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100ans-de-solitudeのブログ一覧

2007年07月15日 イイね!

雨上がり 駐車場にて

台風が太平洋へ抜けて, 雨が上がった午後, Maria の去った駐車場へ独り行ってみました. ここにあの美しい姿が帰ってくることは, もうありません.

昨日, 担当の K さんに Explorer で湘南台の駅まで送ってもらい, 電車に乗って帰りました. どうして僕は電車に乗っているんだろう? 来たときは確かにクルマだったのに. そんな違和感が拭えませんでした. これまでも湘南台に Maria を置いて帰ったことはありました. おととしの車検のとき, ボディをガラスコートしたとき, オルタネーターを交換したとき. けれど Maria はいつも数日で帰ってきて, この駐車場のいつもの場所に腰を落ち着けるのでした. だから昨日も, 僕は1週間もしたら Maria に再会でき, 何ごともなかったようにこの駐車場へ帰って来られるような, そんな気がしてならなかったのです.

連休中日の午後で駐車場は閑散として, Maria のいた20番以外にも空いたスペースが目立ちました. でも20番が空いている, ただそのことが僕には空虚に感じられました. 出かけているクルマが多いなかでなぜか向かいの列にはフェアレディZ, プレジデント, セフィーロの日産車3台が揃っていました. この広い駐車場で Maria より古参の車は, この3台だけなのでした. Z だけはいつものようにカヴァーを被っていたけれど, 3台が1枠おきに並んだ姿は, まるで去っていった仲間を見送って整列したまま, 舷側に立ち尽くす船乗りのようでした.

14年間, いつもこの場所で僕を待っていてくれた, その姿がもはやほとんど風景の一部と化していた僕の愛車. くて派手だったけれど, きっと最近は地域の人たちも, 馴染みを感じてくれていたに違いない. そんな, 代わるもののない僕の Maria de Buenos Aires...

ありがとう, さようなら.
Posted at 2007/07/25 00:38:39 | コメント(0) | トラックバック(0) | Ford Probe LX | クルマ
2007年07月14日 イイね!

別れのパリ祭 雨

別れのパリ祭 雨7月14日はフランス大革命が始まった日です. 日本ではパリ祭と呼ばれています. 仏語にはなぜか, この国家最大の祝日を表す固有名詞がありません. ただ le quatorze juillet (7月14日) としか呼ばないのです. 日付を言えば何の日だか誰でも知っている, そういう祝日だからでしょう.

けれども今日, 僕は雨のなかを, マリを引き渡しに行かなければ. こんなに悲しいパリ祭はこれまで経験がありません. マリの車検は今日で切れます. ディーラーは今日が終わるまで乗っていても, 仮ナンバーで引き取りに行けますと言ってくれました. でも僕は自分の手でディーラーまで連れて行くことに決めました. ディーラーを通さずに廃車解体業者に持ち込めば1万円前後は安く付くことも調べたけれど, そうしないことも決めました. これまで15年間, マリはディーラー車だったのだから, 最後までディーラー車としての生涯を全うさせよう. そして僕の手でマリを葬ろう. そう決めました. 今日という日を, 決して忘れることはないでしょう.

午後, 雨は次第に激しくなって, 車の列は滞りがちでした. 藤沢と横浜の市境辺りで, モノスペースなど3台の玉突き事故を見ました. こんな天気でも行楽の帰りなのか, 小さな子供を抱いたお母さんが救急車に乗るところでした. 僕も雨に気を取られて道を間違えていました. ディーラーは藤沢市北郊にあるので, 横浜まで来てはいけないのです. 国道から逸れて少し戻りました. 陰鬱な日. でも湿っぽいお別れはイヤでした. マリは楽しいクルマだったのだから. 最後まで楽しく走って行こう. 取り外したオーディオの代わりに CD ラジカセを積み, ハッピーな J-POP を大音量で聴きながら行きました.

ディーラーに着いて車を降りるときは, 不思議と何も感じませんでした. オドメーターは 102,271.8 km を表示していました. フロント・ウィンドウ・シールドを流れ落ちる雨滴が, 涙のように見えました.

1993年の春の日記.
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4月30日(金) あめ
6時半に起きた。10分遅刻した。1日中, 霧のような雨が降っていた。車が来た。午前中はオーダー関係の書類とディーリングルームでのサポート。コンパックのキーボードが英語モードでうまく働かなかった。お昼は有楽町東口の定食屋に入ってみたら美味かった。-(中略)- バンキングのウィンドウズが愚図ったので6時半まで残業。帰るとプローブが来ている。何だかボンネットが厚く, 屋根も高くて, 思ったより丸い。でも悪くない。期待もしなかった CD までついているし, 後ろ, 特に斜め後ろから見ると本当に格好いい。(神奈川県下にて)
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あの日, 僕はまだ金融システムの仕事をしていて, 日記の半分はそのことを書いています. 初めてのクルマが納車されて, もっと興奮して言葉を連ねてもいいのに, 突き放したように批評めいたことを書いているのは, クールを気取ったのでしょう. まさかこんなに長い道のりを一緒に走るなんて, 予想もしていなかった.

あの日から, いやあの日以前から今日まで, たくさんの人に支えられて, Maria de Buenos Aires は走ってきました. フォードとマツダそれぞれの現場で初代プローブの開発に携わった人たち, オハイオ州リマでヴァルカン・エンジンを, ミシガン州フラットロックでプローブの完成車体を組み立てた工場労働者たち, 船に載せたり降ろしたりしてくれた港湾の人たち, L/C を発行した銀行員, 広島の宇品港で日本に入国させてくれた通関士, 税関の人たち, 日本の保安基準に適合させてくれたマツダのひと, 横浜まで運んでくれた陸送屋さん, オートラマ市が尾店, 伊勢原店, フォード湘南平塚店, フォード横浜湘南台店それぞれの営業さん, サーヴィスさん, ガソリンスタンドのお兄さんお姉さん, 自動車用品店の店員さん, ホテルやレストランやディスカウント・ストアの駐車係の人たち, 頼んでもいないのに道を教えてくれた沿道のおじいさん... みんな, みんな, ありがとう. あなたのおかげで, マリアと今日まで楽しく過ごせました. 心からお礼を言います.

マリアのために, マリアと共に.
Posted at 2007/07/24 01:39:50 | コメント(0) | トラックバック(0) | Ford Probe LX | クルマ
2007年07月13日 イイね!

聖大金曜日のミロンガ

聖大金曜日のミロンガオーディオを降ろすには, バッテリーの接続をいったん外さなければいけません. そうするとマリのドライヴ・コンピューターはリセットされて, あの素晴らしい長崎旅行や1月に名古屋へ行った記録が消え去ってしまうでしょう. 1990年代の初頭に作られたマリには, フラッシュメモリーは積まれていないから. もちろん, これまでもマリのバッテリーは何度か交換してきたし, それ以外にも部品の付け外しのために結線を外したことはあります. 映画 "2001年宇宙の旅" の HAL じゃないので, マリが僕との旅路を "記憶" しているわけではありません. でも彼女の "記録" をリセットすることにはどうしても抵抗があって, 僕は街を一周ドライヴしてきたあと, しばらく逡巡してからようやくバッテリーを外しました.

Memorial audio version PROBE の銘板も麗々しいトノーボードに固定された BOSE のスピーカーは手強いように思われたけれど, 裏側から止めていた2本のウィングナットを緩めたら呆気なく外れました. スイッチング・ボックスはネジ止めだったけれど同じくらい簡単でした. アンプに至っては滑り止めにマジックテープが貼ってあるだけで, 配線を解いて束ね直すほうがよほど大変でした. これに比べると, ヘッドユニットのほうは予想したより遙かに大変でした. Haynes のマニュアルを見ながらネジを1本ずつ探し出しては外して, でも巧く引き出せません. どうなってんだこれ?と格闘すること小1時間, "locking tab" の何たるかを理解するまでに陽は傾いて, 雨が降り出していました.

ステアリング・ホイールは諦めざるを得ません. マニュアルに従ってホーン・ボタンまでは外してみたけれど, このステアリング・ボスは手に負えそうにありません. 中古部品屋に電話して聞いたら, 安いステアリングは幾らでもあるけれど, プローブのような稀少車には合うボスがないだろうとのこと. 自分で換えるより解体屋に頼んで取っておいてもらったほうが簡単とのことでした.

すべての作業を終えると日没でした. これから大学の事務へ書類を取りにいかないといけません. 電話したら夜の10時まで開いているとのこと. 今日は金曜日. マリのためにせっかくお休みを取ったので, 最後に大学まで運転していこうと思いました. これから出かけると言ったら家族は驚いて, 夕食を採ってから行きなさいと言われました. たしかに僕はオーディオと格闘してヘトヘトに疲れていました. そこで夕食を採ってから出かけることにしました.

秦野・中井のインターから東名に乗りましたが, 何だか様子がヘンです. たいした雨でもないのに走行注意とか, 東京終点までの所要時間を示す電光板が4時間と出ていたりします. これは事故渋滞かなと思ったら, 案の定, 伊勢原市に入った辺りで止まってしまいました. しかも3車線がぜんぶ, ピクリとも動かない. こりゃダメだ. 21時を回る頃には, 僕はもうなんだか悟ったような気分になっていました. 書類は来週, 取りに行けばいいのです. 明日は雨になりそうで, マリを引き渡す前に県内のあちこちをドライヴする計画は実現できそうにありません. それなら雨が酷くなる前に今夜, ガソリンの続く限り走り回っていよう. 車列が流れはじめるまで, 僕はエンジンも切ってしまいました. 大学に電話を掛けて, 担当の Y さんに今日は行けなくなったと伝えました.

結局, 動きはじめるまで小1時間も掛かりました. マリと東名をよく行き来したのは横浜青葉 IC ができる前のことで, そのころ東名はよく渋滞しましたが, これほど酷いのに出会った記憶はありません. マリで経験できることはすべて経験しておけるように, 天の配剤がなされているような, 不思議な思いがしました.

厚木を過ぎると順調でした. 用賀で一般道に降りて, 大学に着いたのは22時半頃. 事務室はもう閉まっていて, 声のとても可愛らしい Y さんには会えませんでしたが, 研究室にはまだ学生がいました. 教授にも会えました. 廃車にするので, 最後に乗ってきましたと言うと, みんなマリのことを惜しんでくれました. 23時過ぎに, 同じ方角へ帰る学部の4年生を乗せて帰途に就きました. 東名を厚木まで. 途中で海老名の SA に寄って姪のために車のおもちゃを買いました. マリで出かけて買うガラクタもこれが最後です.

伊勢原で学生を降ろして家に帰ろうと思いました. でもガソリンがまだ 300 km 分も余っていました. 明日, 最後のドライヴをしようと思って, 現金は多めに用意してあります. ほんとうに最後のドライヴをしよう. そう思いました. もうオーディオも付いていない Maria de Buenos Aires で. 御殿場へ行こうと西にハンドルを切ってから, 考えが変わりました. やっぱり多磨へ. 国道129号線を八王子へ. そこから甲州街道を上って, 再び懐かしい三鷹の街へ. 6月17日に久しぶりで行ったばかりだけれど, マリと最後に行くところはここしかないと思いました. 14年前, クルマを買ったとき最初に行きたかった場所. 学部を卒業して2年目, 母校の回りにはまだ多くの友だちが残っていました. でもそれも2, 3年のことでした. 大学院を修了したり, 遠くに転勤になったりして, この地に訪ねるべき友はいなくなりました. それでも, マリとの原点に還るドライヴは, やはりここを目指すものでしかあり得ませんでした.

東八道路の "Gusto" に入って軽い食事をしてから, 夜明け前の街を1周しました. 昔, イグナイターが壊れてマリが突然停まってしまった, スーパー "サミット" から南下する道路. その屈辱の思い出が残る道を, 今日のマリはヴァルカン・エンジンの音も誇らしげに, 緩やかに加速しながら通り過ぎました.

マリと過ごした最後の夜. こうして朝まで走り回っていました.
Posted at 2007/07/23 03:29:26 | コメント(0) | トラックバック(0) | Ford Probe LX | クルマ
2007年07月12日 イイね!

最後の木曜日

職場を出たときパラついていた雨も, 家の最寄り駅を降りる頃にはすっかり止んだ. マリア, 今夜も少しだけ君と走ろう.

今夜もまたボンネットにマイクを付けて, ヴァルカン・エンジンの音を録らせてもらうよ. フリクションの大きなピストンと, 12本のコンロッドが奏でる OHV エンジン独特の音は, 確かに古臭くもあるし, スポーツカーらしい軽快さとは無縁のものだ. でも僕は君のこの声が大好きだ. 懐かしい温もりと味わいがある.

君のお姉さん Ford GT40 のことを, さる自動車評論家が語っていたよ. 卑しい生まれで貴族の世界に挑んだ, 歴史に残る名車だと. そう, Ford のスポーツカーには伝統的に, その設計コンセプトにおいてヨーロッパ車, とりわけ Ferrari への抜きがたい劣等感が内在していた. 君もその例外ではないだろう. 格子グリル, リトラクタブル・ヘッドライトの造形, Rio Red Tinted をイメージ・カラーとしたボディもそうだ. 君は確かに大衆車メーカーの製品だった. でも決して卑しい存在ではなかった. いわば北米の大農場主に授かった末娘のような存在. 家柄は歴史に名を残すものでないかもしれないが, 躾のよい洗練されたレディだった.

敢えて旧式のエンジンを積んで, 焦ることなくゆったりとクルーズさせる. そういう高級ツーリング・カーのありかたが見直されてもいいと思う. でなれければどうして, ベントレーは先代のアルナージュに自社製 V8 OHV を積んだ Red Label をラインナップしたのだろう. クライスラーはなぜ 300 に OHV の Hemi Head エンジンを復活させたのだろう.

明日, 君からオーディオを外す. 出来たらステアリング・ホイールも外して保存しておきたいと思っている. いよいよお別れだ.
Posted at 2007/07/13 04:58:43 | コメント(0) | トラックバック(0) | Ford Probe LX | 日記
2007年07月11日 イイね!

最後の水曜日

最後の水曜日ねえ, マリ, 最初の夏に軽井沢へ行ったことを憶えてる? 運転自体まだおっかなびっくりだった僕にとって, あれは大冒険だった. あのとき助手席に載せていた子と, 僕は結婚するつもりだった. そして君は, 新しい家族のクルマになる予定だった. でもそれは実現しなかった. 軽井沢へはその後も何度か行ったね. 君がいちばんよく知っている遠くの観光地だ.

2年目の夏には神戸へ行ったね, その帰りにも軽井沢へ寄った. あれから半年後に神戸は大変な震災に遭った. それから12年で美しく復興した街を, 僕たちはこの前の長崎旅行の帰り, 阪神高速から見たね. 偶然だったけど, 中国道を降りて阪神高速を走ることになったのは, とてもよかった.

箱根もよく登った. 伊豆半島も走ったね. 伊勢にも行った. 大学院で仲良くなった韓国からの留学生と一緒に, 伊勢神宮を見学に行ったんだ. いつか韓半島が平和に統一されたら, このクルマを関釜フェリーに乗せて平壌までドライヴしたい. そう話すと彼は僕らの目が黒いうちは不可能だと言った. 残念ながら彼の悲観のほうが当たってた. 少なくともマリ, 君の足で平壌へ行くのは, もう無理だ.

セミナーや調査のために, 嬬恋や飯能にも行った. 君を廃車することになったとき, 思い出の場所をぜんぶ訪ねたいと思ったけれど, もう時間が残っていない. でもそうした旅の数々を僕は決して忘れないだろう. そしていつか, それほど遠くない将来, 次のクルマと出逢えたとき, 軽井沢や神戸に行くことにするよ.
Posted at 2007/07/12 04:04:50 | コメント(0) | トラックバック(0) | Ford Probe LX | 日記

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「そして, C4 http://cvw.jp/b/302406/41959138/
何シテル?   09/18 01:59
1992年式 Ford Probe 3000 LX (E-1ZVTU) に乗ってきました. 1993年4月30日に限りなく新車に近い中古で手に入れて以来, Ma...
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