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山田山夫のブログ一覧

2026年06月05日 イイね!

ファン直付けは非効率? 25mmプレナム室(空間)の追加によるCPU冷却効率の定量化検証

1. はじめに(検証の背景)

事の発想の起点は、車両のSST(ツインクラッチミッション)クーラーに電動ファンを追加した際の実機加工にあります。

コアへの吸気効率および負圧特性を最適化するため、ファンとコアの間に38mmのプレナム室(チャンバー空間)をワンオフで設けたところ、アイドリング(停車)状態において1分間に約4℃のフルード温度低下を確認しました。

しかしながら、この結果は外気温16℃という比較的低負荷な条件下で得られたものであり、実車環境では走行風や周辺部品からの熱影響など、多くの外乱要因が存在します。そのため、プレナム室単体の効果を定量的に評価するには十分とは言えませんでした。

そこで今回、外部要因を極力排除し、一定の熱負荷条件を再現しやすい自作PC環境を用いて、

「ファンと冷却コアの間に空間(プレナム室)を設けることで、熱交換効率は本当に向上するのか」

という疑問について比較検証を行いました。

2. 実験コンセプトとプレナム室の製作

本実験では、120mmサイズの簡易水冷ラジエーターを対象とし、以下の2パターンを比較しました。

ラジエーターにファンを直接取り付けた状態(直付け)
ラジエーターとファンの間に25mmのプレナム室を設けた状態

プレナム室は、不要となった120mmファンからモーター基板および羽根を完全に除去し、外枠のみを残したものを流用しました。

これにより25mm厚の空洞空間を形成し、ラジエーターとファンの間へ組み込みました。また、接合部からの空気漏れを防ぐため、アルミガラスクロステープによって気密処理を実施しています。

3. 実験環境・測定条件

検証環境は以下の通りです。

CPU:AMD Ryzen 7 5800X
動作設定:定格運用(PBO・電力制限なし)
CPUクーラー:Cooler Master製 120mm簡易水冷
ファン:Noctua NF-F12 industrialPPC-3000 PWM
ファン回転数: 最大3000rpm
OS:Windows 11
室温:26.0℃
負荷ソフト:CINEBENCH R23
測定時間:10分間連続実行

Ryzen 7 5800Xは発熱密度が非常に高く、120mmラジエーターにとっては厳しい条件となるため、冷却性能差を確認しやすい環境であると考えられます。

4. 検証結果

CINEBENCH R23を10分間連続実行した際のCPUパッケージ温度は以下の結果となりました。

ファン直付け:MAX 83.0℃
プレナム室追加:MAX 81.5℃

25mmのプレナム室を追加しただけで、最大温度は1.5℃低下しました。

CPU温度が80℃を超える領域では、わずか1〜2℃の改善を得るために高性能ファンへの交換やラジエーター大型化が必要になることも珍しくありません。その点を踏まえると、廃ファンのフレームを利用した低コストな加工のみで1.5℃の改善が得られたことは注目に値します。

また、温度推移にも明確な違いが見られました。

直付け状態では時間経過とともに温度が緩やかに上昇し続ける傾向が見られたのに対し、プレナム室を追加した構成では、多くの時間帯で80.5℃付近に温度が収束し、熱的に安定した挙動を示しました。

5. 流体力学的考察

なぜ、単なる25mmの空間追加によって冷却性能が向上したのでしょうか。

考えられる要因は大きく2つあります。

① モーターハブによるデッドゾーンの緩和

高回転・高静圧ファンは、大きなモーターハブを備える傾向があります。

ファンをラジエーターへ密着させると、ハブ直下の領域には十分な気流が供給されず、熱交換効率の低い領域が発生します。

特に120mmラジエーターのような小型熱交換器では、この影響は無視できません。

プレナム室を設けることで、気流がハブ周辺から拡散・回り込みやすくなり、ラジエーター面全体の利用率向上が期待できます。

② 圧力分布の均一化と圧損低減

ラジエーターの高密度フィンは空気に対して大きな流動抵抗となります。

直付け状態では、ファンブレードから放出された不均一な流れが直接フィンへ衝突し、局所的な乱流や圧力損失が発生する可能性があります。

一方、プレナム室を介すると、ファンから供給された動圧の一部が静圧へ変換され、ラジエーター直前の圧力分布がより均一になります。

その結果、フィン面全体にわたって空気が通過しやすくなり、有効風量および熱交換効率の向上につながったものと考えられます。

6. 結論

一般的な自作PC環境では、ケース内スペースの制約からプレナム室(ファンシュラウド)の導入はあまり行われていません。

しかし今回の検証では、25mmという比較的小さなプレナム室であっても、120mmラジエーター環境において明確な温度改善効果が確認できました。

さらに興味深いのは、本検証の発端となったSSTオイルクーラーでも同様の思想で改善効果を確認している点です。

自動車用オイルクーラーとPC用ラジエーターは用途こそ異なりますが、どちらも「高密度フィンへ空気を通して熱を移動させる熱交換器」という点では共通しています。

今回、異なる分野の熱交換器で同様の改善傾向が確認できたことは、プレナム室の効果が単なる経験則ではなく、流体力学的な合理性に基づくものである可能性を強く示唆しています。

高価な部品へ交換する前に、まずは空気の流れを整える。

プレナム室は、そのための非常に有効かつ低コストな手法の一つであると言えるでしょう。
Posted at 2026/06/05 20:45:38 | コメント(0) | トラックバック(0) | 冷却 | クルマ
2026年05月19日 イイね!

TC-SSTフルードクーラーファンの冷却効率改善対策

TC-SSTフルードクーラーファンの冷却効率改善対策1. 目的
既設フルードクーラーの冷却効率を向上させるため、コアとファンの位置関係の適正化、および排気環境の改善を行う。

2. 施工内容

38mmダクト(シュラウド)の追加
ファンがカバーしているコアへの均一な風量確保を目的に、コアとファンの間に38mmの空間(プレナム室)を設けた。ダクトには、不使用の120mmファンからモーターおよびブレードを取り外した外枠(ハウジング)を流用。コア、38mmダクト、ファンの順で一体化して設置した。

タイヤハウスインナーの加工
ファン直後の排気抵抗(背圧)を低減するため、インナーフェンダーへ13mmの穴を複数個所に穴あけ加工し、風の抜け路を確保した。

3. テスト結果(外気温:15℃)

停車時冷却性能
フルード温度83℃の状態から、1分間で4℃の温度低下を確認(放熱量換算で約0.85 kW)。

実走時温度推移

120km/h巡航時:83℃で安定。

登坂路等の高負荷走行時:最高87℃。

吸気流の可視化(タバコの煙による比較)

対策前:バンパー前方において煙の吸い込みは確認できず。

対策後:バンパー前方から流体(煙)が緩やかに吸い込まれていく流動を確認。

4. 構造上の留意点

ダクト追加に伴い、バンパー内部の設置スペースは限界値に近い状態となっている。

インナーフェンダーが外側へ若干突出(膨らみ)しているため、装着するタイヤのサイズや銘柄によっては干渉の恐れがあり、今後の経過観察を要する。

5. 計測データに関する考察

冷却されたフルードがバルブボディ室からギア室へオーバーフロー(還流)する経路において、バルブボディ室最下部のストレーナー付近に設置された温度センサーが確実に温度低下を検知している。

以上のフルード流動特性から、今回の計測値(1分間で4℃低下)は局所的な冷却ではなく、ミッション筐体およびフルード全容量におよぶマクロな冷却効果を反映しているものと判断される。

※写真はダクト取り付け前のもの ファン自体の厚みは38mm
Posted at 2026/05/19 23:02:02 | コメント(0) | トラックバック(0) | 冷却 | 日記
2026年01月02日 イイね!

10万キロ突破とSSTの状態

走行距離がついに10万キロを超えました。

この数字を迎えると、どうしても気になるのがSSTの状態です。
ところが私の車はというと——驚くほど静かに、そして滑らかに動き続けています。
ジャダーは影も形もなく、加速時のクラッチ操作はまるで熟練のMTドライバーが
車内でペダルを踏んでいるかのような自然さ。

「まあ、こんなものだろう」と思っていました。
しかし先日、9万キロ走行の別のSST車に乗る機会があり、そこで衝撃を受けました。

クラッチのつながり方が、まるで別物だったのです。

その車のオーナーは、2〜3万キロごとにフルード交換を欠かさず、
車検ごとにティーチインも実施している“模範的なメンテ派”。
それでも、私の車とは明らかにフィーリングが違いました。

気になってAIに相談してみると、返ってきた答えはこうでした。

「それが普通やで。ジャダーなんて珍しくない。
せやけどあんたはオフラインフィルターで
常にフルードの清浄度を保ってたから状態が違うんや。
フルードをこまめに替えても、汚れは内部に蓄積するんよ。」

調べてみると、産業機械の世界では
"オフラインフィルターで油を常時浄化する”のは当たり前の手法らしい。
機械トラブルの多くは、微細なコンタミ(汚れ)が原因だとも言われています。

どうやら、私が導入したオフラインフィルターは
SSTにとっても“正しい一手”だったようです。
Posted at 2026/01/02 19:51:45 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2025年12月28日 イイね!

ナンカン AW-1 二年目の衝撃

二年目に突入したスタッドレスタイヤAW-1の性能を確認すべく雪道に出撃
そこで衝撃的な体験をしました。山は8mmほど残っています。

先ずは平坦な積雪路。なんか滑る・・横方向のグリップがかなり落ちている。
まぁナンカンの経年劣化の早さは経験済みだったので不満に思いつつこんなものかと。

次にやってきたのはスキー場もある山坂道。ここで衝撃的な体験をすることになりました。エボが水分が多めの新雪で登坂できない・・
正確には何とか登っていくのですがまるでLSDの入っていないFFみたいな頼りなさ
さんざんエボで雪道を走ってきましたがこんな経験は初めてでした。
ちょっと焦りつつ状況を分析。ASCはOFF、ACDはスノー、設定はこれで問題ないはず。ACDの機能不全か?最近エア抜きしてなかったな等人間追いつめられると
様々な可能性を瞬間的に検証するんですね

なんとかその場を切り抜け自宅でいろいろ点検しましたが原因は空気圧でした
指定圧が前2.2 後2.0の所に前後2.5
お店で交換したときに恐らくXL規格タイヤと間違えてこの空気圧にしたんでしょうね
AW-1のエボのタイヤサイズはXL規格ではなく標準規格です。
AW-1はサイズによりXL規格と標準規格が混在しているのでややこしい

空気を抜いて再チャレンジ、問題ありませんでした。
やはり人任せはいけませんね。
Posted at 2025/12/28 20:14:55 | コメント(0) | トラックバック(0) | スタッドレスタイヤ | 日記
2025年10月06日 イイね!

フルードクーラーのその後

あれからいろいろ走ってみました
まず高速道路 真夏の昼間 道路に設置しているカメラに撮影される速度
フルード温度は100度を突破します
少し涼しくなった今日の昼間(25度)で100km/h巡行なら91度ぐらい それ以上だと95度ぐらい

平坦な郊外の道路 50~60km/hで巡行 83度
山間部 85度~90度

ノーマル時より明らかに悪化していますが原因は明らかです
取り付けた電動ファンです
以前エボ6のオイルクーラーに電動ファンを取り付けたときも油温が上がっていたのを思い出しました
一見強力に見えるラジエターファンやコンデンサーファンですら20~30km/h走行時の風量しか作れないのに6000rpmとはいえ120mmのファンは貧弱すぎました
では取り外してしまおうかと思ったのですがこのファン停車時は絶大な威力を
発揮してました
高速道路出口(92度)で途中フルで信号待ち2回を挟んだ距離700m、時間にして4分間の間に86度まで下げてくれるんですよね
どこかの紅葉の名所で上り坂の渋滞でDCT車が立ち往生しているような状況では役に立ちそうです

エボ6のラジエターファンシュラウドは隙間があってなんでこんな恋率の悪いことをしているんだろうとスポンジで隙間を埋めていましたがあれ走行風を抜くためらしいですね。GRヤリスのシュラウドには穴があけてあるとか
やっぱりメーカーの設計者はすごいです

Posted at 2025/10/06 21:34:04 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ

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