令和元年度のJNCAP(日本版自動車アセスメント)の結果が出てまいりましたね。
今回、メルセデス・ベンツCクラスも評価に入っていて、予防安全性能(=ぶつからない車)は私の乗っているBクラスと同等の機能のはずなので興味深く結果レポートを読みました。
試験結果や試験条件を読み込んでいくと、評価点だけではわからない試験のあれこれが見えてきて面白いですよ。
せっかくなので、少し各社の自動ブレーキ性能について書いてみたいと思います。
さて、予防安全評価は去年の夜間(街灯あり)の対歩行者試験に続き、今回の試験から
夜間「街灯なし」の対歩行者試験が追加されました。(
他に踏み間違い防止機能の試験も追加。これは去年の追加内容でした。)
その中でも16車種中で
満点の車が4車種も出ているのは喜ばしいことですね。
いくつかある評価の中で、自動ブレーキ(被害軽減ブレーキ)の性能に興味があったので、今回の結果をそれだけに絞って搭載のシステムを大まかに分けてみることにしましょう。
評価点はわかりやすいよう100点満点に換算しています。
■たいへんよくできました(100点付近)■
・トヨタ(ライズなどのダイハツ製除く)/レクサス、日産(セレナ)、メルセデスベンツのシステムは、暗い夜道の歩行者飛び出しさえも安心できる最高性能
■よくできました(90~95点付近)■
・ホンダ、スバル、日産(デイズ)、VWのシステムは、条件によっては止まり切れないことはあっても夜間を含めて普通に活躍
■もっとがんばりましょう(40点未満)■
・ダイハツ(他社向けOEM含む)、MINIのシステムは、検知容易な車相手でも追突する論外レベル!当然歩行者は昼間でも止まり切れず、夜間は検知すらできない残念仕様
こうやって見ると、一世を風靡したスバルアイサイトが普通クラスになるくらい各社の猛追が激しいことがわかります。
一方で「もっとがんばりましょう」に分類したMINI、ダイハツのシステムは圧倒的に性能不足でかなり衝撃的な結果と言わざるを得ません。
実際、試験結果を詳しく見ると、
・最下位のMINIは検知距離が短いのか、最大で20km/h程度しか減速できず速度差が20~30km/hを超えると対車でも対人でも止まり切ることが確実に不可能
・ブービーのダイハツは歩行者検知が不安定なのか、昼間でも対人は止まれた条件の方が少なく10km/h走行時ですら人を撥ねる
といった残念極まりないものになっていました。
ダイハツはASV++取得を謳っていますが、正直なところこの程度では全然安心できないと思います。
さて、話を上位陣に戻して車種別に見てみましょう。
大賞取得の100点満点は
・トヨタの
アル/ヴェル、
・日産の
セレナ(スズキのランディ)
・レクサスの
NX
・もう一つレクサスの
UX
次点でメルセデスベンツ
Cクラスの
99.8点が続きます。
この結果だけ見ると、自動車を作った責任から安全性には云々のベンツ様惜しかったな、さすがトヨタ日産スゲーとなりそうですが(実際すごいわけですが)、実はこの辺の差は誤差レベルでしかなかったりします。
なぜかというと、個別の試験結果を見ると
満点のはずの4車種も実は止まり切れずダミー人形に激突しているのです。それもヘタすると結構な速度で衝突していることも。
それなのになぜ満点なのか、次回は試験結果の計算方法について詳しく見ていきたいと思います。
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Posted at
2020/06/02 21:44:19