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おっさんくんのブログ一覧

2020年07月18日 イイね!

日産アリアのモーターから設計思想を考察する

日産アリアのモーターから設計思想を考察する日産の新型EVアリアが発表されました。初代リーフ以降ほとんど変わっていなかったパワートレインも大きく手が入っているようです。
特にモータは、長く使い続けてきた十年選手EM57から、やっと新開発のモータになりました。
このモータですが、主流の永久磁石同期モータの最新改良版かなと思っていましたが、なんと巻線界磁式の同期モータのようです。
出典: https://www.netdenjd.com/articles/-/235199

巻線界磁式の同期モータと言えば、電気機器の教科書の同期モータの基本原理を説明する最初に出てくる基本的で古くからあるモータです。

移動体駆動用のモータとしてはこれまで実用化例はあまり無いのではと思います。
電車の駆動システムがわかりやすいと思います。抵抗制御の直流モータ駆動に始まり、制御装置の無接点化と回生ブレーキを実現するためにチョッパ制御の直流モータ駆動が開発され、さらにモータの保守軽減を目的にインバータ駆動の誘導モータ駆動が実用化されて現在の主流になっています。
一部ではモータの高効率化を目的に永久磁石同期モータも適用されています。

電気自動車の駆動システムも基本的には同じ構成であり、高効率化とパワー/トルクウエイトレシオを重視して、近年はほとんどの電気自動車に永久磁石同期モータが使われています。パワーエレクトロニクス技術の進歩と、電磁界解析技術の進歩とともに、この30年くらい進化してきたモータが永久磁石同期モータです。

永久磁石同期モータは、界磁磁束を永久磁石で得られることもあり、定格効率としてはたぶん最も高効率なモータと思います。
ただし、永久磁石がロータに組み込まれて回転する構造であるので、無負荷連れ回り時にも鉄心内に磁束変化を生じるために損失が発生する点、高速回転では誘起電圧が大きくなりすぎて不都合なので、磁石磁束と逆方向の磁束を発生させるため電流をわざわざ流して磁石磁束を弱める制御を行う必要もあり、これで損失となる点はネガでした。
連れ回りが多い用途、高速運転が多い用途など、ネガが目立つ場合は、誘導モータが選択されることがこれまでの流れだったかと思います。(プリウス50のAWDモデルのリアモータ、テスラ(モデル3除く)等)

ところが今回のアリアは、その流れに乗らず、古風な響きの巻線界磁式同期モータを選択しました。

なぜなのでしょうか?

巻線界磁式では、永久磁石の代わりに電磁石で界磁磁束を作るので、無駄な電力が必要になります。また回転するロータに外部から電力供給するためにブラシが必要になり摩耗への配慮も必要になります。モータも大きく重くなるなど種々課題があると思います。電気自動車に使うにはどうもネガが目立つように思います。
唯一? 永久磁石と異なり、界磁磁束の大きさの調整ができるので、ゼロから最大まで、運転状態に応じて界磁磁束を最適に制御可能なので、無負荷連れ回りや高速回転での効率は良いのでしょうが・・・。

文献を探すと、今年の明電舎の技報に永久磁石同期モータと巻線界磁式同期モータを比較した文献がありました。どうやら、温故知新というか、巻線界磁式同期モータをもう一度見直してみようという動きがあるのかもしれません。

出典:明電時報
https://www.meidensha.co.jp/rd/rd_01/rd_01_02/rd_01_02_22/rd_01_02_17_01/__icsFiles/afieldfile/2020/04/07/No367_09_web_200406.pdf



グラフの右下の赤い線よりも下側の領域が、巻線界磁式同期モータが、永久磁石同期モータよりも効率で勝っている領域です。
これによれば、巻線界磁式同期モータは、中高速の低トルク域で、永久磁石同期モータよりも効率が良いとの結果のようです。理屈どおりのイメージで腑に落ちます。
クルマの使い方で言えば、一般道である程度速度が乗った状態で速度を維持するためにアクセルを少し開けた運転や、高速道路での走行全般において、巻線界磁式同期モータの効率が勝るということのようです。
低速でのゴーストップが多くアクセル開度の大きい街乗りでは、永久磁石モータの方が効率面で優れています。

結局、アリアはなぜ巻線界磁式同期モータを採用したのか?

運用の大半を占めると思われる市街地走行時の電費効率よりも、高速道路を使った長距離移動時の電費効率に主眼を置いた設計ということなのか?
確かに、自宅での継ぎ足し充電で十分まかなえる日頃の市街地運用よりも、充電が心配な高速長距離移動時の充電機会を最小化する点に軸足を置いた設計思想の方が現状の充電環境では合理的に思えます。
あるいは日本よりも、長距離高速移動の多い欧米向けの車両設計なのか?

どうなのかなぁ。
Posted at 2020/07/18 17:43:13 | コメント(2) | トラックバック(0) | クルマ
2020年06月28日 イイね!

EV/PHV 駆動用電池の冷却システム

EV/PHV 駆動用電池の冷却システム暑くなってきました。
駆動用電池の温度もじわじわ上がってきているようです。

プリウスPHVでは、エアコン連動の駆動用電池冷却システムが備わっています。
駆動用電池温度が高くなると、充電時に冷房運転して室内空気温度を低下させ、この空気で強制風冷することで電池温度を抑制する仕組みです。
この冷却動作は、電力を食うことからか、ユーザーでオンオフを選択できます。
システムオフ時に、駆動用電池冷却をして良いか?と聞かれることが増えました。
電池寿命をなるべく延ばすためには、必要に応じて冷却が必要。



さて、駆動用電池の冷却方法にもいろいろあるようで、トヨタ初EVであるUX300eでは専用エバポレータによる強制風冷式、最近発表されたRAV4 PHVでは冷媒循環による直接冷却が採用されており、トヨタではプリウスPHVの車室内冷気を利用した強制風冷式を含め3種類の冷却方式を採用していることになります。

他メーカではどうなのでしょうか?
ちょうど今年の4月にリリースされた電力中央研究所の文献を見つけました。

出典:
電力中央研究所 研究報告書(電力中央研究所報告)
電気自動車用蓄電池の冷却方法の調査
https://criepi.denken.or.jp/jp/kenkikaku/report/detail/C19003.html

まず冷却システム構成です。
いろいろありますが、大きく分けて空冷式、水冷式、冷媒直接式の3種類に分類されるようです。



空冷式では自然冷却式とエアコン併用の強制風冷式がありますが、自然冷却式は、外気温以下に冷却できませんし、電池寿命を考慮した電池上限温度以下で発熱量と放熱量のバランスがとれないと設計が成立しません。
水冷式ではエアコンを使わない単純なラジエター水冷も外気温以下に電池を冷却できませんので、冷却能力としてはやや劣るかと思います。
この2つの構成は、種々のシステム設計要件をうまくバランスできれば良いですが、一般的には難しい設計になりそうです。

他の方式は、強制風冷にせよ水冷にせよ、エアコンを併用しますので、よりアクティブに冷却が可能です。コストは掛かるでしょうが、現状の電池性能では必要なコストなのだと思います。



冷却方式と主な採用車種についてまとめられています。
主流はエアコン併用の強制風冷と水冷(液冷)のようです。
冷媒直接冷却は採用例はかなり少ないようですが、RAV4 PHVはこの方式を採用してきました。

冷却不要な頑健な電池が出てくるまでは、各社知恵をこらした冷却方式でリリースしてくるものと思います。


Posted at 2020/06/28 12:48:53 | コメント(1) | トラックバック(0) | クルマ
2020年06月13日 イイね!

RAV4 PHV発表! プリウスPHVからプラグインハイブリッドシステムはどう進化した?

RAV4 PHV発表! プリウスPHVからプラグインハイブリッドシステムはどう進化した?RAV4 PHVが発表されました。
プリウスPHV(52系)登場から3年、プラグインハイブリッドシステムはどう進化したのでしょうか。

まず性能ですが、プリウスPHVはEVモードで電池を使い果たすと普通のHVの制御になり、電池出力は低下し、アクセルが重くなったようにもっさり感じるところが残念ですが、RAV4 PHVではこの点が見事に改善されました。EVモードが終わっても電池出力がEVモード時と同じだけ維持されるようです。これでEVモード時とおなじようなレスポンスが確保されているものと思います。さらにHVモードではエンジン加勢で最高出力が大幅増加するのでHVに切り替わった後の残念感は皆無でしょう!試乗してみたいです。



次に駆動用電池ですが、容量増加も素晴らしいですが、冷却システムも大きく変えてきました。プリウスPHVは駆動用電池は車内設置で、冷却は車室内空調空気を利用した強制風冷式でした。これは初代プリウスから基本的には変わらない構成でしたが、RAV4 PHVではエアコン冷媒による直接冷却式となったようです。電池の床下配置と合わせて、技術的には大きく進化したようです。



RAV4 PHVより先に登場のUX300eの電池冷却は電池パック内にエバポレータを配置してこの冷気を電池パック内に循環する専用クーラつき強制風冷式でしたが、ここからも変えてきました。
https://minkara.carview.co.jp/userid/3057595/blog/43513909/

冷媒直接冷却方式では、ポンプも不要、ブロアも不要、ダクトも不要とおもいますので、電池システムをコンパクトに構成できるということでしょうか。
電池の温度管理をより適切に実施することで電池長寿命化にも寄与しているのだと思います。

なかなか魅力的です。

写真出典:
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1256684.html#010_l.jpg

Posted at 2020/06/13 10:06:24 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2020年04月26日 イイね!

不要不急の外出抑制の結果・・・今月の充電電力量は?

不要不急の外出抑制の結果・・・今月の充電電力量は?緊急事態宣言が出され、兵庫県内の感染者も全国上位のまま。
今月は買い物での運用がほとんどで、ほとんど遠出していません。
必要最小限、近所をEVとして運用していました。

4月の充電電力量を比較してみました。

昨年の4/1~4/25の充電電力量 60.1kWh
今年の4/1~4/25の充電電力量 35.9kWh

今年は昨年の60%ほどでした。

昨年はHVで遠出もしていましたので、
走行距離ベースでは今年は昨年の半分くらいになっていると思います。

コロナ禍、ほんとに早く収束してほしいものです。
Posted at 2020/04/26 19:09:38 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2020年03月28日 イイね!

Prius PHV? PHEV? Prime?

Prius PHV? PHEV? Prime?インドネシアでPrius PHVを発売するそうです。

https://mainichi.jp/english/articles/20200319/p2g/00m/0bu/083000c

https://drivenhype.com/toyota-hadirkan-prius-plug-in-hybrid-electric-vehicle-sebagai-upaya-mendorong-popularisasi-kendaraan-elektrifikasi-di-indonesia/


写真をよく見ると。。。
prius”PHEV”となっています。




日本・欧州向けはPHV、北米向けはPrimeですが、インドネシア向けはPHEV?
車名は世界統一にすれば良いのにと思いますが。。

個人的にはPrius Primeが好みかなぁ。
Posted at 2020/03/28 09:03:55 | コメント(1) | トラックバック(0) | クルマ

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