新車を買って毎日がるんるん気分なのは,当然ですが,車とは技術力の結晶であり,工業芸術品でもあると思うんです。美術品(絵画とか)では,実用性はありませんが心が満たされるし,工業製品(ネジとか)では,心が躍ることも無いように思います。だから,自動車って実用的なのに夢があるモノなんだって思います。
さて,19型アウトランダーに惚れ込んで毎日良い所探しをしておりますが,あえて,ここがイマイチだなーって思う所もあります。今回は,そこについて述べてみたいと思います。
ここがイマイチ19型アウトランダー
2400ccの低燃費エコエンジン4J12は,スポーティさがない優等生
直列4気筒SOHC16バルブMIVEC
排気量 2,359 cc
ボア 88 mm
ストローク 97 mm
圧縮比 10.5:1
燃料噴射装置 ECI-MULTI(電子制御燃料噴射)
最高出力 124 kW(169 PS)/ 6,000 rpm
最高トルク 220 N·m(22.4 kgf·m)/ 4,200rpm
このエンジンの特性は,低中回転での吹き上がり重視なので,「スポーティさがない」とか言うのは論外だとわかってるのですが,このエンジンこそが19型アウトランダーを優等生として特徴付けています。三菱自動車の技術とノウハウを詰め込んだ,極めて熟れた技術で信頼性がダントツです。私は,前愛車で2000ccの4B11のエンジンと12年間100000kmつきあいましたが,その信頼性は抜群でした。(ノートラブル!)このエンジンはそのSOHC版で,おそらく,ガソリンエンジンとしての完成度は,この4J12シリーズは人類史に残る工業世界遺産ではないでしょうか。バルブの開閉タイミングとリフト量の両方が可変可能なタイプはSOHCの量産エンジンとしては,世界初なんだそうです。
ランエボシリーズのエンジンは,アクセルを踏んだ時にガツン!とシートにめり込むような加速感が得られるエンジンです。それを作れる三菱自動車がなぜこのような優等生エンジンを車体の重いアウトランダーに載せているかと言えば,7人乗りのファミリーカー向けの車種に危険なパワーは必要ない。という哲学であるように思えます。実は,19型アウトランダーの自動車保険の科率は最も安く,『事故を起こしていない車種』として保険会社に認められています。仮に,アウトランダーに300psレベルのV6やターボエンジンを搭載すれば,おそらく危険な運転をする可能性が高まり,事故率は跳ね上がるでしょう。ランエボシリーズは,自動車の技術開発に大きく貢献してきました(特にS-AWC)が,同時に事故で命を失う事が多かった車種でもあります。これを企業が「ドライバーの自己責任」と考えるのか,「ドライバーが危険な運転をしても命を守れるようにしたい」ととらえるのか,やはり後者の哲学であるべきなのです。他のメーカーが,車重を軽くしてパワーウエイトレシオを上げたり,大排気量のエンジンを搭載して加速感を重視させたSUVを生産しても,三菱自動車アウトランダーは,発売以来100kg以上減量をしながら,強度を1.5倍以上に上げつつ,車の基本性能はそのままなのです。これは,安全性と経済性(エコロジー)を重視した技術者の愛情だと思えます。高成形性980MPa超ハイテン材を多用して,生産効率を悪くし,コストが上がっても,アウトランダーの車体強度を下げるようなことはしていないのです。このエンジンをアウトランダーに搭載していることで,この車種の性格は,「家族が安全に幸せになれる」ように設計されているという事に他ならないと,この車のデータを同クラスの他車データの比較から,確信を持ってそう言えます。ちなみに,三菱の技術で作られている某メーカーのとある車種も同じ設計理念です。(マル秘)
話が逸れてしまいましたが,イマイチであるのは,ランエボと比べれば…ということなので,SUV一般車としては,イマイチなんて思うわけがありません。それでも,アウトランダーよりも某社のSUV車を買っていくユーザーが多いのは,アウトランダーに秘められた技術的にはできるけどそうしないことで,安全性と経済性を優先させていることを知らないのかもしれません。スポーティな快感であることは,安全性と経済性をスポイルさせてしまう価値観でもあるのです。私は,アウトランダーのスポーティではないこのイマイチなところさえも愛おしいと思えます。
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4J12 | クルマ
Posted at
2019/09/28 19:15:00