みきらでぃんのブログ一覧

２０２０年本屋大賞受賞作品。
作者は凪良ゆう氏。

誘拐されたはずの少女・更紗とその犯人となった文、世間で言われている二人と本当の二人の関係には大きな乖離があった。
更紗は子供だったため、その誤解を上手く説明できないまま大人になり、説明しようとしても既に出来上がった固定観念により理解してもらえず、あきらめを感じてしまう。自分のせいで犯罪者になってしまった文に、申し訳なさを感じながらも、それでもそばにいたいと思う。他方、文も店の名前にcalico(更紗)と付けるほど更紗と過ごした２か月を大切な思い出として生きていた。
この二人はお互いがいたからこそ、ほかに誰にも理解されなくても生き行くことができる。
これは小説で、実際にそんなに分かり合える人と出会える可能性はかなり低いと思うが、人のことをわかっているつもりで実はわかってないということは往々にしてあるのかもしれない。
結局、自分のことは自分にしかわからないのだから、過度に期待をしない、人に理解してもらおうなどと思わないことが、人と摩擦を起こさず楽に生きていく方法なのかもしれない。