーカー・全車種の荷室容量を、VDA方式で明示して欲しいです。
ですが、ファストバックの荷室を実際に見ると、最後のアクセラの364Lだけは確保しているように見えました。
荷室のカタチは、後輪の内側への張り出しも少なく、良いです。(開口部は狭いですが)
【乗り心地】
噂の「リア:トーションビーム式」ですが、乗っていて明確なネガは判りませんでした。
跳ね方が、デミオに似ていると感じました。
乗り心地単体の印象としては、
カローラスポーツ(HVの上のグレード)の方が良かったように思います。
ただ、シートポジションが完璧に決まっている分、体にしっくり馴染むのはMAZDAならでは。
普段からデミオでマツダ車に慣れているせいもあるでしょうが、視界の悪さ以外は運転しやすいです。
もうひとつ噂の「G-ベクタリング コントロール プラス」が乗り心地・運転しやすさにどこまで効果が及ぶのか、これも私には測れませんでした…。(測れずとも、恩恵は受けているのだとは思いますが)
個人的に、「しっくり馴染んで、運転しやすい」車であったのは確かです。
【おすすめグレード】
「ファストバック / 20S プロアクティブ ツーリングセレクション」(258.88万円)で、
360°セーフティパッケージのオプション(8.53万円)つけて、
タイヤをレスオプションで16インチ(-4.32万円)に落とす。
これがベストです。
「煤」と「X」を回避して、性能と価格を考えたら、これ一択です。(予算が無いので妄想するだけ)
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〔追記(190625)〕
最後のアクセラの「15S」(FF,6AT)の車重は、1,280kg。
MAZDA3の「15S」(FF,6AT)の車重は、1,340kg。
先代より 60kg重くなり、
同じ「15S」でも
トルクウェイトレシオが悪化しています。
その意味でも、「20S」がおすすめですね。
地力がある方が、悪化の度合いが少ないので。
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【まとめ】
乗り心地は微妙(可もなく不可もなく)ながら、少なくとも SKYACTIVE世代のマツダ車ユーザーにとっては居心地がよく運転しやすいクルマ。
外側も内側も、うっとりするほど綺麗で、特に内装が素晴らしい。たぶん、スピーカーも。
後席居住性と荷室容量は不足気味でも、カローラスポーツ比ではやや有利です。
「美しく走る」―――まさに、このキャッチコピーに相応しいクルマですね。
ライバルに比べて長所も短所もそれぞれありますが、2%を相手にマツダが狙ってやっていることなので、それはもう個性だと思います。
ただ、我が家のニーズで考えてみると、視界の悪さが酷過ぎて おそらく嫁が運転できないので、このMAZDA3の個性は なかなか受け入れられませんね…。
視界の確保は、安全のための一丁目一番地なので。
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【閲覧注意】
私はマツダを応援する「ファン」ではあっても、マツダを盲信する「信者」ではありません。
よってこれからマツダに対して(応援のための)苦言しますが、
気分を害しそうな方は以下の記事を閲覧しないでください。
【リアサスペンション:トーションビーム式採用の件について】
普通、スポーツ的なモデルなら、カタログに駆動系やサスペンションの透過イメージを、誇らしげに載せて語るものです。
MAZDA3のカタログには、駆動系とサスペンションの透過イメージを載せ、駆動系(AWD)のキャプションを付けていましたが、
サスペンションのそれはありませんでした。
どういうわけか、サスペンションの記載は、諸元表のみ…。
「リアサスペンション:トーションビーム式」
発売前から批難とフォローの声がネット上で沸き上っていました。
コストカットでしかないだろう、
いや、人馬一体のための敢えての選択だ、などと。
周囲の議論をよそに 大元のメーカーが
セオリーに反する手法の正当性・妥当性を自ら説明しないでどうするのですか!?
ホームページのほんの片隅に
こんな論文を置いていても、誰が見るのですか!?
公式のトップページ付近に、内容を噛み砕いて、イラストカットも使って、誰にでもわかりやすく説明しないと。
そこに哲学があるならば、熱く語って欲しかった。
メーカーがカタログでもネットでも話題に触れずでは、逃げているよう(つまりコストカット)にしか見えなくなってしまいますから。
ネットで、リアルで弁護してくれているマツダのファンと信者を、見殺しにしないでください。メーカー様。
→
後日、開発者に回答いただきました!
【SKYACTIV-Xの商品性が破綻している件ついて】
装備がほどよく省かれた(それでもよく頑張ってると思う)「15S」(1.5L NA ガソリンエンジン)は さて置き、
装備面で同等の
「20S」(2L NA ガソリンエンジン)
「XD」(1.8L ターボ ディーゼルエンジン)
「X」(2L 新型ガソリンエンジン)
…で考えてみましょう。
「20S」をベースに「XD」・「X」との価格差を見てみると、
「XD」は「20S」の27万円高、
「X」は「20S」の67万円高。
超割高!!
「20S」をベースに「XD」・「X」との燃費差を見てみると(以下の燃費はファストバック・FFの数値)、
「20S」WLTCモード燃費 15.6km/l
「XD」WLTCモード燃費 19.8km/l
「X」WLTCモード燃費 --km/l(未発表)
マツダの公式サイトによると、
>環境性能では燃費が現行ガソリンエンジンに比べて最大20~30%程度向上。
何%向上と言ってもいろんな考え方(計算式)がありそうだけど、ここは「X」に有利かつ手抜き単純計算させてください。
15.6×1.3=20.28 20.28km/l
さあ、数値が推定込みで出揃いました!
と言いたいところですが、「X」は
スーパーチャージャーその他の補機類に加えて、マイルドハイブリッドまで加えてしまったのです。(宗旨替え!?)
マイルドハイブリッドで
参考に挙げるのは、
数年前まで販売されていたスバル・インプレッサスポーツ ハイブリッド。
電動初心者のマツダが付け焼き刃で頑張ってもこんなものではないか、ということで引用します。
先代インプレッサスポーツ と 先代インプレッサスポーツのハイブリッド の燃費(JC08モード)を比較すると、16.8km/l と 20.4km/l。
「X」の簡易推定WLTCモード燃費の 20.28km/l に 20.4/16.8 を乗ずると、24.6km/l。
2L マイルドハイブリッドの新型ガソリンエンジン搭載グレード「X」のモーター込み推定値は、最大で 24.6km/lとなりました。
レギュラーガソリン140円/L、軽油120円/L とすると、
「20S」140/15.6=8.974… 8.9円/km
「XD」120/19.8=6.060… 6.0円/km(20S比 -2.9円/km)
「X」140/24.6=5.691… 5.6円/km(20S比 -3.3円/km)
価格差が燃料代でどれくらい走れば回収できるか、という視点では、
「XD」27/2.9=9.31… 9.3万km
「X」67/3.3=20.30… 20.3万km
これだけの走行距離を要します。
もちろん車は燃費だけではないので、動力も計算しましょう。(すんごい簡単に)
「X」の欧州版(ハイオク対応?)のトルクを単位換算すれば、22.8kgf・m。
参考とするインプレッサスポーツハイブリッドは、車重130kg増しで、モータートルクは 6.6kgf・mです。
もし上記参考の程度のマイルドハイブリッドなら「X」は、
車重 130kg増し
燃費 1.21倍(→ 24.6km/l)
トルク 22.8+6.6=29.4 29.4kgf・m
こんなものとなります。(本当に雑な推定ですみません)
システム出力は単純合算とならないかもしれませんが、
だいたい 3L NAと同等でしょうか。
うっかり、この燃費と動力なら ホンダの新型インサイトのシステムの方が優れているのでは、と思ってしまいました。
最後の詰めで手を出してしまった
禁断の果実、ハイブリッド…。
システム全体の出力は増えるし燃費も良くなるけれども、重量が一気にかさみます。価格も上昇。
居住性や荷室容量も犠牲(ただでさえ乏しいファミリーカー適性をさらに失う)になるでしょう。
整備コストもノーマルなガソリンエンジンと同じようにできるのか、疑問です。(ターボやディーゼル同様、コスト高になる?)
原材料調達から車両廃棄までの環境負荷についても、不利でしょう。
そして、無闇に複雑化された「X」の
リコール頻発は、もう約束されたようなものだと思います。
フィット3 と SKYACTIV-D搭載車 で繰り広げられた
壮大な社会実験が、じきに始まるでしょう。
被験者はユーザーで、その立場を67万円余分に支払って買うのです。
「X」は、
一度ぶち上げた理論を実現するためにアレやコレやと くっ付けて、もはや鵺のようなパワートレインと化しています。
多くの補機類・莫大な開発費を反映してか、価格も異常に高いです。
(動力・燃費など、いずれか1つの大きな特長があれば20万円高、動力も燃費もと 2つ大きな特長があれば40万円高程度 なら許容できるでしょうが……私の中の市民感覚では、そのあたりが限界です)
価格への転嫁を、新型エンジン搭載グレードだけに留めたことは褒められるのではないでしょうか。
まあ、だから、MAZDA3を買うならば、シンプルに「20S」が良いと思うのです。
やっぱり 2L NA のガソリンエンジンが、ミドルクラスの華ですよ!
こちらさんが、私の言いたいことを言ってくれていました。もっと鋭く突っ込んだ見方で。