目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
中級 |
作業時間 |
6時間以内 |
1
暖気完了後も白煙が多く、特に信号待ちなどで停車中〜発進時にかけて後続車が適正な車間をとってくれる程にモクモクしていたので、YPVS全閉時の最少ストローク(スロットルプーリーとワッシャーの最大隙間)をシックネスゲージで測ってみたところ、0.35mmと基準値を超えていました。
さらにスロットル操作時、スロットルプーリーの戻りが悪く引っかかりが有り完全に戻りきってない現象も起きていたので、O/Hしてみました。(ページ下部に動きの悪いO/H前のオイルポンプの動画を追加しました。)
2
車体から取り外して、全バラにしたところです(ポンプケースに圧入されているニップルと、ポンプケース下部のメクラを除く)。
画像の左下 左から3つ目の小さなオイルシール(プランジャボディに圧入)と、その上のガスケット(ポンプケースとカバーの間に入る)と、右下 右から2つ目のオイルシール(カバー裏側に入る)は新品に交換しました。
3
カバーのスロットルプーリー当たり面は指が引っかかる程の段差が出来ていたので、ピカールで研磨し二つの部品がスムーズに動くレベルまで仕上げました。
画像にはありませんが、プランジャボディの回転シリンダー部分とプランジャピストンは金属表面に一部変色があったものの段差は皆無でしたので、軽く表面を整える程度にピカールで研磨しときました。
4
本来は分解するところではないと思いますが、プランジャボディのオイル吐出穴をブレーキクリーナーで掃除中、ディストリビューター部のオイル吸込穴から吹いているにもかかわらず、何故か右側だけ全く吹き抜けなかったので詰まりを疑いバラしてみた状態です。
スプリングでボールをゴムのテーパー部分に押し付けるワンウェイ構造になってました。特に詰まってはなかったです。
5
画像は組み立てたあとですが、注意点としてはプランジャボディに圧入する小さなオイルシールより上はオートルブに触れない(潤滑されない)部分なのでグリス塗布が必要ということです。
具体的にはオイルシール当たり面とプランジャボディのカム山部分とプランジャピストン全体とスロットルプーリーのカム山周辺です。
今回はスーパーゾイルのラバーグリスを塗布しときました。
小さなオイルシールより下はオートルブを塗布しておきます。
組み付ける前に、ウォームギアの入る穴に指を突っ込んでギアを回してみます。このときプランジャピストンが上下にぴょこぴょこ動けばOKです。動かない場合はプランジャピストンに駆動ピンを付けてない状態だと思います。(今回全バラしたときに駆動ピンも外そうとしたんですが、圧入されていたので無理に外すのはやめました。)
6
本来ならクランクケース右カバーを外したついでに作業するのが手順だと思いますが、またミッションオイルやクーラントを抜くのが面倒だったのでこのまま作業しました。ですのでポンプケースとクランクケースカバー間のガスケットは交換していません。
画像では見えにくいかもですがウォームギア側に入っているワッシャーを新品に交換しときました。
ポンプケースのガスケット当たり面をオイルストーンで軽く整え、その上にラバーグリスを薄っすら塗布してクランクケースカバー側に張り付いていたガスケットに合わせて取り付けしました。
このあと、ワイヤー等を接続しスロットル全開時の合マークを調整。そしてキックペダルを動かしYPVS全閉時の最少ストロークをシックネスゲージで測ったところ、0.15mmでは軽く引っかかる感じで0.20mmでは隙間に入るもののかなり抵抗感があったので、基準値の『0.15〜0.20mm』は出ているようでした。隙間調整用のシム0.03mm・0.05mmなども用意していたのですが、今回は必要ありませんでした。
O/H前が0.35mmだったということはスロットルプーリーがどこかで引っかかり元の位置に戻りきってなかったようです。
そしてスロットルを何度か全開ー全閉させたところ全く引っかかることなくスムーズにスロットルプーリーが初期位置に戻るようになったので、作業は完了のようです。
今回一部ガスケットの再利用や回転部・摺動部を(軽くですが)研磨したので今後定期的に点検する必要がありそうです。
7
【追記】スロットル全閉時の最小ストローク測定・調整手順
本来ならオイルポンプ調整前にやっておくことがあるのでついでに書いておきます。
※この手順はO/H作業とリンクしてません。別途行う場合の手順となります。O/H後に行う場合は途中エンジンを始動するのでオイルポンプ内部・デリバリーホース内部のエア抜きを忘れず確実にやっておくこと!
(僕の場合はエンジンO/H作業とほぼ同時期に行った関係でガソリンは混合燃料になっていたので多少エア噛みしていても気にせず始動していました。)
❶キャブレターの同調を取る。
ハンドルを真っ直ぐにした状態でスロットル全開時の高さ調整。のぞき窓から2つのキャブレターの合いマークが一致するように上部のロックナットを緩め、アジャスターで調整する。可能ならば左右の合いマークが合っている状態でベンチュリ部分に人差し指を入れてスロットルの高さを触って確かめる。のぞき窓は曇っていたりするので指の感触のほうが確実かと。
この部分のロックナットの締め付け時、締め過ぎ注意です。ナットが薄いので、締め過ぎると簡単に割れてしまいます。
❷スロットルグリップ側の遊び調整。
ハンドルを左に目一杯切った状態で3〜5mmのガタ(遊び)があるようにする。調整後エンジンをかけてハンドルを左右に切って回転数に変動が無ければOK。
8
ここまでやった後にようやくオイルポンプに手をつける。
①外側カバーを取り外しオイルポンプの動作が目視可能な状態にする。
②キーオン状態にする。(YPVSがクリーニング動作に入り、全開〜全閉〜全開と動作し全開位置で固定される。)
③このYPVS全開位置で、スロットルを全開にしてガイドピンがプーリーの合いマークと合うようにロックナットを緩めてアジャスターで調整する。
④スロットルを戻しエンジンを始動する。(エンジンを始動すると始動前、全開位置だったYPVSが全閉になる。)
⑤エンジンを止める。(YPVS全閉位置。)
⑥このYPVS全閉位置で(もちろんスロットルも全閉)キックペダルを操作し、アジャスタープレートとプーリーカム部分の隙間が最小状態になったときの隙間をシックネスゲージで測定する。隙間が0.15〜0.20mmを超えるようならシムを追加・交換し調整する。調整後、再度キックペダルを操作し最小ストローク状態での隙間を測定する。
画像の表欄No.1・2・4がそれぞれ0.1mm・0.05mm・0.03mmのシムの純正部品番号になる。
※注意としては『YPVS全閉時にオイルポンプの最小ストロークを測定する。』ということで、試しにこの⑥まで手順を踏んだ状態でスロットルを全開にしてみると、③のYPVS全開時とは合いマークが合わないはず。
ヤマハ排気バルブ付き2スト車はスロットルとキャブ・オイルポンプ・YPVSサーボモーターがワイヤーによって連動しているので調整手順を誤ると本来の性能が出ないどころかエンジンにダメージを与えかねないということになります。
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