みきらでぃんのブログ一覧

著者は、公認会計士・大手町のランダムウォーカー氏。

「会計クイズを解くだけで財務3表がわかる」とのことで、面白そうなので読んでみた。
結果、、、多分、会計知識がない人は、何が何だかわからない。
いきなり「貸借対照表」が出てくる。簡潔に、流動資産・固定資産、流動負債・固定負債・純資産がボックスで表示されていて、「この業種は何でしょう?」と選択肢が①小売業　②IT業　③鉄道業　と与えられている。そこから貸借対照表とは、資産負債の表示の仕方、貸借一致の法則などが説明されている。

しかし、資産には現金預金や土地建物以外にどんなものがあるか、なぜ買掛金や預り金は流動負債に計上されるのか、同じ現金が出ていくのに立替金は資産で旅費交通費は費用なのはなぜ?など、会計を学ぶときに一番最初に叩き込まれる「勘定科目」についての説明はほぼない。資産・負債・費用・収益がどんなものかがわからないまま何となくわかった気になってしまう。

が、日商簿記2級程度(初めて簿記を学び始めて半年くらい)の知識があれば、すべてが理解できる。簡素化された表からも何を読み取らせようとしているか想像がつく。
なので、それくらいのレベルの人にお勧め。

最初がB/S、次がP/L、そして一般的にはあまり分析しないC/Sについて、簡単な表から「これはどの会社でしょう」的な問題が出てくる。
登場人物は著者以外に学生くん、営業さん、投資家さん、銀行員さんがいて、それぞれが意見をいい、みんなで回答を1つに絞る。
それぞれの登場人物に、決算書から何を読み取るか、どう想像するかを発言させている。

クイズの中には「いや、それ、中にいないと絶対わからんし(;^_^A」というものもあるが、大抵は与えられたヒントから想像できるようになっている。

200ページ弱あるが、口語調で書かれているので、あっという間に読み終わる。

さて、読み終わった後、私は決算書が読めるようになったか???

それは無理な話で、やっぱりちゃんと決算書が読めるようになるためには、ある程度の数をこなさないと無理だと思う。

しかし、決算書の見方が変わり、「こうかもしれない」と勝手によその会社の内情を想像できるようになるのは間違いない。

著者は、森田豊氏。「私、失敗しないので」のドクターxの医療監修で有名。

話は２００６年に著者のお母様が振り込め詐欺にあったところから始まる。
しかし、この段階でまだ認知症ではないと著者は思っている。

・・・あれ???
今年は２０２２年、２３年前は１９９９年、何か合わない・・・

著者は、振り込め詐欺からさかのぼること７年前、お母様が体調不良を訴えられた時から今までをカウントしているということが、読み進めていくとわかる。
この時、あちこち痛いといって病院を回り、結局うつの診断がついているが、すでに「道に迷う」「財布とられた」「ごはん食べてない」など認知症の症状があらわれているので、この時点ですでに発症していた可能性は高い。
が、タイトルとの整合性がわかりにくい。

振り込め詐欺からしばらくして、診断がおりたようだが、その後お母様は施設に入所される。入所して１３年と書かれているので２００９年には入所した計算になる。

だとすると、実際に認知症と診断されて一緒に過ごしたのは３年弱。１９９９年からとしても１０年。
タイトルから２３年間一緒に暮らしているように思っていたのでなんだか騙されたような気分・・・

ご自身のアメリカ留学の事、お父様の事、家族会議、奥様の事など著者の生い立ちや経歴はわかるが、タイトルの「母と過ごす」には重要でない話も多い。

このお母様は、入所後、スタッフさんやほかの入所者さんともとてもいい関係を築くことが出来て、「施設入所成功例」のような事例で、こんなこともあるのかと感心した。

第３章で認知症になった理由を「一人寂しい思いをした」とし、予防には対人接触が何より重要だ、と言っているが、周囲には恵まれていて社交的でも、食べ物や生活習慣に気を付けていても、運動していても、認知症を発症する人はする。

「医者」「ドクターx医療監修」という肩書に期待してしまった私も悪いが、ちょっと残念な内容だった。