魂でもいいから、そばにいて

著者は、大宅壮一ノンフィクション賞受賞作家・奥野修司氏。
2017年発行だが、2020年に文庫本が出版されている。

東日本大震災後、霊体験をした方から丁寧に聞き取りを行い、それをまとめたもの。
春・夏・秋と3部に別れているが、これは聞き取りをした年によって分けられているらしい。

姿だけでなく、電話やメールなど多岐にわたり不思議体験が綴られている。
中には、話を聞くたびに少しづつ内容が変わってしまったものもあるようで、人の記憶のあいまいさも包み隠さず書かれている。

話や人が時々あちこちに飛んで行ってしまい、実際に会ったことのない私には「え?この人誰だっけ???」なことがあって、ちょっと戸惑うことも。

大切な人を亡くした人にしかわからない淋しさや辛さ、後悔。
それでも前を向いて生きていくには、見えない存在でもそばにいてくれると感じることが出来れば、それは大きな力になってくれるに違いない。

今年は正月早々、大地震に航空事故と続いたし、災害だろうが事故だろうが病気だろうが大切な人を亡くす辛さには違いはないのかもしれない。
明日を生きる力になるような霊体験ができれば、ずいぶん違うかもしれない。