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2024年10月03日 イイね!

TT周りの気流を可視化した結果を共有!!

某AudiのFBコミュニティにて今回の空力チューンを紹介したところ、TT空力のシステマティックレビュー(https://polo9ngti.blogspot.com/2022/05/tt.html?m=1)の祖であるMasaki Fujiwara氏よりこんな動画をご紹介いただきました!


https://youtu.be/smif226JSBs?si=hS0q3baP5jXdh209

OpenFoamというソフトでTTRSのMY2020の流体解析@72 km/hを実施した動画で、ある意味ここ最近の取り組みの答え合わせと言うべき内容です。

まずは速度場で見てみましょう
コンター(色の分布)は速度の大きさを示しており、青が遅く赤が速いです。主流の速度は黄色〜橙です。
白い矢印線は流れの方向を示しています。


最初はリアウィンドウですが、ガラス上端から1/3〜1/2くらいの、主流に対してガラス面が右下向きに15°〜20°程度傾く領域で、急速に青い範囲が拡大し、その後ろでは白矢印も屈曲している様子が見て取れます。
これがまさに剥離域で、我々がボルテックスジェネレータで後ろに移動させたい領域です。
この状況から、やはりボルテックスジェネレータはリアウィンドウの上端近傍に設置するのが良さげで、意外と境界層(青から黄色に変化する領域)が厚いので、3 cmくらいは高さのあるものが好ましそうですね。マクストンのルーフスポイラーも程よいところに取り付けられている印象です。


続いてリアスポイラーから後方にかけてです。
リアスポイラー上で流れの向きに変化があり、後述の圧力分布図からも下向きの力が生まれていることが示されていました。また、ボディとスポイラーの隙間では予想通り増速している(青から水色、緑への変化)ため、ここの速度の増加がボディ後方の流れや剥離渦の効率化に繋がることが示唆されます。やり方としては、リアスポイラーの上向きエクステンションで上面の流れをさらに上向きにしつつ、ボディ側にもスポイラーを取り付けてボディとリアスポイラーの隙間を狭くしてやるチューンが挙げられます。
もしくは、AP製のスワンネックスポイラーへの換装など、物理的にスポイラー高さを2倍くらいにして速い気流に当てることも一手です。


次はドアミラー周りです。ドアミラー自体は大きな後引き渦で抵抗源になっていますが、ドアに近づけて設置してあることで、渦に運ばれた砂埃でボディを汚しがちになる代わりに後引き渦をボディから遠くに飛ばして後方の流れが乱されることを防いでいるようです。
この結果から、ボディとドアミラーの隙間にボルテックスジェネレータを装着して気流のカーテンを作ることが、抵抗低減や汚れ防止、ボディ後方の流れのさらなる整流に効果が高そうなことが伺えます。


ドアミラーの高さでさらに後方に行くと、ちょうどボディからテールゲートに面が切り替わるあたりで、剥離流とやや大きな後引き渦が形成されています。
この剥離を抑制して抵抗を低減する意味で、サイドウィンドウ後方のボルテックスジェネレータや境界層吸い込みは非常に効果的であることが示唆されます。
特にリアスポイラーの下面の気流が加速されることになるので、ダウンフォースの発生にも寄与するでしょう。


今度は縦に割った断面でボディ下後方を見てみます。リアディフューザーは思ったほど上昇気流(ダウンフォースの源)を生んでおらず、マフラーエンドの高さ付近で剥離と後引き渦が発生しています。この結果から、境界層吸い込み後の吐き出し流れを後引き渦領域の真ん中に投入すると同時に、リアディフューザーの効果を向上することが望ましいと考えられます。具体的には、リアディフューザーの付け根にボルテックスジェネレータを装着してできるだけ下面に沿うような流れを作りつつ、タイヤの回転流やサイドからの流入を抑えるなどボディ裏面の流れ全体を整えるのが良いと考えられます。


次は圧力分布図を見てみましょう。
青が低圧部、赤が高圧部です。
TTのダウンフォースは主にフロントウィンドウの下側とリアスポイラー、そしてボディ下面の高速低圧流の差圧によって与えられることが示されています。
一方、ルーフ頂点の曲率が大きいところは、飛行機の翼で言う揚力源となる高速低圧流となっているため、ここがボディ全体を前上方に引っ張るリフトを生んでいます。動画に紹介ありましたが、72 km/hでは全体で5.6 kgfのリフトだそうです。


フロントタイヤ周りを見てみましょう。
フロントグリルが切り立っているため正面の圧力は高いですが、スポイラーリップ形状とボンネットの前端の曲率が良く、綺麗に上下に流れを分けているようです。
また、ボンネットがやや前傾していることで、フロントウィンドウとの繋ぎ目での抵抗の低減につながっているようです。
一方、フロントタイヤ付近ではエンジンルーム下部のカバーの効果などでかなりの高速低圧流となっているようです、ここでのボディ上面との差圧がフロントのリフト低減とダウンフォース発生に効果を発揮することが分かります。
このシミュレーションではタイヤの回転流が組み込まれていないので、実際のリフト値はもう少し大きくなると思いますが、それもカナードでタイヤハウスの空気を吐き出したり、フロントサイドのリップなどでタイヤにぶつかる気流をコントロールしてあげることで、ダウンフォース寄りにコントロールできそうです。
特にリア周りをチューンした場合はこの付近でのバランスを考えた気流に制御したいですね。


以上から、我がてて君に施してきた空力チューンは概ね良いバランスでリフト低減とダウンフォース発生に寄与しているだろうことが示唆されました!
今後ですが、この結果を参考に、
・リアのテールゲートにFYLALIPのテールスポイラーを装着。
・リアディフューザーにVGを装着。
・フロントのタイヤ前方(フロントサイド)にリップを装着
・サイドスカートの前後方にABTパーツのようなリップを装着
・リアのタイヤハウスエンドからリアバンパーサイドにリップ装着
など考えております。
今回も長かったですが、TT乗りの皆様も是非ご参考いただけると幸いです!

Posted at 2024/10/03 19:07:16 | コメント(0) | トラックバック(0)
2024年09月27日 イイね!

境界層について色々考えてみる。

'24/09/29
走行インプレと燃費検証を実施しました。

先日のブログでボルテックスジェネレータを装着した話を書いて以降、自分の専攻してきた学問を活かして境界層を上手くデザインできないかと考えを巡らす日々を送っています。

改めてTTのボディを眺めてみると、どこで剥離しそうで、どこで境界層が再付着しそうか、綺麗なデザイン故に流れの線を想像しやすいです。さながらエイドリアン・ニューエイのように?(違う)

そんなわけで(?)今回は境界層に関連したお話です。


皆様ご存知の通り、8N型時代のTTはボディ後方の流れが剥離する上に、つるっとした曲面のテール故にマグヌス効果で下向き流となって再付着するため、高速域でのひどいリアリフトが問題になりました。

引用元: https://airshaper.com/blog/audi-tt-spoiler
図は8N型TTのリア周りの圧力分布で、ボディ左半分がスポイラなし、右半分がスポイラありです。
スポイラの装着後は強い正圧の領域が現れたことが端的に分かります。
前回のブログでも取り上げた通り、この問題は8J、8Sと世代が新しくなるにつれ、ボディワークやアクティブスポイラーなどで大幅に改善されました。
https://minkara.carview.co.jp/smart/userid/3142035/blog/47958704/
我がてて君もこのブログ以降いくつか空力を改良してきましたが、特に際立って成果が見込まれる「境界層吸い込み」の導入についてご紹介します。

境界層を吸い込む?!という、一聞では眉唾なお話ですが、一応航空力学の分野では割と古くから知られた境界層の制御方法になります。

上図の通り、翼面に微細な穴を開けてエンジンまで通すことで、
翼面上に生じた層流境界層を剥離前にエンジンの速い気流で吸い取って流し出してしまおうといった手法です。もともと発達していた境界層がまるッと消え、吸い込み点以降に速い気流が再付着して新たな境界層を作りますので、剥離までのリミットがリセットされます。
実際の航空機では、エンジンに害が無いよう無数の穴にフィルターなどでガードを施すわけですが、虫などで目詰まりして効果が減退することもままあります。
そんなわけで航空分野では「境界層吐き出し」やら、エンジン気流とコアンダ効果によるフラップ機能強化やらがよく使われます。
WikiのURLを貼っておきます。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/境界層制御
車関係で言うと、よく風洞の気流を綺麗にする意図で使われたりするようです。ムーンクラフトさんもブログにしています。
https://www.mooncraft.jp/blogstaff/aerodynamic/boundary-layer/


話がぐるりと唐突に変わりますが、今度はTTのリアハッチ周りのお話です。


一枚目の図の通り斜線部分はリアハッチで見えなくなりますが、外気には触れる領域です。洗車時も水が流れていきますよね。
二枚目の図は右側のテールレンズの付け根をリアハッチ下後方から撮った変態構図写真で、隙間があることが分かります。(中央のナットはリアスポイラ付け根を真下で支える支柱です)
当然、室内とはボディ側に装着されたラバーストリップで隔離されていますが、これらの図の通りリアハッチのサイド部分からリアのこちらの隙間まで、割と大きな一続きの空間があることが分かります。

……この隙間、境界層吸い込みに使えるのでは???
そんなわけで概念を説明します。


画像はTTのリア周りのポンチ絵に気流を書き加えたものです。
サイドウィンドウ周りを通過した速い気流が剥離しないうちに、リアハッチのサイドとボディの隙間で境界層を吸い込みます。それをリアハッチの後端の隙間まで導き、排出すると言った気流デザインです。
航空機ではエンジンの排気流を吸い込みのエネルギーとしていましたが、TTではボディの最後端の剥離渦領域と元の主流との圧力差を利用してやります。


どこの気流を吸い込むかですが、ルーフからの流れに近いハッチ上方付け根側領域とリアスポイラーに近いハッチ先端部は流れを乱したくないので、むしろ吸い込まないように塞ぎます(写真中斜線部分)。そして、前回のブログで効果てきめんだった、サイドのボルテックスジェネレータからの乱流境界層を吸い込みます。
これにより、リアウィンドウ上での流速をさらに稼ぎます。同時に、エネルギーの大きい流れを後方に排出して後方渦にエネルギーを与え、総合して後引き渦による負圧領域を削って圧力抵抗まで低減することを狙います。




今回はエーモン aodeaのリアハッチ用ウィンドシールドモールを活用しました。
まさかエーモンの開発者も気流の積極的取り込みのためにコレを使われるとは思わないでしょう(笑)
写真二,三枚目の通り、ハッチ上方と下方のニ領域を塞ぎました。また、写真にはないですがハッチ上端(ルーフアンテナ後方)も密閉度強化のため装着しました。



また、せっかくリア周りの気流の整流をするのならと、TT 8S後期型の中でも最も丸っこくて流れが剥離→再付着して渦化しそうなテールレンズ周りの流れを整えるべく、VGを3つずつ装着しています。

これでかなりの体積の後方渦が減り、高速時の安定性の向上が見込めると考えています。


効果検証ですが、ちょっと時間がなくて走行インプレをするまで走り込めてないので、ひとまずは境界層タフトによる検証を行いました。ちょうど穴の空いた領域に4本のミシン糸を5 cm程度の長さで等間隔設置しました。
ここで剥離していれば、糸は図内の右向きに垂れるし、左向きに垂れていれば吸い込みが起こらずリアハッチに境界層ごと気流が届けられることになります。
吸い込まれれば、糸はハッチとテールの隙間に入り込むことが予想されます。

※タフト試験に関しては、糸をなるべく軽く細くして、特定領域(境界層ないしは層流域)のみを観察できるようにするのが好ましいです。
スズランテープなど重さと幅、アスペクト比のあるものは、どこの流れを見ているか分かりにくい上、気流そのものにも影響するので、タフト材質はよく吟味することをおすすめします。



第三京浜を港北インターから都筑PAまでの区間80 km/hで走り、PAにて状況確認したところ、
予想通り見事に吸い込まれていました!!!


また、前回もお見せした雨滴法で流れの様子を観察した結果もシェアします。
上記区間を80 km/h走行したときのリアのドラレコのスクショです。
まず大きな違いは、リアウィンドウ全域にわたり黒点線で示した通りの澱みない流れが生まれていました。車速を考えると流れ方は遅いですが、乱流が剥離せずにテールまで届くようになったものと考えられます。
また、特徴的なのは青矢印で示したようなウィンドウに水平な方向の流れも生じたことです。これは境界層吸い込みを経て到達したサイドからの流れが、ボルテックスジェネレータのみの時よりも勢力を増して流入したものと推察されます。
全体を通して狙い通りの動きをしてくれたように思います。


次に燃費検証の結果です。
区間は上記の第三京浜港北インター〜都筑PAです。この区間は鶴見川に向かって下りの区間になるため、往復平均を取りました。
外気温22℃、エアコンは22℃でオート、走行モードはindividualでエンジンオート、クアトロダイナミックとしました。
走行速度は80 km/hとし、加速合流後に所定の速度に達したときに燃費計をリセットして計測開始、出口に入った瞬間に記録して区間平均としました。
結果、下り20.6 km/l、上り14.3 km/lで、平均17.5 km/lでした!
以前のボルテックスジェネレータ群の装着のみで計測した際は、外気温が26℃だったため厳密には同条件の測定になりませんが、下り18.5 km/l、上り12.8 km/lで平均15.7 km/lだった点から、明らかに抵抗が低減して燃費が向上したことが分かりました。
次回以降の空力改良時は気候も良くなると思うので、エアコンおよび空調なしでの設定で測定しようと思います。

続いて走行インプレです。
港北インターや大黒JCTのループを走ってみました。
元から良好な接地感のあるquattro+マグネティックライドで、前回のボルテックスジェネレータだけでもその質感の向上が確認できましたが、今回はさらにその上をいきました!
なんと言うか、quattroでリアを駆動している時の応答がさらに機敏になったと言うか、さながらRS3の8Yのごとく、踏むとグイグイ曲げられる余裕があると言うイメージです。かといって、機敏すぎて扱いにくいわけではなくて、ここで曲げ止めようと思えばピッタリ姿勢が止まってくれる感覚です。
こいつはすごい…

以下まとめです。
今回はこれまでのVGによる境界層制御からさらに一歩踏み込み、境界層吸い込みの活用を考えました。
結果、TTではリアハッチ周りの気流制御に活用できうることが示唆されました!
さらに、走行インプレで安定性や燃費に関しても大幅な改善が確認されました。
TTでは特に境界層の制御を軸にしたボディ後流の制御が走行性能向上に効果が大きいことが示唆されます。

引き続き、空力パーツはじめ、他のパーツも理屈に基づいて考えながらチューンしていきたいと思います。
今回も長々としてしまいましたが、皆さまにもご参考いただけると大変嬉しいです!
Posted at 2024/09/29 05:12:40 | コメント(1) | トラックバック(0)
2024年09月06日 イイね!

航空宇宙工学出身のクルマ好きが考えるボルテックスジェネレータ

航空宇宙工学出身のクルマ好きが考えるボルテックスジェネレータ'24/9/23 早朝の霧雨のときに再実験し、リアウィンドウ周りの流れの写真を分かりやすくしました。

TT乗りの皆様の多くは気づいておられると思います…
最新の8S型の滑らかなルーフラインを以ってしても、リアウィンドウの雨滴が100 km/h走行でも流れないことに…

つまり何が言いたいのかと言うと、諸問題あってスポイラー追加などがあった8N型から空力設計も進化したものの、ルーフ後端の流れの速度低下や剥離自体はまだまだ健在ということです。

偉大な先人、Sid H様や⭐︎Aki⭐︎様が流れの剥離やその影響ついて分かりやすく説明されているので、まずはそちらをご参照頂ければ…
https://minkara.carview.co.jp/smart/userid/3152212/car/2793845/10088395/parts.aspx

https://minkara.carview.co.jp/smart/userid/932676/car/2674927/10026056/parts.aspx

「いやいや、流れの剥離ってなんぞやもっとkwsk」という方に、ちょっと詳しくメカを説明します。
まず、空気は粘り気(分子の衝突による運動量低下に起因)のせいで、ボディ最表面ではボディに付着するようにして流れが止まります。
一方、ボディから垂直方向にある程度離れた場所では、今度は抵抗の少ない綺麗な流れ(層流)が広がりますが、実はこの層流、ボディ表面から垂直な方向にはエネルギーの移動(分子同士の衝突が)起こりにくい流れです。
この二つの要素のおかげで、ボディ表面に近づくほど流速が下がる、層流境界層という速度分布のある流れの領域が現れます。


引用元資料: https://lemons.k.u-tokyo.ac.jp/SATO/lecture/FMC/11.pdf

この層流境界層というのが、巷で言われる剥離やらカルマン渦やら負圧による走行抵抗やリフトやらの諸悪の根源です。
クーペやセダンの自動車ボディは、ルーフ頂点から後方にかけて低くなる形状がほとんどですが、そのエリアでは拡大流れ領域と言う、簡単に言うと流れの持つ圧力が上昇する領域になります。これにより、上流の低圧側に逆流しようとする力がはたらき、境界層内の速度分布にマイナス(ボディ前方方向)の速度が現れ、層流が境界層ごと剥がれてしまいます。境界層が剥離する様子の例はこちらの動画で確認できます。
https://youtu.be/LfpdyiKmw8U?si=9uZ8ytUh1YlVGjQj





◯で囲った点が剥離点です。2枚目以降、流速が上がるにつれ、剥離点がボディ前方に移動していく様子もよくわかります。
また、主流と剥離して逆流した流れ(伴流)との境目や、伴流内の渦の様子も確認できますね。
(これを見ると、8N型のTTのリアスポ無しは中々剥がれやすそうな形状だなと改めて思います。)
したがって、一番の理想はボディ付近の流れを層流にしたまま、層流境界層をさまざまな手段で剥離せずに後端まで流し切るように制御することですが、自動車のサイズや形状では中々難しいです。

そこで、流れの剥離抑制のためのボルテックスジェネレータの登場です。
コイツにより発生した微小渦でボディ表面近傍の流れを敢えて早めに層流から乱流に変化させて、垂直方向のエネルギー交換を促進します。すると、境界層自体は厚くなって、元々層流だった部分の一部は乱流になり速度低下してしまいますが、境界層のボディ表面側の運動量が向上するので、剥離自体は抑制されるといったメカニズムです。
一般的に、流れがボディ表面を過ぎ去るときの摩擦抵抗の大きさは層流<乱流<剥離流の順で大きくなりますが、自動車くらいの流れの範疇では摩擦抵抗よりも剥離した後のボディ前後の圧力抵抗が大きいので、早めに乱流にしちゃった方がトータルでは遥かに低抵抗になります。
よく参考にされる三菱の技報のURLも上げときます。
http://www.web-ab9.com/16J_03.pdf

さて、話は我がてて君に戻ります。
8Jや8S型はルーフラインやボディ後端での処理が向上したため、走行抵抗やリフトとして影響する剥離領域は幾分後方に移動しているであろうことは想像できますね。

(新型ほどルーフラインがテールまで直線的になり、テールの角度が上向いています。)

厳密な剥離点は数値解析やら風洞実験やらで把握する必要があり、実車で確認するのには中々骨が折れます(数値解析は別途やってみる算段で動いています)ので、とりあえずは過去の情報を参考にしつつ、ボルテックスジェネレータの設置位置や個数を決めたいと思います。
これに関しては、Masaki Fujiwara氏の記事が大変参考になりました。https://polo9ngti.blogspot.com/2022/05/tt.html?m=1
8J型の風洞試験の可視化画像や動画から見るに、リアウィンドウ上では極端に広い範囲では剥がれておらず、リアウィンドウのごく後端くらいで剥がれていることがわかります。
https://youtu.be/nYmB3C-r-_s






また、RSスポイラはボディとの隙間部分で流速を回復させ、後端へ綺麗に流し切っている様子も確認できます。
このことからも、RSスポイラは単独でのダウンフォース以上に整流による剥離とリフトの低減効果を主な目的とするパーツであることが伺えます。
従って、ここに向けて速く綺麗な流れを作るイメージで取り付けるのが良さげだと判断しました。


本当はリアウィンドウ上の剥離点よりちょっと上流に取り付けるのがよいのですが、解析未実施なのとウィンドウに取り付けるのは…と言うことで、ルーフのアンテナの直後くらいの位置に少々広めですが20 cm間隔で6個ほど、高さは10 mmほどで様子見してみましょう。


また、ボディ側面もRSスポイラに向けて流れを作る意味では重要ですので、ドアミラーとウィンドウ前方の三角地帯、リアクォーターウィンドウ後方に取り付けます。ドアミラーはエーモンAodeaの専用のものを使用しました。三角地帯の分は高さ10 mmにし、後方の分は回り込みが大きく剥離しやすそうなので強めの渦を作る意味で高さ15 mmくらいにしてみます。



さらにさらに、ディフューザーのテールパイプより外側の裏面が平らになっている領域も、タイヤ起因の乱れた流れからボディ下面の流れを分離する意味で、10 mmのものを両側に3つずつ取り付けてしまいます。


以上、計26個を設置しました。
ここからは効果の確認のフェーズです。
まずは一番分かりやすいリアウィンドウ上の雨滴の流れがどうなったかです。
リアウィンドウには特別調合したフッ素コート剤を塗布しており、フロントウィンドウでは50 km/h以上であればほぼ全ての雨滴が吹き飛びます。これを基準に流速を定性的に推定してみます。





霧雨状の雨滴がついた状態で、首都高横浜北線新横浜方面のトンネルを60 km/hで走行しました。
写真1,2枚目の通り、センターとサイドの雨滴はよく流れ、その間の領域の流れはあまり改善されませんでした。領域により、流速が50 km/hより速いか遅いかが明確に分かれたと言えます。
ルーフのジェネレータ群はセンターのアンテナとの相乗効果のあるところだけ流れていたと言うことになるので、やはり三菱自動車のレポートの通りに10 cm間隔、翼形状に近い方が好ましいことが考えられます。一方、ルーフのセンター後端部(◯+斜線)には霧雨状の雨滴が若干残っていることから、この辺りは流れが減速していたことも伺えます。
3,4枚目ではサイドの状況を詳細にみてみます。両サイド付近は霧雨状の雨滴の残り方から推察するに、両端のジェネレータを起点にウィンドウセンター側に凸の弧をような流れ方をしていたことが伺えます。また、明らかにセンター領域よりも残った雨滴が少なく、ウィンドウ後端まで綺麗に無くなっています。これは、サイドウィンドウからの速い流れが剥離せずに綺麗にウィングまで届いたことで、ルーフのサイド寄りの流れが引き込まれて50km/h以上まで加速し、しかも剥離が抑制されたことが考えられます。

続いて燃費についてです。
新東名上り、長泉沼津〜新御殿場間の若干の上りを120 km/h走行での平均燃費にて評価しました。
結果、13km/l→14.5km/lとなり、わずかですが明確に燃費が向上したことがわかりました。

最後に官能として操作性ですが、100 km/hオーバーで轍を乗り越えるレーンチェンジで明らかな違いを感じました。
リアの振られ感が減ったというか、しっとりとした安定感が向上したのを感じました。

以下結論です。
今回はルーフ後端、サイドウィンドウ前後方、リアディフューザー両端に、それぞれ言及した通りの個数のボルテックスジェネレータを装着しました。
種々の検討結果から、ルーフ後端は剥離抑制に個数が不足していましたが、ルーフセンターのアンテナやサイドの効果を加えて、ある程度の剥離抑制を実現できたと言えます。
また、リアディフューザー部含む総合的な効果で燃費と安定性の向上も実現できました。

今後ですが、ルーフ後端の数をこれ以上増やすのは自分的なデザインの流儀に反するので、別のデバイスを検討します。
ウィング形状で高さを稼ぐか、マクストンのルーフエッジスポイラを試すかですかね…



ちなみに、マクストンのルーフエッジは個人的にかなり期待しており、実は発注済みだったりします。笑
また別途、理論についてはお話しようと思いますが、真横から見た時の形状や、突起部の後方への長さの分布、ボディ幅方向への厚みの変化が、縦渦の発生にほど良さそうな組み合わせであると感じます。

また、今回は効果の個別確認ができなかったリアディフューザー周りもタフトなどの手法で確認しようと思います。

以上、大変長くなりましたが、航空宇宙工学出身の車好きがTTのリア周りの流れとボルテックスジェネレータについて考えてみたでした!
皆様の検討に少しばかりの助力となれば幸いです!!
また、何かわからない部分などあれば、お気軽にコメント頂けると喜びます!
Posted at 2024/09/22 18:07:22 | コメント(0) | トラックバック(0)
2024年08月14日 イイね!

見てオシャレ、操って楽しいちょうど良い一台

見てオシャレ、操って楽しいちょうど良い一台通勤通学買い物レジャーと日常使いもできて(ベビーシートにもよりますが、赤ちゃんも乗れます!)、クローズドのワインディングに持っていけばシャシーと駆動系、専用装備のエアロによるダウンフォースの相乗効果でグリグリ曲げて楽しめる、懐の広いプレミアムスポーツです。
最終限定モデルでデザインも綺麗にまとまっており、長く大事にしたくなる一台と思います。
Posted at 2024/08/14 22:35:13 | コメント(1) | クルマレビュー
2021年08月11日 イイね!

後輩とナイトツーリング&プチ撮影

今年社会人になり、私のように早速Audi乗りと化した後輩が関東に戻ってきたので、軽くドライブ&撮影会しました。



後輩君もA3SB、8Vの後期を購入していて、8V新旧並びでの撮影会です。
それぞれにデザインの味付けの違いや、細かな昨日やライトアップの差があったりで、お互い興味津々で眺めてました(後期国内仕様は後席のアームレスト&カップホルダーが無いとのことで、前期型で一番羨ましがられたところです笑)




























近いうちに都心の方も巡って並べようということで、今から楽しみです!
Posted at 2021/08/11 13:43:46 | コメント(0) | トラックバック(0)

プロフィール

「妻と妻のコスプレ仲間たちが、元愛車のTT coupé Final Editionと一緒にコスプレビデオグラフを制作しました!
とてもカッコよくTT最後の思い出を飾れました!
https://youtu.be/46NpteDUwMM?si=PhMw0-s1LHnujvgs
何シテル?   04/11 19:41
Audi大好きmkmcoです。 航空宇宙工学専攻を出て、今は企業の研究員です。 原理原則から考えがちな人間です。 専攻や本職から、空力と構造強度あたりをいつもウ...
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