
昨年から、360°ビューモニタ映像を常時表示させる方法を探してマツコネ周りのハード、ソフトについて調べています。
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360°ビュー映像常時表示への道のり(まだ途中)
いろいろな資料や情報、それと自車で実際に調べたデータなどから現時点でわかってきたことをまとめておきます。
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上図は簡単な機能ブロック図。もちろん推測である。
ネットに転がっていた360°ビューモニタシステムの配線図によると、4台のカメラからの信号はすべて360°ビューモニタコントローラなるものに入ってきて、ここでカメラ画像が合成されて鳥瞰画像などの映像信号としてマツコネへ送られる。
マツコネ本体(CMU)にはもともとバックカメラ映像用の入力端子がある。次に示すように、ここに360°映像信号が入力されていることを確認した。
①ACC/IGオンでCMU裏のコネクタ1A、1Bには15kHzのパルス信号がきている。CMUは再起動後のプロセス中でこの信号を検知することでカメラ映像信号が接続されていることを認識する、といわれている。
②シフトをリバースに入れると映像信号らしきものが流れた。360°ビュー画面のリアをメインとした映像であろう。
③同様にViewボタンを押すと②とは別の映像信号らしきものが流れた。360°ビュー画面のフロントをメインとした映像であろう。
④ちなみにコネクタ1のG、H端子にはTV/DVD映像信号が入ってくる。TV映像はDVDプレーヤーを経由してCMUにやってくる。つまり、TVとDVDは信号線を共用している。メーカーオプションでDVDとTVチューナーがセットになっていた理由の一つがこれであろう。
さて、シフトをリバースにしたりViewボタンを押すとマツコネ画面が360°ビュー映像に切り替わるのだが、これらはいったいどんな仕組みになっているのだろうか?
エンジン回転数、速度、シフト位置等の車両情報や、ドアをロックした、ライトをつけた、クラスタスイッチを操作したなどのイベント情報はCANバス上を流れている。我がアクセラは(他のマツダ車もそうだが)HS-CANとMS-CANという2つのバスをもっている。
360°ビュー映像の切り替えに関連するイベントが起きた時、バス上のデータがどのように変化するのか自車で調べてみた:
HS-CAN ID 0x4F7のB1 → カメラ映像がOnになる状況で0x82、Offになる状況で0x02
HS-CAN ID 0x4F7のB6 → カメラ映像がフロントメインのとき0x8C、リアメインのとき0x5C、カメラ映像無しのとき0xBC
MS-CAN ID 0x4F7のB1 → カメラ映像がOnになる状況で0x80、それ以外は0
MS-CAN ID 0x4F7のB6 → ViewボタンOnで0x8C、同Offで0xBC、リバース時0x5C
MS-CAN ID 0x4F8のB2 → コマンダーボタン押下(視野切り替え)で0x50、それ以外は0x40
今のところ判明したのはこれだけである。
これらのCANバス上のデータを360°ビューモニタコントローラとCMUは認識して映像を切り替えているものと推定されるのだが、本当にそうなのか確かめてみた。

中古の第1世代マツコネハード一式(CMU、モニタ、コマンダー)を実験用に入手した。
汚い写真でわかりにくいが、Arduino+CANドライバでCAN信号を送受信することができるようにした。HS-CAN信号はCMU裏コネクタ2のE、F端子である。
写真には写っていないが、映像のソースとしてバックカメラ映像信号をコネクタ1のA、B端子につないでいる。
これまでの推測が正しければ、マツコネが立ち上がった後にHS-CANバス上にID= 0x4F7の第1バイト=0x82、第6バイト=0x8Cか0x5Cのデータを流しこんでやればカメラ映像に切り替わるはずだ。

で、やってみたらマツコネ画面がカメラ映像に切り替わった!😂!
(実は、ここまでこぎ着けるのにかなり苦闘したので嬉し泣きになっている)
推測はだいたい当たっていたようだ。しかし、1秒くらいですぐに元のメニュー画面に戻ってしまう。カメラ映像を映し続けるための「条件」が何か他にあるようだ。
元々の目的は360°映像の常時表示なのだから、この「条件」をこれから見つけていくことになる。
さて、ここで大きな謎がある・・・。
それは360°ビュー画面の視野切替(トップビュー→フロント(リア)のみ→両サイド)の仕組みが不明なことだ。
最初の機能ブロック図からわかるように、視野切替を指令するコマンダーはCMUとしかつながっていない。視野切替を実行するのはCMUではなく、360°ビューコントローラのはずなので、この切替指令の情報はコマンダーボタン→マツコネCMU→HS-CANバス→(何か中継機器)→MS-CANバス→360°ビューコントローラとなっていると思われる。
つまり、HS-CANとMS-CANで情報のやり取りをどこかでやっていることになるのだが、ほんとだろうか?もしそうだとしたら、コマンダーボタンが押されたらHS-CAN上に何らかの情報が流れるはずなのだが、今のところそれが見つかっていない。謎である。。
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何はともあれ、実験用の機器でカメラ映像を出せるようになったのが大きな進展です。これで、実車の装置を使わずに、実験機器でソフト的、ハード的にいろいろ試せます。
文鎮化のリスクが非常に高い作業ですが、実験機器なら気にせずに思う存分いじくりまわすことができます。
また何か進展があったらブログか整備手帳に書かせていただきます。
Posted at 2021/07/09 19:28:25 | |
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