前回のブログでは、エンジン開発プロセスの大まかな流れを書きましたが、今回はその開発プロセスについてもう少し掘り下げて書こうと思います。
さて、開発の流れを大まかに分けると、「砂型エンジンによる開発」⇒「金型エンジンによる開発」⇒「量産」と分けることができると前回書きましたが、このような順序で開発を進めるのにはもちろん訳があります。
訳の説明の前に、砂型、金型の簡単な説明をしますと、砂型とは文字通り砂で作った型に溶解した金属を注いで作るもので、金属が固まった後はその砂を砕いて金属を取り出すという工程となる為、型作成の自由度が高く、1つの試作にかかるコストも低くなります。
対して金型は、金属を削りだして型を作るものなので、容易な形状変更が難しかったり、何よりもコストがかかります。
ちなみに、通常、量産は金型により行われます。
以上の特徴を少し頭にいれておりて頂いて、開発の流れを見ますと、もうお分かりだと思いますが、はじめに砂型エンジン、パーツによる開発となるのは、開発初期はトライ&エラーで設計変更が頻繁に行われ、形状の変更を容易且つ低コストで行う必要があるので、砂型による開発から始められるのです。
そして、この砂型エンジン、パーツで「設計」、「作成」、「テスト」、「テスト結果の設計への反映」を何度も何度も繰り返して、目標とする性能、耐久性を発揮する諸元が確定するまでテストと設計変更を重ねます。
そして、砂型エンジン、パーツによるテストで目標性能、耐久性を達成する為の諸元が確定したら、続いては、金型エンジン、パーツの作成、テストに入ります。
砂型試作品で諸元確定した後にすぐに量産にはいるのでは無く、わざわざ金型の試作エンジン、パーツを作成して、金型テストを行うのにも理由があります。
砂型から金型に代わる時点で図面の諸元は変わらない為、砂型品と金型品では同等の性能、耐久性を発揮するという考えを前提としているものの、あくまで、お客様の手元に届く量産品は金型による生産品なので、本当に金型で砂型によるときと同等の性能、耐久性が確保できているかを量産に入る前に確認する必要があるのです。
しかし、実際には同じ図面諸元にも関わらず砂型と金型で性能差が表れることは良くあり、これは砂型と金型では各パーツの表面の粗さや、ひずみ、硬度などにどうしても差が出てしまうからで、その差が性能差として表れてしまい、実際は量産前確認というよりも金型でも再度テストを繰り返し諸元を落とし込んでいくケースも多々ありました。
そして、砂型エンジン、パーツの場合と同様にテストを繰り返し、金型エンジン、パーツにより、目標とする性能、耐久性を達成し、図面へ諸元を落とし込んだら、ようやく量産へと進んで行きます。
量産行程へと進んだところで、エンジン開発としては終了となります。
実際には、金型テストが完了しても、生産を担当する工場部門で工場での量産に向けての行程が多数ありますが、それはまた別の機会に。
ということで、開発の流れをほんの少しだけ掘り下げて説明しましたが、この中に何度もテスト、テストという言葉が出てきたと思います。
ひとくくりにテストと表現しましたが、エンジン開発におけるテストの内容は大まかに3つに分かれています。
試作エンジンを多数使用して、その3つのテストを平行して進めていくのですが、その3つのテストの内容についてはまた次回に書こうと思います。
では!
先週末は愛車の1年点検の予定で代車をお借りする予定でしたが、残念ながら点検は延期。
借りる予定の代車を使用していたお客様の返却が遅れることになった為、
代車が用意できなくなったとのこと。。。
ということで、代車のインプレッションを書こうと思っていましたが、
書くネタが無くなってしまった為、唐突ですが今回は『エンジン開発』に関して書こうと思います。
エンジンの開発がどのように行われるのかなんて興味ある人は極少数だと思いますが、その極少数の方の興味を満たすことになればと考え書こうと思います。
今回書くエンジン開発に関してはあくまで私が以前勤めていた会社での開発の流れであって、他社では開発プロセスが異なるかもしれません。
(シミュレーションの活用度合いや、もしかしたら試作レスを実現している会社もあるかもしれませんが、おおよそどこも同じようなプロセスだと思いますが)
また、機密観点もありますので、非常にざっくりとした開発の流れということと、エンジン関連のみに話を絞らせて頂く点、ご容赦願います。
さて、早速ですが、エンジン開発の流れは大まかに以下の様に行われます。
①車両コンセプトや会社方針に則って、エンジン諸元(エンジン形式、排気量等)、目標性能、目標コストの策定
②目標性能を達成する為の、エンジン内部及び周辺パーツの詳細諸元の検討(これはシミュレーション等の机上計算により行っていました)
③検討結果を反映して、試作エンジン、パーツの設計
④砂型による試作エンジン、パーツの作成
⑤砂型試作エンジン、パーツによる各種テスト
⑥テスト結果を反映して、エンジン及びパーツの再設計
⑦エンジン諸元、各パーツ諸元のFix
⑧Fixした諸元を反映した金型エンジン、パーツの設計
⑨金型エンジン、金型パーツによる各種テスト
⑩量産
以上がざっくりした流れですが、上記の流れをもっと大まかに分けると、「砂型エンジンによる開発」⇒「金型エンジンによる開発」⇒「量産」 と分けることができます。
そして、砂型エンジンでの開発の次に金型エンジンでの開発というプロセスを踏むのには理由があるのですが、長くなってきましたので、今回はざっくりした開発の流れまでで、次回にもう少し掘り下げて書いて行こうと思います。
では!
先週は3連休でしたが、12日(土)の台風19号は本当に被害が甚大で、心が痛みます。
この度被災された方、心よりお見舞い申し上げます。
私が住む大阪も去年の台風21号で大きな被害が出て、私の家やまわりも被害が大きく本当に大変だった思い出がありますが、今回被災された地域におきましても、一刻も早い復旧をお祈り申し上げます。
さて、話が車の話になりますが、今回は前回のアテンザワゴン試乗インプレッション【乗り心地編】に続き、アテンザワゴンのインプレッションとしては最後となる【総評編】を記載したいと思います。
今回試乗を行ったアテンザワゴンに関する総合的な印象としては、車を印象付ける全ての要素において光る部分がある、バランスに優れた非常に良い車だと思います。
まず、デザインはMAZDAのオリジナリティー溢れる、センスが良くカッコいいデザインを実現しており、ここまで純粋にカッコ良いと思えるワゴンは他に見当たりません。
パワートレインでは、国産車ではまだまだ搭載車種の少ないディーゼルエンジンを搭載している点が特徴的ですが、実際に圧倒的なトルクによる優れた加速と低燃費を両立したディーゼルエンジンは間違いなく光る特徴的な部分だと思います。
また、ボディー・シャーシにおいては、凄く自然で懐の深いしなやかな乗り心地も国産他社には無い気持ち良さを持った光る部分です。
更に、プレミアムオーディオとしてBOSE製のサウンドシステムをオプションで選べる様にしていたり、内装に白の本革を採用し高い質感を実現しているなど、内装においてもなかなか他社には無い独自性のあるものとなっています。
細かい部分にはなりますが、アクセルペダルにオルガンタイプを採用している点なども、MAZDAが他の国産メーカーの車とは一味違う、走りに拘る良心が出ている部分だと思います。
以上、車の乗り味の印象を決定づける要素において全てが高いレベルにあるこの車ですが、実際に長距離を運転した際も、ディーゼルエンジンの大トルクによる余裕駆動力の大きさから得られる疲労の少なさと、自然で優れた乗り心地による疲労の少なさから、本当に疲労が少ないですし、低燃費による長い航続距離、更に、荷物をたくさん積むことができるワゴンボディーということもあり、高速道路を使っての長距離のご旅行、ドライブなどには本当に適している車と言えます。
今の国産車に、この車の様なLサイズステーションワゴン車は本当に少なくなってしまいましたが、車に拘りを持つが故に、『これといった特徴が無く、全ての部分が丸く平均点』という車に飽き、良しとしない、そして荷物を一杯積んでの長距離の移動が多い、そしてなによりもカッコいいステーションワゴンが欲しい!という方にとりましては、この車は非常に良い相棒になるのではないでしょうか。
以上、3回に渡り、アテンザワゴンの試乗インプレッションを記載して参りましたが、次回からはHONDA N-WGN(旧モデル)の試乗インプレッションを記載していこうと思います。
あ、でも、今週末は愛車であるGLC43の1年点検も控えており、面白い代車を出してくれるかもしれないので、そっちが先になるかもです。
では!
今週はせっかく3連休なのに台風が心配な今日この頃ですが、一気に日中も過ごしやすくなりましたね。
さて、前回、MAZDAご自慢のディーゼルエンジンを搭載しているGJ型アテンザワゴンの【走行性能】に関して記載致しましたが、今回はこの車の乗り心地に関するインプレッションに関して記載しようと思います。
まず、このGJ型アテンザワゴンのプラットフォームには、軽量高剛性ボディの「SKYACTIV-BODY」や軽量設計のシャーシ「SKYACTIV-CHASSIS」と言われる、MAZDAの新世代技術構想が採用されていおり、文字通り、軽量且つ高剛性のボディーとシャーシを実現していると謳われています。
そのシャーシに関しては、この車の為に新開発されたサスペンションが採用されており、形式としてはフロントがストラット、リアがマルチリンク形式となっています。
このボディーとシャーシの組み合わせによる乗り心地の印象としては、『さすがMAZDAのフラッグシップワゴン!』といえるのもで、非常にしなやかで突き上げ感の少ない良好な心地を実現しています。
もう少し細かく見ますと、まず、サスペンションストロークが十分確保されており、大きなうねりや段差でもサスペンションの底付き感が少なく、高速道路等の高速走行時もしなやかに足回りが良く動いて本当に快適な乗り心地です。
また、試乗した車両はXD L-Packageと呼ばれる最上級グレードの為、19インチの大径ホイールとタイヤを履いていますが、剛性面で不利なワゴンボディーにも関わらずボディー及びシャーシ剛性が高い様で、段差でもバネ下やフロアが震えるといったことは皆無で、バネ下の重さを感じさせないスッキリとした乗り味を実現しており、この乗り味が高級感ある乗り心地に繫がっています。
もう一点印象的なのが、サスペンションのスプリングレートとダンパーの減衰力の設定が適切で、どちらかが勝っているということも無く、とにかくサスペンションが良く動いている様子が伝わってくる、本当にナチュラルな乗り心地(抽象的な表現で恐縮です)となっている点です。
欧州車はどちらかというと極めて高い剛性を誇るボディーに高い減衰力を発生するダンパーで、ボディーの動きを抑えてフラット且つしっかりした乗り心地を実現しているのに対し、日本車はボディー剛性が少し不足気味で、更にスプリングレートに対しダンパーの減衰力が低く車が動きすぎる傾向があるように思いますが、この車は本当にその中間で、基本的にはフラットでありながら、適度に動くといった印象の本当に嫌な気になる部分が無い、自然な乗り心地を実現しています。
この自然な乗り心地でありながら直進安定性も高い為、高速道路を運転しているときにも疲れが非常に少なかったです。
MAZDA車の乗り心地は最近この傾向で、独自の良い乗り味を実現している様に思います。
また、静粛性も高く、タイヤがDUNLOP製のプレミアム静音タイヤ ルマン5を履いていたこともありますが、ロードノイズも小さい上に、ワゴンボディーでは不利な段差通過時の反響音も小さく、総じて静かで高級感のある雰囲気を実現しています。
ハンドリングに関しては、この部分も過度な演出の無いナチュラルという言葉が適切なもので、ハンドル操作に対して極端にゲインが高い訳でも、スローな訳でもなく、ハンドルを切ったら切った分だけ適度にロールしながら思い通りに動いてくれる為、スムーズなハンドルの動きと相まって非常に運転していて気持ちが良いです。
以上が、簡単ではありますが乗り心地に関する印象ですが、MAZDAも当時のフラッグシップ(今はCX-8かな?)となるアテンザに対し相当セッティングも煮詰めたのだと思います。
フラッグシップワゴンとして相応しい、ナチュラル且つ質の高い乗り心地でありながら、これ見よがしの演出の無い自然であり、長時間乗っても疲労が少ない快適な乗り心地を実現している点が非常に好印象でした。
次回はアテンザワゴンでは最後となる、【総評】をUPしようと思います。
では!
日中はまだまだ暑いですが、朝晩は涼しくなり、すっかり秋めいてきましたね。
秋の空気はなぜかドライブをしたくなるのは私だけでしょうか?
雰囲気や匂い、空気の温度がなぜか、非常にドライブをしたくなる気分にさせてくれます。
あまり暑いと車に申し訳ない感じがしますが、涼しくなると車にとっても優しく、気温が下がると空気密度が高くなり、エンジンパワーも明らかに上がる為、乗っていても気持ちよく運転できます。
さて、先日、マツダのフラッグシップとして登場したGJ型アテンザワゴンの2.2Lディーゼルエンジンモデルに試乗する機会がありましたので、試乗インプレッションを記載したいと思います。
アテンザは最近MAZDA6と改名しましたが、試乗したのは、H26年式の車なのでアテンザワゴンと名乗っていた時代の車で、XDと呼ばれるグレードで2.2Lツインターボディーゼルエンジンを積んだモデルとなります。
いつもの様に、パワートレインの印象が主となる『走行性能』、ボディー・シャーシの印象が主になる『乗り心地』、最後に全体的な印象となる『総評』と分けてインプレッションしようと思いますが、今回は『走行性能』に関して記載しようと思います。
まず、この車両のパワートレインはマツダが誇る2.2Lディーゼルツインターボエンジン(SKYACTIVE-D)と6ATの組み合わせとなります。
この2.2Lディーゼルツインターボエンジンのスペックは、最高出力が175ps/4500rpm、最大トルクが42.8kgm/2000rpmとトルクの値が非常に高く、最新の欧州ディーゼルエンジンにも全く引けを取らないスペックです。
実際のドライブフィールとしては、低回転域からNAガソリンエンジンで言えば4.2L級のトルクを発生することに加え、車重がこのクラスの車としては非常に軽量な1530kgしかない為、アクセルを踏み込むと即座に怒涛のトルクによる蹴飛ばされるような加速をします。
そのトルクの出方もディーゼルエンジン特有のもので、1000r/minちょっとという低回転域からでも、少しアクセルを開けるだけで、太いトルクで、低回転域を保ったまま変速していき、グイグイと車を押し出してくれます。
この余裕駆動力の大きさを感じさせてくれるトルク感はディーゼルエンジンでしか味わえない本当に気持ち良いものです。
更に、一般的なディーゼルエンジン搭載車は、アクセルを踏む込んだ際、最初は頼もしい加速をしてくれますそこから先が・・・となるのですが、この車のスゴイのは、軽量な車体に大トルク、更にディーゼルエンジンとしては高回転志向エンジンという組み合わせにより、その力強い加速力が高回転域まで続きます。
この様な独特の加速感を味わえる車は国産車では他になかなか無いですね。
いつでも大トルクによる力強い加速を引き出すことができるというのは、心の余裕にも繋がり、無闇にアクセルを踏み込んで、飛ばそう!という気分にもならないので、安全運転にも繋がるのではないでしょうか。
また、本車両のアクセルペダルは国産車では珍しいオルガンタイプの為、高速道路等では足の疲労が低減されるだけでなく、繊細なアクセルワークが可能となり、本当に思い通りの加速力を引き出すことが可能で、運転の楽しさ、気持ち良さを引き上げてくれています。
続いて、ディーゼルエンジンでは必ず議論に上る音に関してですが、マツダのディーゼルエンジンは非常に低圧縮比での燃焼を可能としており、元々燃焼音が小さいことが特徴であることに加え、アテンザは高級志向の車の為、遮音材・防音材を奢ってあるのか、窓を閉めている状態では、アイドリング時と発進時のみ、遠くからカラカラという燃焼音がわずかに聞こえてるレベルで、少し速度が上がると全くディーゼル特有の燃焼音は聞こえてこず、本当にガソリンエンジンとの区別は難しいほど静かです。
一変、アクセルを踏み込んだ際には、V8エンジンのような『グロロロー』というサウンドがかすかに聞こえてきて、力強ささえ感じさせてくれる為、運転していて楽しくなります。
ディーゼルエンジンによる印象が支配的となってしまいましたが、ミッションについても簡単に触れておきますと、自社製の6ATが搭載されておりますが、非常にロックアップ率が高くダイレクトな加速・減速をしてくれるにも関わらず、変速はいつ行われたかわからない程滑らかと非常に優秀なミッションといえます。
エンジン、ミッション共に自社開発という強みを生かして、緻密にセッティングされているなぁという印象です。
以上、低回転から大トルクを発生するディーゼルエンジンと、ロックアップがタイトでダイレクトな駆動感を実現しているミッションの組み合わせによるパワートレインは、他の車ではなかなか味わうことが出来ない大きな特徴を持ったもので、このパワートレインの為にこの車を選んでも決して後悔することはないと思います。
以上、走行性能編でしたが、次回は主に乗り心地に関する『乗り心地』に関してのインプレッションを記載したいと思います。
では!
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