
幼少の頃に劇場で観た「ルパン三世 カリオストロの城」が期間限定でリバイバルされているとの事で地元のイオンシネマへ
「ルパン三世」はTVの再放送で1stシーズンを見た時から好きな作品で「パート2」放送時はリアルタイムで視聴
「パート2」放映期間中にNHKで放映されていた「未来少年コナン」も視聴しており、
「カリオストロの城」は「コナン」の終了した1年後の公開だったが、
子供の目で一目見ただけでも関係性の見て取れるほど「コナン」と似通った作風の、
放映中の「パート2」とは毛色が違う1stに回帰したかのようなルパンが出てきた事に戸惑ったものだが、
当時はその意味するところは理解できていなかった
もちろん「宮崎駿」「大塚康生」という共通項が存在していた事も

自分の行った回はIMAXスクリーンでの上映で通常料金より400円ほど割高となった

入場時に渡された記念のミニ色紙
そして上映開始
何度も見ているけどいやもう導入の盗みのシーンからして涙ダラダラですよ
大胆な手並みで盗んだ莫大な金を次の場面ではあっさりとしかし豪快にバラ撒いてしまうこのインパクト!
美しい風景を描写しつつしっとりと流れるテーマソング
国境を越えしばし味わう長閑さを破り悪漢の車とそれに追われるシトロエン2CVを操る花嫁!
…などと感涙の溢れるポイントをズラズラ書いて行くと切りがないので代表で一点のみに絞る
峰不二子がいつものお色気抜きでひたすらカッコいい!
侍女として雇われて城に入り込み諜報活動を行い脱出時には迷彩服姿で銃器を軽々振り回して大立ち回りを演じそしてTVのリポーターに化けて城へ舞い戻る
一体短期間でどんな手口を使ってそのポジションに潜り込んでいるんだか
クラリス「捨てられたの?」
不二子 「wまさか…捨・て・た・の。」
純真な乙女にさりげなく大人の世界の機微を垣間見せる
そして胸を撃ち抜かれて瀕死のルパンに「今日のは貸しにしとくわ。じゃあね。」とあっさり言い放ちその場を離脱する
「この程度じゃ貴方は死なないでしょう?」という色恋沙汰などではとても測れない絶対の信頼がそこにはある
近作における自身が囚われてギロチンに掛けられようという場面で生身の人間を躊躇なく身代わりに使う(因みにルパンは人形を身代わりにした)ほどに冷酷な魔性の女っぷりもゾクゾクするほど良いが、
このようなカッコいい峰不二子もまた良き哉
こうして一度観終わってもすぐに観返したくなる稀有な作品を今回もまた美味しく味わったのであった

そしてまた別日、再びイオンシネマへ降り立つ
平日は上映が夜の時間帯にしか無く翌日は仕事ではあるが頑張って出掛けた

今度は同じく45年前の夏に劇場で観た「銀河鉄道999」の4Kリマスター版である

入場者特典はこの999乗車パスを再現したカード
実を言えば今回これに釣られてこの映画を観に来たと言っても過言ではないw
TV放映当時にも999号ほか銀河鉄道各路線のパスを模した物は販売されていたのだが、
999号のものは真っ先に売り切れてしまってついに入手できなかった
今回の特典も数量限定という事なので、
確実に入手するためにわざわざ無理して上映初日に来場したと言うわけなのだった
初上映の当時はまだ「999」はTV放送も漫画連載も完結していなかったが、
そのような時期にストーリーをどう構成して1本の映画にまとめ上げるかを劇場初監督であったりんたろう氏が名監督の市川崑氏を監修に迎え教えを仰いだのだそうな
鉄郎の年齢が引き上げられて男前になり主題歌が当時大人気のゴダイゴが担当しているというのは当時前情報として知っていた
(後日、大ヒットした主題歌のレコードも買ってもらって繰り返し聴いた)
当時はこれを夏休みに母親の故郷である地方の映画館で観た
(因みに上映時間前に入館したため併映されていたジャッキー・チェンの「酔拳」も途中から観たがこれも大変面白かった)
その後に続く夏休みの冒険心が大いにくすぐられたものである
さて45年の時を経て再び観てどんな感想を抱くのであろうか
というところで上映開始
「カリオストロの城」は何度も見返しているがこの「999」はあまり見返す機会がなく涙が出るより「ここはこうだったか〜」という新鮮さが先に立つ
そうそうナレーションがTV版の高木均さん(ムーミンパパ、大トトロなど)から城達也さん(ジェットストリームなど)に変わってるんだよね
メガロポリスとスラム街の対比は「ブレードランナー」を先取りしているかのようだ
メーテル綺麗だよメーテル
車掌さんは肝付兼太さん(先代スネ夫くん、「怪物くん」ドラキュラ)だけどTV版ほど見せ場ないな
発車の場面で流れる「テイキング・オフ!」は主題歌のB面
シャドウさん哀しいよシャドウさん
クレアさんかわいいよクレアさん
メーテル綺麗(以下略)
クイーン・エメラルダス役の田島令子さんはメーテル役の候補でもあったそうな
トチロー役は「宇宙戦艦ヤマト」の古代進や「銀河英雄伝説」のヤン・ウェンリーを演じた富山敬さん
いつもの快活なセリフ回しとは打って変わり病を得た余命幾ばくもない弱々しい男の演技
さすが名優は違う
キャプテン・ハーロック役は井上真樹夫さん(「ルパン三世」石川五エ門 数日前に「またつまらぬ物を斬ってしまった」と言うのを聴いたばかり)
機械伯爵の情婦リューズは小原乃梨子さん(先代のび太くん、ドロンジョ様、「未来少年コナン」コナン)
終着駅を前にして物思いにふけるメーテルに鉄郎が声を掛ける
…とメーテルは「この客車に私たちだけだと貸切みたいでいい気持ち」と笑顔で誤魔化す
いやあんた達の乗ってる客車に他の乗客乗ってるとこあんま見たことないしそれって今更では…?
完璧超人なメーテルに垣間見えた間抜けさに不覚にも萌えてしまうのであった
そして終着駅の機械化母星メーテルに到着
メーテルを出迎えた機械人間のリーダーから不意に銀河万丈さん(ギレン・ザビなど 当時は本名の田中崇名義)の声が聞こえて来て驚いた
メーテルの母である女王プロメシュームは来宮良子さん(「演歌の花道」など)
その夫でメーテルの身に付けているペンダントに身をやつしたドクター・バンは納谷悟朗さん(「ルパン三世」銭形警部 数日前に「奴はとんでもないものを盗んで行きました!あなたの心です!」と聴いたばかり)
因みにこの女王プロメシュームとドクター・バンは「999」後の松本零士作品「新竹取物語 1000年女王」のメインキャラである雪野弥生と雨森始の成れの果て、
で、あるとかないとか
ハーロックとエメラルダスの加勢により機械化母星メーテルは壊滅する
なおも追いすがるプロメシュームをクレアさんの犠牲で退ける
そして鉄郎とメーテルの別れ
(メーテル役の池田昌子さんと鉄郎役の野沢雅子さんは本当に泣いてしまって収録が止まってしまったとか)
999号を見送り線路を駆け出す鉄郎にゴダイゴの主題歌が被さりエンディング
まあ正直、松本零士チート級キャラとのコネなしには成立しない大雑把なお話ではあるが、
ガンダムもジブリも台頭する前夜の未だ「宇宙戦艦ヤマト」を引きずっている時代の作品ゆえこれはこれでよいのだ
と、子供時代とはややひねくれた感想を持ちながらもそれなりの感動を得つつ、
閉店時間後のショッピングモール前でスケボーに興じるガキどもを横目に駐車場へと足を向けるのであった