
暑くもなく寒くもないこの時期、古くからの友達Rちゃんと浦和を散策した。
たまたま雨も降らず、あんまり暑くなかったのは偶然の賜物なんだけど、話を聞けばRちゃんも晴れ女。私も晴れ女。
というわけで、最強のタッグを組ませてもらいました。
【ヒアシンスハウス】
Rちゃんから別所沼公園内にあるから、ぜひ見に行きたいという。
テレビ番組で観たそうだ。
別所沼公園の前の道路はたまに通るけれど、公園は訪問は初めて。
メタセコイア並木でも有名な公園だ。
なんでヒヤシンスなの?
まさか、ヒヤシンスの形をしたヘンなオブジェ?
と訝しんでいたけど、実際目の前にして、一瞬で心を奪われた。

4.5坪しかない

もちろん、おじゃましますよ。土足でね
木がふんだんに使われた室内もこじんまりとしていて、とっても居心地がいい。
このヒヤシンスハウスは、大正生まれの詩人・立原道造(1914〜1939)の構想を元に、2004年に建てられたという。

立原の建築スケッチ。
もともと建築家を目指していた立原は身体が弱く24才で亡くなっている。
もっと長生きしていたらどんな建築家になっていただろうか、と嘱望されるほどの人物だったそうだ。

ここに日がな一日座って、のんびり湖と緑を眺めていたい。

窓を閉めてもステキ
ボランティアの方に二人で質問攻め
ーなんでヒヤシンスハウスなんですか?
ーギリシャ神話のヒュアキントスから取られたそうです
ートイレのドアを開けてもいいですか?
ーいろいろ入ってますけど、どうぞ
これをきっかけに私達はすべての引き出しやドアを開けまくった!
これじゃあ、ひつじのショーンの牧場主のおうちで引き出しを開けまくっていた小学2年生の姪と変わらない笑

北側に机があるほうが、勉強もはかどると立原が言っていたそうだ

朝起きたら窓から自然が眺められるなんて、考えただけでも楽しい!
ベットの長さから、割と小柄な人であることがわかる。
私ならOKだけど、長身のRちゃんにはムリらしい。
「ここに住みたい」
Rちゃんが言うので、
私ももちろん
「私も住みたいな」
と声を上げていた。
このくらいの狭さでちょうどいいんだよと二人で納得。

HPより拝借。
右側に居間とトイレ、真ん中の書斎を挟んで、左側は寝室。
真ん中下の玄関と戸棚が飛び出していることで、視覚的に居間と寝室を区切ることができる。
台所と風呂はない。
もともと近くに住んでいた先輩宅を頼る予定だったらしい。
家ではなく、ある意味小屋。

北側の書斎が見られる
このハウスに魅了された人達もいたらしい。
工務店の人が寸法を測りにきたこともあるのよ、とボランティアの人が話していた。
大きな庭のなかや、川のほとりに建てた人達がいたとのこと。

大きな木の下にあるから、夏は木陰になって暑さをしのげそう
そうだね、緑のなかにあるからいいんだね。
普通の住宅街じゃあ、全然ダメだね。
またまた二人で納得した。
●草稿「鉛筆・ネクタイ・窓」から [一九三八年秋頃執筆]
僕は、窓がひとつ欲しい。
あまり大きくてはいけない。そして外に鎧戸、内にレースのカーテンを持つてゐなくてはいけない、ガラスは美しい磨きで外の景色がすこしでも歪んではいけない。窓台は大きい方がいいだらう。窓台の上には花などを飾る、花は何でもいい、リンダウやナデシコやアザミなど紫の花ならばなほいい。
そしてその窓は大きな湖水に向いてひらいてゐる。湖水のほとりにはポプラがある。お腹の赤い白いボオトには少年少女がのつてゐる。湖の水の色は、頭の上の空の色よりすこし青の強い色だ、そして雲は白いやはらかな鞠のやうな雲がながれてゐる、その雲ははつきりした輪廓がいくらか空の青に溶けこんでゐる。
僕は室内にゐて、栗の木でつくつた凭れの高い椅子に座つてうつらうつらと睡つてゐる。タぐれが来るまで、夜が来るまで、一日、なにもしないで。
僕は、窓が欲しい。たつたひとつ。……
この文章を読むと、ベッドの窓から湖が眺められるよう想定していたことがわかる。
立原の時代にはそれも可能だったのだが、21世紀になって構想を実現化しようとしたときには、別所沼の東側は住宅が建ち並んでいた。
それで沼の西側に建てることになったという。
それはそれでいいんじゃないかなとRちゃんと話す。
だって大きな窓から湖が眺められるのも悪くない。
さあ、そろそろお暇しましょう。
別所沼公園を奥に向かって歩く。

睡蓮が咲いていた

メタセコイアの並木が続く
【内藤流手打ちそば あさきや】
お昼は軽めにしようとあらかじめ決めておいた。
目の前をchérieちゃんで通るたびに気になっていたお店。
でも、なかなかチャンスがなかった。
内藤流手打ちそばというのは、日本で唯一の流儀をもつ手打ち蕎麦だそう。

なめこおろしそば
ツルツルとのど越しもよくて食べやすい。
昼になってちょっと暑くなってきたので、こういう時はお蕎麦が一番。
【MARIAGE(マリッジ)】
昨年11月に開店したばかりの、完全予約で2時間制のティールーム
Rちゃんが電話して予約してくれた。

100年以上前の貴重なアンティークドールも並んでいた
50年近く前に建てられた洋風建築の自宅を、オーナーさんがティールームに改装したそうだ。

ウェルカムティー(ヒーリングアイ)疲れ目や花粉に効果のあるハーブティー
お客も3組6人でのんびりと過ごすことができた。

マリッジプレート
紅茶は季節限定のメイフラワー
アールグレイをベースにオレンジ等の柑橘系の香りを足した紅茶
お菓子は
右上からコーヒー&ウォールナッツケーキ、時計回りにキャロットケーキ、スコーン、オートミールビスケット、エルダーフラワーゼリー
キャロットケーキがことのほか美味しかった。
スパイス、木の実、ドライフルーツが入っていないので、日本人好みの優しい味わいだった。
オートミールビスケットにはスパイスが感じられたので、「なんだろうね?」と
Rちゃんに尋ねると、「ローズマリーじゃない」と即答だった。

華やかなフラワーアレンジメント
キャロットケーキをフランクフルトにいた時に習ったことがあるとRちゃんが話し始めた。
夕方にケーキが焼きあがった時に、まわりのドイツ人はこのケーキを夕食にすると言っていたのに対し、Rちゃんはこれから夕食を作ると話したら驚かれたそうだ。
ドイツ人の夕食にケーキが有りなのに驚く日本人
日本人が暖かい夕食を毎日作るのに驚くドイツ人
夜に暖かい料理を作らないのは知っていたけど、まさかのケーキとは私も驚いた。
ドイツ人は基本的に粗食だから、ソーセージは贅沢品とも教えてくれた。

この椅子もクッションもなんらかのいわれがありそう
さらにRちゃんは、日本の女性の社会進出が進まないのは、ご飯の準備のせいもあるもしれないと言う。
確かにそれは言えてるかもね。
でもさ、ご飯をちゃんと作らなくなるのはどうかと思う。
そういう伝統があったのに、経済活動のためになくなっちゃったらさみしいよ。
文化の破壊だね。
そうそう。
フランスの一般家庭は冷凍食品ばかり食べているみたいだし、パリのレストランも一時期冷凍食品だらけだったらしいよ。数年前から当局も規制に乗り出しているみたいね。ほら、一見の観光客が多いパリのレストランなら、冷凍食品でもわからないものね。
日本の女性の社会進出はさ、社会、企業、家族が変わるべきなんじゃないの。
やっぱり食べ物は大事だよ。

食べ終わっても絵になる写真

お庭の動かない噴水には金魚がいた。

右手奥の緑のものはイギリスのお庭によくあるらしい

今年は白いお花が流行っているのかな
パティシエはオーナーさんの甥ごさんが担当している。
湯河原(神奈川県)のブリティッシュケーキハウスで修業をされたそうだ。
師匠にあたる小澤祐子さんの本を見せてもらうと、そのこだわりに目を見張った

日本国内での撮影とは思えないほどイギリスらしさ満載の写真がたくさんあった
シーズンごとにお菓子も食器も変わるというので、またクリスマスシーズンに来てみたいなと思った。その時は、もちろんあのヒヤシンスハウスも一緒にね。
【カユカヤン】
駅までの帰り道、Rちゃんが見つけた小さなお店。
バリ島に自生するアタという植物の茎で編まれた雑貨を扱うお店だった。
店主さんの熱意溢れるマシンガントークにふんふんとうなづいているうちに、私も何かほしくなった。

セール品になっていた小さなマットを買うことにした。
お皿のようにそのままパンをのせてもいい。
よごれたら水洗いか洗剤で洗って乾かせばOK
100年は使える
カゴもとっても魅力的だけど、お値段も結構な値段がする。
一日中かなり歩いたけど、今回は筋肉痛はなし。
それに足もなんだか筋肉質になってきたみたいだ笑

滋賀で購入したFarrer'sの紅茶をジンジャーブレッドとともに