(裏技)クラッチアクチュエータ補強
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
![](/images/icon_difficult_on.svg) ![](/images/icon_difficult_on.svg) 中級 |
作業時間 |
3時間以内 |
1
先日、1007オーナーでみん友の ぷぜうさん から、クラッチアクチュエータについての問い合わせを頂いたので、バックアップデータから画像をサルベージしてきました。
〉〉
この画像は車体からアクチュエータを外して蓋を開けてみたところです。
タイムスタンプは2009年2月14日。
まだ走行距離2万kmくらいの頃だと思いますが、かなり綺麗です。
モーターで外周にギヤのついた黒い部品を回しスプリングを縮めて、そのスプリングのパワーでクラッチフォークを駆動する仕組みで、右下のクリーム色の部品が最も重要な機構です。(あとで説明します)
2
次は2012年4月21日の作業画像
走行距離は4万km手前くらいだったと思いますが、
変速がギクシャクしてきたため、アチュエータを部屋に持ち込んで分解洗浄した上でPTFEグリスを各部へ注入した時のものです。
シフトアクチュエータに比べると部品構成はかなりシンプルです。
オレンジ色のところはリンクが内部にありますがカシメで固定されているため外せません。
この画像は2012年にフランスのプジョー1007コミュニティ「Forum Peugeot 1007(
https://www.club1007.net/forum/index.php)」へ投稿したことがあるので、ネットの海のどこかで漂流してるかもしれません。
伸び縮みしてクラッチフォークを駆動する部分にゴムのベローズが付いていますが、この部分が外れてしまうと内部に水や異物が侵入してしまいます。
これが、クラッチアクチュエータがトラブルを起こす原因の一つだと自分は考えています。
トラブル防止のために赤線で囲った部品とベローズの青線の部分をゴム系の接着剤で一体化させてしまうことをオススメします。
(これと同じことをGoogle頼みでフランス語にして投稿してあります)
画像ではアルミのハウジング(ケース)に断熱シートが貼ってありますが、
真横に配置された排気系からの放射熱を少しでも遮断するためのものです。
本当はアルミ製の遮熱板を空間を開けて設置したかったのですが、面倒になってお手軽な方法に逃げました。
多分、気休めだったと思います。
(数年前に交換した新しいアクチュエータにはまだ貼っていません)
3
「クラッチアクチュエータ」は、プジョー1007の「2トロニック」と、シトロエンC2およびC3の「センソドライブ」と呼ばれた2ペダルMTに共通する部品ですが、壊れるとクラッチが切れないor切りっぱなし状態で立ち往生することになります。
webに散見される定番のトラブルは、駆動モーターのネジ状のピニオンギヤが軸ごと折れてしまう事例のようですが、この原因はひとつ前に紹介した異物侵入だと思います。
ちなみに後継の2ペダルMT「ETG5」ではクラッチフォークを引っ張る方向に作用する「プル型」に変わっていますが、基本的な仕組みは一緒のようです。
4
そろそろクラッチアクチュエータの核心に迫ります。(おおげさ)
最初に説明した、クリーム色の「最重要部品」を分解した画像です。
この部品は、クラッチ板の摩耗進行によって発生するクラッチレリーズフォークの位置変動を吸収するために「ワンウェイクラッチ」のように働くもので、
動作的には、ノック動作不要で芯の長さが自動調整される最近の高機能シャープペンシルと同じものです。
なお、銃火器方面に明るい方はお気づきかもしれませんが、H&Kの自動小銃に使われる「ローラーロッキング」に似ています。
5
ここからが、ちょっと秘密にしておきたかった「裏技」になります。
〉
これは2015年1月11日の画像で走行距離は6万kmくらいだったと思いますが、発進時のクラッチジャダーが酷すぎて耐えられず、真冬で寒いのを我慢して取り外した時のものです。
赤線と青線の部品は本来は一体のもので緑線の部品と組み合わさっているのですが、赤線の部品が分離してしまっています。
なお、オレンジ色の部品は外側のケースですが、内部に金属ライナーが鋳込まれていて、そこそこの重量があります。
6
問題の部品は、緑線の部分で点付け溶着してあるだけなので経年変化や衝撃によって接合が外れてしまうようです。
対策としてエポキシ接着剤で固定したうえで接合部に下穴を貫通させ、ネジで締めて補強しました。
このネジはたまたま手元にあってサイズが丁度良かったものです。(最初はRCカーのパーツと書きましたが、あとで確認したらHDD内の細いネジでした。)
7
ここからはメカ二ズムのセンス(感覚)がないと理解しにくい話しになりますが、ワンウェイクラッチ部品の動作を説明します。
この画像で赤線の部分にスプリングを縮めたパワーが入力されてきますが、
その入力部分の先端に金属の「クサビ」が付いていて、両脇にあるローラーを外側に押し出すように働きます。
押し出されたローラーは、オレンジ色の鉄製ライナー(ふたつ前に紹介したやつ)に接触し、クサビの効果で動きがロックされてスプリングのパワーをオレンジ色のライナー側へ伝えます。
この動作のときワンウェイクラッチ機構の内部が、油や水によって「ウェット状態」にあると、パワー伝達のタイムラグやストローク不足が発生します。
アクチュエータ内部にオイル系のスプレーを吹くと、アクチュエータ自体は一時的に調子が良くなりますが、あとでクラッチのほうが壊れる、ということが起るのはこういうことです。
なお、補強した問題の青線の樹脂部品ですが、これはクラッチを戻しきった時(スプリングを縮めたとき)に、ローラーを押してクサビによるロックを外すことで、クラッチ板の摩耗による位置変動を吸収するように動作するものです。
ここが壊れると、3ペダルのMTで常にクラッチペダルが軽く踏まれ続けているのと同じ状態になっていくため、レリーズベアリングの負荷が高まって壊れたり、クラッチが異常摩耗する原因となります。
8
ここまでの説明で勘のいい方はお気づきになったかもしれませんが、このクラッチアクチュエータは、クラッチを切る方向ではスプリングのパワーに頼るだけでストロークは全く制御しません。
ワンウェイクラッチが内蔵されていることと、この「ストローク」を勘案した、もう一つの裏技があるので、あとで追加投稿します。
[PR]Yahoo!ショッピング
入札多数の人気商品!
[PR]Yahoo!オークション
関連コンテンツ
関連整備ピックアップ
関連リンク