みきらでぃんのブログ一覧

著者は認知症専門医・長谷川和夫氏とその長女・南高まり氏。
長谷川氏の1960年から2020までの日記を基に写真や日々の暮らしのエピソードが綴られている。

日記には、認知症が発症し始めた頃「おかしい」と自身が感じていることも記されている。認知症になった人はこんな風に感じているんだなというのがわかる。

本の中で特に印象に残ったのは、何か所かにわたって書かれている「絆」について。
生まれたときから、一人ひとりみんな違う絆を持って生きていて、その人しか持っていない深い心と心の絆。ほかの人にはない絆だから、人が生きているということは、それだけで独自で尊い、と。

2020年1月16日の話に、信長・秀吉・家康の3人の武将の話が出てくる。ここで、有名なホトトギスの話を「九官鳥だっけ?」と聞くおちゃめな長谷川氏(笑)
そして、まりさんが聞く。
「長谷川和夫さんとしてはどうするの?」
答えは・・・
「鳴かぬなら　なんにもしない　しょうがない(和夫)」
ありのままを受け入れる長谷川氏の性格が良く出ている。

長谷川氏は最後は有料老人ホームに奥様と入居し、1年2か月後の2021年11月、人生の幕を閉じた。
103歳までは生きたいと言っていた長谷川氏。
どことなく日野原重明先生と同じような印象を受ける。
穏やかで、一生懸命で、ありのままを受け入れる、そんな老後を私も送りたい。