
■穏やか全開 調書取得
さて、皆さんドラマとかでよく調書取ってますって言葉聞きますよね?
実際の調書とりとはどんなものなんでしょう?
時にはドラマで
お前がやったんだろ!!
(ガシャン!
卓上ライトパシン!
相方刑事ブラインドカシャってして遊んでる!)
ってシーンがありますが、あれ調書とってないですよね。
ていうかただの自白強要ですよね。
実際の調書を取るときは留置場の中ではなく、担当も捜査担当刑事さんの領分になるので場外の取調室に行くことになります。
まず留置場から出るときは腰縄+手錠で、リードを引かれたワンコの状態になります。
この腰縄装着もしっかりこちらの身を案じて「センターよし!大丈夫?痛くない?じゃいこっか」と包容力感じるレベルで気遣ってくれます。
センターよし!っていうのは腰縄の引き手部分が体幹中央からズレてると、縄を引いた時に肉を引っ張って痛くなっちゃったり、すっぽ抜けて脱走可能になっちゃったりするので位置合わせした結果をダブルチェックしてる時の声ですね。
この状態で分厚い扉を開けて担当刑事さんに腰縄が引き渡され、取り調べ室に連れて行かれます。
取り調べ室はドラマで見るより縦長で、座る椅子はパイプ椅子です。
捜査刑事さんといっても柔道KUROOBI仕事で続けてるガチムチさんですし、取り調べ室は留置場よりちょっと外よりになっただけで、警察署自体が対テロ仕様の迷宮みたいな作りになってます。
その迷路を外に出るまでには並み居る大和戦士を20人ぐらい柔道で倒さないと脱出不能です。
パイプ椅子背負ったまま。
諦めろ試合終了だ。
調書は刑事さんがA4ノートパソコンをパシパシ打ちながらとります。
被疑者目線で書くことになるので、最初に決めたのは調書内での一人称でした。
僕か私か俺か自分か某か小生か朕かですね。
朕選びたかった.......絶対検察に悪印象なんでやめましたが。
調書は私の場合は8つぐらいとりました。
大体の書き出しは同じか、調書の内容に沿って少しアレンジはしますが、
「自分は●月●日、xx署管轄猫猫交番に出頭し、エクストリーム猫吸いを法の定める上限を超えて行い、娘に猫パンチをもらう罪を犯したとして自首しました。その後数人の警察の方の到着を待ち、証拠品の提示を行った結果、間違いのない証拠であると認められ、緊急逮捕されました。
先述の通り、自首による逮捕であり、自己で提出した証拠は真実自分の罪を認め提出したものであったので、この逮捕は正当なものであることは間違いのないことです」
という書き出しで始まります。
この後に調書趣旨に沿った内容を被疑者質問で明らかにしながらキーボード叩いて作成します。
ざっくり作った内容はこんな感じ。
①自首した状況と逮捕までの間の証言一式
②提出証拠の入手獲得機序および違法性の確認
③これまでに同様の罪を犯したなら過去経緯
④関連者・共犯者について
⑤事件現場への移動経路・方法について
⑥その罪を犯すことを発想した思考機序について
⑦関連する会社組織、あるいは犯罪組織、関連物品についての知識およびこれまでに関わった状況について
⑧1番直近でその罪を犯した状況を基にもっとも詳細な犯罪事実について
恐らくこれで最低パターンかと思います。
もっと状況が複雑だったり、証言が二転三転するなら追及調書や現場実証調書などが数版作られて、追及黙秘に対して勾留延長など時間が無限に過ぎるでしょう。
■犯罪者達の分布事情
刑事さん曰く普段相手にしてる被疑者と化け猫は「違いすぎる」そうです。
途中から先輩刑事さんが参戦するぐらい。
整合性とれた証言ではあるけどスラスラしてると作り話感があるそうです。
ぶっちゃけ普段来るのは覚醒剤と大麻関係で最終学歴中卒で薬買うためにヤクザの手伝いしてましたってのが9割。なので調書とってもまともな状況説明なんてほぼできないのだとか。
「多分君許されるなら自分で調書書けるでしょ、俺らより早く」
「そんなわけ無いじゃないですか。
あ、そこ音が聞こえたの部分ですけど主体がわからない書き口なんで名詞か擬音か感嘆詞入れましょ?
あとここで関係者を糾弾してますけどどこに罪の主体置きたいかで誘導線張って一人にフォーカスしましょ。その方が楽でしょ?
んで反転用に『しかし』入れてますけど前後で文意反転してないんで削りましょ。改行とページ減るでしょ?」
「国語の先生かよ」
と大体こんな勢いで滅びのバーストゲロリームな自供調書作るので勾留期間10日のうち5日は取り調べありませんでした。
だって終わってんだもん。
口先は回らないから文章でシステム商品売ってる猫なんだもん。
作成した調書は短いものは400字原稿レベルで4ページくらい。長いものは24ページぐらいありました。
多分最初から私が書いてたらページ数はあと2割削れ、時間は半分で終わってました。叩いたキーの数が違うわい(ふんす)
この打ち上げた調書は別室でプリントされ、最後に読み合わせしてからサインと指印を最終ページに一回。それとは別に全ページ被疑者が読んで証言・意図通りである事を示すためにページ枠の外に1ページ1ページ全部指印を押します。
他にも検察調書があり、検察庁に2回ぐらい参拝して上記の総まとめみたいなものを2部作りました。
そして警察調書は右手の人差し指で、検察調書は左手の人差し指で、黒いインクをつけて指紋押印します。
最後は完璧に流れ作業ですね。
刑事さんがページめくって私はスタンプマシンです。
で、頑張った結果、
私は残り5日間まったくやる事がありません!
だって勾留目的である調書実証終わってんだもん!被疑者自供に齟齬が無いから追及いらないんだもん!
なぜ早く仕事仕上げて拷問食らってるのかわかりません。
最初2日ぐらいは睡眠不足解消できるとガン寝しましたが、3日目に入るともう眠れません。4日目に泣きをいれて弁護士経由で検察に「はよ保釈請求出させろや暴れるぞ!」って言って検察動かしたのはきっと私だけではないはず。
さて、留置場シリーズも次回かその次が最後ですかねー。
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2021/10/20 23:06:45