
みんともさんが「コンデンサーにアーシング」をされているのを見かけましたので、こちらの記事を記載させて頂きます。
まず、ラジ、コンデンサーへのアーシングにした時の期待される効果ですが、
・内部で循環している気体、液体の除電が出来る。
・ラジ、コンデンサーを大きな放電索にする事でボディ、シャシの除電が期待できる。
じゃあいいじゃん!
と思うかもしれませんが、異種間金属の間には「電位」言うものが存在します。
簡単に説明すれば「レモン電池」「ボルタ電池」。
この電位差は、アーシングする前の物体間にテスターで電圧を測る事で簡単に分かります。
例えばDA17Vのラジエター
大体0.5V程度あります。
恐らくエンジン=ラジエター間のパイプが鉄製ですので、そちらとラジエター、クーラントの電位差で発生していると推測します。
次、エンジン停止時のコンデンサー。

停止後約5分後の状態で計測しました。
大きく電圧が振れています。
恐らく内部のガス+オイルの気泡により流動する事によって電位差が変化している物と推測します。
次、エンジン始動+A/Cオン。霊媒循環状態

0.03V付近で安定しました。
エキスパンションバルブより気化た流体がコンデンサーを通り、コンプレッサーに向かう事により、液体化したガス+微粒子状になったA/Cオイルが通過する事で電位差が少なくなったと推測します。
(いや、流れ逆。エキパン→コンプ→コンデンサ)
(写真はテスターのプローブを先ほどと逆につけてます)
ここで過去の修理事例です。
約40年程前の軽トラックは真鍮ラジエターを使用し、車体にボルトでダイレクトに搭載されておりました。
(アーシングされた状態と同じ)
この時代の修理で実際に見てきましたが、大体7~10年程度で何故かラジエターホース取り付け部等が腐食し欠損する事が多かったです。
具体的に言えばタイミングベルトを「ヤる」のにラジエターを外したら欠損してる。という風に。
そのまま組み付ける訳にもいかないのでラジエター屋さんに修理をお願いすると、内部コアも痩せているという事でほぼ総取り換えになったりしていました。
2年の車検おきにきちんとクーラントも交換されているのにです。
ラジエター屋さんとこの話をしていると、「ゴムか何かでフローティングにすれば電蝕も無くなって防げるんだけどねー」と話していました。
ナルホド。現代のクルマはその点考えられている。
(ただし、樹脂製のアッパータンク等が経年劣化で割れるんだけど)
いつもはそちらのラジエター屋さんにお世話になっていましたが、部品屋さんより「社外品ラジエター特販しております!修理依頼有りましたらぜひ!!」と紹介が有ったので、丁度ホンダのライフ(確かJA4とか)のラジエター交換が有ったので注文した所、ラジエターアースが付いていた。
何でもアースを取る事で腐食を防ぐらしい。
この事を先ほどの「ラジエター屋さん」のオッサンに付けて良いの?と相談した所、次の様に言ってプンスカ。
「ソレ、そこの部品やが次も売りたいから付けろってつけてるんやで!アースなんて取ったらアルミラジエターなんて直ぐに電蝕で腐るで!!」
そして整備士をやめて、色々な経緯で、クルマメーカーに勤務する事になり、それこそリコールになりそうな市場不具合等対応した時に「イオン化」「電位差」等、対面するサプライヤーさんなどと戦う為に色々勉強しましたが、ラジエター屋さんの言っている事は正論であり、「あのラジ屋のおやじ只者じゃない」と思っております。
マァ、「電蝕 船外機」「電蝕 船」等で検索すると電蝕の怖さわかりますヨ
新車購入でラジ、コンデンサーにアーシングして、5年目に手放す位でしたらやってもいいと思いますが、次の所有者さんが泣く事になりますネェ。
経年車に施工した場合は、もしかするとA/Cラインにトドメを刺す可能性も無きに有らず。
ラジエターの場合は、特に鋳鉄ブロックのエンジンの場合は電蝕を進行させるかもしれませんネェ。
その点、オールアルミエンジンは異種間金属が少なくなる点では良いと思われます。
ラジに除電目的でアーシングしたいのでしたら、アルミテープを樹脂製のアッパー、ロアタンクに貼付するといいと思いますヨ。
目先の効果ばかり追い求めて、高い修理代を支払う事にならない様にしましょう。
*9/22追記
A/Cコンデンサーの電蝕ですが、外側の事ではないですよ。
A/Cサイクル内部にはA/Cガス(HFC134a)が流れています。そう。丁度コンデンサー付近で
液体と気体の混ぜ混ぜ状態で。そしてHFC134aはHV車含め良く使用されてますが、
(*今後HFO-1234yfに変わっていきます)こちらのガスの特性として、旧ガス(R12)と比べて
吸湿性が高いです。A/Cサイクル内に
水分が混ざりやすい。
さらにA/Cサイクル内を循環しているコンプレッサーオイル、コレ、
導電性が有ります。(H/V除く)H/Vはコンプレッサーをモーターで駆動する関係上、絶縁性の高いオイルが使用されています。
要するにA/Cサイクル内部で電蝕が発生するんです。
デュアルA/Cの車で気が付いた時には手遅れになった場合、冷媒サイクルの洗浄とか腐食した部品の取り換えでエライ金額に・・・・。
冷媒サイクルすべてがアルミの場合問題は有りませんが、エキパンやコンプレッサーにはアルミ以外の金属が使用されてますので、恐らくソチラの金属との電位差が発生している物と推測します。
今思えばダイハツのS100系のリキタンが腐食して穴が開くケースを数件みましたが、ボディに直付けだったからじゃないかなーと・・・・。
Posted at 2021/09/04 21:24:53 | |
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