新車を購入をした際には避けては通れない、車の慣らし運転・・・
もちろん、取扱説明書に慣らし運転が必要と書いてあればもちろん必要ですが、もはやほとんどの車においては慣らし運転に関する記載は無いかと思います。
よって、車好きの皆様にとっては、この慣らし運転の『要』『不要』論に関しては悩ましい状況かと思います。
そんな慣らしの運転ですが、私自身が自動車メーカーで新規エンジンの開発業務を行っていたこともあり、慣らし運転に関してヤキモキしている方の少しでもお力になればと思い、『エンジン』に関する『慣らし運転』に特化して書いてみようと思います。
現在では、この慣らし運転というものそのものが、もはや不要という意見が大多数ですが、その理由としては以下に挙げるものがメインかと思います。
「工作精度が上がっているので、もはやエンジン内部にバリなどの発生は無く、必要は無い」
「普通の運転をしていれば慣らし運転は終了するから、特に慣らし運転を意識する必要はない」
これは、共に間違っているわけでも、正解なわけでもないと思います。
順番に話をします。
しかし、そのバリやチリが大きな悪さをする可能性は極めて低く、仮にバリが運転中に剥がれたとしても、オイルフィルターに捕獲される為、慣らし運転をする、しないの議論とは違う話です。
要するに、慣らし運転をしても、しなくてもバリは存在するものであり、エンジンは動いていることに変わりはないので、運悪く大きめのバリが噛み込んでしまうとそのときは、エンジン内各部にキズが入ってしまうということです。
オイルフィルターで捕獲できない、極めて小さなバリや、新品エンジンの削りカス(例えば新品エンジンのピストンリングの表面被膜など)も存在しますが、基本的にエンジンの耐久性に影響を及ぼす程の影響はないと考えていいと思います(ミクロでみると影響がないとは言えませんが)。
よって、気になる方は、新車から2000km程度走行後にオイル交換をなされると、精神衛生的によろしいかと思います。
続いて、「普通の運転をしていれば慣らし運転は終了するから、特に慣らし運転を意識する必要はない」という話。
これに関しては、私は少し違う意見を持っています。
確かに、普通に運転をしていれば、エンジンにとっては何の問題もありませんし、慣らし運転が勝手に終了すると考えることもできます。
しかし、エンジンにとってベストな状態を長い間保つには、やはり普通に気にせず運転するよりも、少し気にしながら運転をした方が良いと思います。
まず、新品エンジン時に、いきなり負荷の高い運転をすることはおススメできません。
ピストン、シリンダー、ピストンリングや、各部メタル関連、ベアリング関連、バルブシート等、やはり極初期はかじり等の発生が無い様に、馴染みが必要ですし、各部クリアランスも最適な状態とは大きく違う状態にありますので、普通よりは、少し優しい運転を行うことが良いと思います。
そして、エンジンの慣らしを終える工程の一つに、エンジンに高い負荷を一定時間以上かけてあげる必要があります。
どういうことか?
あまり突っ込んだ難しい話をすると文面も長くなりますし、わけわからないという方も多くなってしまいますので、非常に簡単にして話をすると・・・
エンジンというものは、様々な部品の組み合わせであり、ベアリングやメタルといった摺動部がたくさんありますが、エンジンブロックやピストン、また様々な部品に負荷をかけて、温度を上げてやり、各パーツが本来あるべき場所に落ち着けてやる、本来あるべきクリアランスとなる様にしてあげる、ということです。
そうすることで、エンジンの摺動部の摩擦力(=フリクション)を最小限にすることができ、エンジンが本来持つ力を最大限発揮できるようになります。
よって、エンジンを大切にするあまりに、エンジンに負荷を長い間入れないと、いつまでたっても慣らしが終わらず、エンジンにとって最高の状態を引き出すことができないということになってしまいます。
以上の理由から、私は必ず慣らし運転の後半に、エンジンに高い負荷をかける運転を行います。
実際に、エンジン開発時は、この高い負荷を入れる慣らしをしてやらないと、いつまでたっても目標とする出力が出ません。
以上がウンチクとなりますが、ここからは、私が行っている慣らし運転を記載させて頂こうと思います。
※あくまで私が良いと考えて行っている方法ですので、この通りに行えば100%エンジンが良い状態になることを保証するわけではありません。
また、取扱説明書に具体的な記載がある場合はその記載に従うのが一番です。
①走行距離 0~300km
⇒エンジン回転数はレッドゾーン回転数の40%以下、アクセル開度は25%以下で、出来るだけ優しい運転を心掛ける
②走行距離 300~800km
⇒エンジン回転数はレッドゾーン回転数の50%以下、アクセル開度は50%以下で、急加速しない範囲で通常の運転でOK
③走行距離 800~1300km
⇒エンジン回転数はレッドゾーン回転数の75%以下、アクセル開度は75%以下で、徐々に負荷のかける運転を心掛ける
④走行距離 1300~1500km
⇒何も縛りは無し。高速道路の合流等では可能な限りの加速を行うなど、エンジンが高温となるような大きな負荷をかける
以上が、私が実際に実践している慣らし運転方法です。
この距離なんかは別に根拠があるわけではないですし、エンジン回転数やアクセル開度に関しても同様です。
しかし、『極初期にあまり大きな負荷をかけない』ということと、『慣らしの仕上げは可能な限り大きな負荷をかける』だけは実践して頂くと良いかと思います。
以上、この話の結論として、元エンジン開発者の意見としては、よりエンジンにとって良い状態を保つ為には 『慣らし運転は必要と考える』 です。
皆様の参考になれば幸いです。
では!
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ちなみに、こんな車好きな私ですが、現在TORINO CARSという程度極上車のみを取り扱っている自動車販売店を営んでおります。
自作ホームページにて、お店の特徴や中古車選びの際に参考にして頂ける情報、在庫車情報等も載せておりますので、ご興味ありましたらご覧頂ければ幸いです。
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