
*5月1日の話です。
新潟で春のおとずれを楽しむ ~タイヤの慣らし運転の旅・その2~の続きです。
6時ちょっと前に目を覚ました。
分厚い遮光カーテンを開けると、晴れていた!
ああ、これはもう出かけるしかない。
いそいそと準備を始める。
ご飯はいらない。
お腹が空いたら、昨晩買っておいたヨーグルトドリンクを飲むつもり。
ドアを開いて共有の洗面台へ向かうと、若い女性が身づくろいをしていた。
この日の宿泊客は彼女と私のみ。
「おはようございます」
「おはようございます」
この時の私はどうも引っ込み思案気味だったように思う。
早く出なければと気が急いていたせいもある。せめて「どこから来ました?」くらい声をかけるべきだったと後になって思った。
でも彼女がどこから来たのかは知っていた。駐車場に札幌ナンバーの軽自動車が停まっていたから。小樽からフェリーに乗って、新潟までやってきたにちがいない。
星峠の棚田
ここへ行こうと思ったのは、ハチャネのHPで紹介されていたからだった。
そこからどんどん旅のプランができあがっていったのだ。
月曜日の通勤時間より、ちょっと早いかかぶるかの時間帯に出発したけれど、道はそれほど混んでいなかった。
左右の山々を眺めながら、それなりに急いでドライブ。
自然の景色は早朝であればあるほどいいと言うじゃない?
国道253号を外れると、道路も狭くなんとなくガタガタになってきた。
タイヤ、大丈夫かな。
「星峠の棚田」の看板が出てきたので、道路から山の中へ入っていく。
星峠の棚田とは十日町を代表する棚田で、大小200枚の水田が斜面に広がっているそうだ。
手前と奥に数台ずつ停められる砂利の駐車場には、数台しか停まっていなかったのでホッとした。

タイヤが頼もしい笑
GW中とはいえ、混雑とは無縁な旅に心も軽やかな気持ちになる。
広くひらけた景色をどうにか留めようと、ウロウロ歩いていろんな角度からシャッターを切ってみる。

壮大な景色の一部を切り取ったつもり

一つとして同じ形をした面はない

左から右へ向かって、段々と下がっている

オオイヌノフグリ 子供の頃から大好きな草花。私にとってのネモフィラかな笑
とっても大きなレンズを抱えて、私と同じように歩き回っている女性から声をかけられた。

声をかけてくれたのは左側の女性。
まんなかの娘さんはお父さんの元へ向かっている。
ご主人と娘さん夫妻の4人で、茨城県水戸市から3時に出発してやってきたという。
朝ごはんはおにぎりを作って、車内で食べたというので
「ええー、おにぎりを作るのに何時に起きたんですか?1時起きくらいですか?」
と驚いてきいてみると、「そうだ」という。
すごいバイタリティーだと感動してしまった。
その後いろいろおしゃべりを楽しんで、私もなんだか嬉しくなってきた。
やっぱり旅の出会いは大切ね。
棚田を守るための募金箱が置いてあったので、500円玉を入れてきた。
実は一度はchérieちゃんを走らせたのだけど、募金するのを思い出したので引き返してきたのだ。
美しい景色がいつまでも守られるようにという願いを込めて。

山道の途中でスイセンを見つけた
次なる目的地に向かって走らせているさなか、お腹もなんとなく空いてきた。
朝からヨーグルトドリンクしか飲んでいないのだから。
カーブを走った先に農産物の直売所らしいものが見えた。
「森の駅 大島青空市場」という看板があった。

HPより拝借。バイクでツーリングしている人たちも休憩していた
ここらへんでおにぎりを調達しようかな。
「米どころ」新潟だから、美味しいおにぎりが手に入りそう。
店内に入ってみると、野菜よりもお弁当よりも目についたのは山菜。
大きなパックに入ったコゴメや、タラの芽、ワラビの束が400円とか500円で売られている。
昨日夕食で食べた山菜の天ぷらが思い出される。
とっても安いし、持ち帰って料理して食べてみたいなぁ
でもどうやって料理したらいいの?
ワラビはあく抜きしないと食べられないでしょ?
と、思案しながら狭い店内をウロウロする。
それでもコゴメの入った大きなパックはお土産用に、
おにぎりのパックと、コシアブラの天ぷらは朝ごはん用に買ってみた。
おにぎりは3つも入っている上に、玉子焼きと唐揚げもついていた。
コシアブラの天ぷらは大きなパックに大量に入っているので、確実に食べきれない。
残ったおにぎり弁当は帰宅前の腹ごしらえ用にとっておきましょう。
コシアブラの天ぷらも確実にお土産となる。

HPより拝借。コシアブラ
それにしてもコシアブラというのは初めて聞いた山菜だった。
「山菜の女王」とも呼ばれ、香り高く独特のコクと爽やかな苦みが特徴の山菜で、天ぷらで食べるのが美味しいとのこと。
ただ、揚げたてでもないし、衣も厚いせいか、そこまで風味は感じられなかった。
駐車所の周りにベンチがなかったので、chérieちゃんの中でもぐもぐする。
本当は食事厳禁なんだけど、空腹には勝てない。
お腹も満たしたところで、再びエンジンをかける。
カニ長福丸
今度の目的地はたまたまネットでヒットしたところ。
山から少しずつ平地に降りてきて、そのうち海岸線に出た
海だ!
海は広くていいねー
と気分も上がる。

海岸線に沿って走る
まるで昭和の世界にタイムトリップしたかのような佇まい。
否が応でも旅情をかきたてられる。

店のおばさんは奥で鍋を煮ていた
一人でお店を切り盛りしている女性の人柄が良いという口コミに惹かれて訪ねてみることにしたのだ。
いろいろ話を聞いてみる。
売っているのは糸魚川市の能生(のう)で取れるベニズワイガニ。
1月と2月の禁漁時期をのぞくほぼ1年中水揚げされるそうだ。
試食させてもらうと、みずみずしい味わいだ。
昔は街道沿いにたくさんのお店があったが、今となってはこの一軒となってしまったという。
すぐ後ろを走る信越本線に乗って、お客さんもやってくるらしい。
駅から15分くらいかけて歩いてきて、試食したり買い物したりして、次の電車に間に合うように帰っていくそうだ。
それもなかなか楽しそう。

帰り道、たまたま遭遇した信越本線
発泡スチロールの入れ物をハッチバックに乗せておいたので、それに詰めてもらった。
入れ物はちょっと小さかったけど、おばさんは器用に畳むようにして詰め込む。
2杯買ったのに、1杯おまけしてくれた!
これも口コミどおり!
ここのお店、とってもいいなぁってしみじみ思う。
波の音とときおり通り過ぎる車の音だけの静かなお店。
お客さんは私しかいかなったけれど、こうやって時折やってくる客をのんびり相手するおばさんの飾らない人柄もいい。
さっきの直売所とセットで来春、また来ちゃいそう笑
直江津へ向かい、お土産に大好きな笹団子を買って、ランチを食べるとそのまま南下することにした。
そう長野経由で帰ろうというわけだ。
もう1か所寄りたいところがあるから、上信越道には乗らずにのんびり下道を走ることにした。
高速代の節約もあるけど、せっかくなら景色を楽しみながらドライブをしたいじゃない?

またまた山へと戻った
目的地のお店にたどり着く時間の目安がわかったところで電話してみたら、今日の分の予約は売り切れと言われ、がっかりする。
営業時間3時までに入店すれば食べられると思ったんだけどなぁ。
シーズンオフとは言え、かなりの人気だし、もっと前から予約しておかないとムリなのは承知の上だった。
でも時間が読めない旅だったので、それも仕方ない。

HPより拝借。小布施堂の「えんとつ」というカフェで提供されるモンブラン朱雀
じゃあ、どうする?
他のお店を探して行ってみるか?
見切り発車的にそのままドライブ続行。
竹風堂
小布施のメイン通りを走っていると、小布施堂に入ろうと思ったものの、あれよあれよという間に通り過ぎてしまった。
その先に大きな「P」の看板のあるお店があったので入ることにした。

「空」の表示にホッとする
こういう歴史的な街並みでは駐車場を探すのに手間取ることがあるから、その場で決めてしまったほうがいい。引き返してもう一度は時間と気持ちの余裕のある時に。
「えんとつ」がダメな時に備えて、何となくチェックはしていたお店だった。

ここで帰る前の休憩をしましょう
まずはお茶でもしようと2階へ上がると、それはそれは立派なしつらえだった。
そして人も閑散としているので、落ち着いてお茶もできる。

店内の天井は高くて解放感がある

クリーム栗あんみつ。ねっとりとした栗あんがおいしかった!
会計の時に感動することがあった。
日傘を席に忘れてしまったのを気が付いた店員さんが持ってきてくれたのだ。
ちゃんとしたお店はこういった気遣いができるのだ。
接客業として当たり前のことなのかもしれないが、ここで忘れたままになってしまうと取りには戻れない。

由緒ある代物だろうけど、説明書きを読み忘れた

くりづと
煉りようかんとは異なるモッチリ感の中にも滑らかな食感。 栗あんと栗粒を煉り合わせた竹風堂独創の蒸し羊羹(HPより)

くりざさ
精選された栗あんと天然水を使って、あっさりと煉り上げた爽やかな食感。バツグンな栗の味(HPより)
1階で栗のお菓子のお土産を購入したので、満足して帰宅することにした。

さあ、chérieちゃん、帰ろう!
4時前に近くの小布施スマートICから川越ICを目指す。
タイヤの慣らし運転はもうおしまい!
とばかりに本領発揮でいつもの調子で走った。
道路も混んでなかったし、タイヤのおかげで滑らかでとっても気持ちよく走れた。
そして2時間弱で川越ICに着いて大喜びだったのに、とある住宅道路の狭い交差点がなかなか動かなくて20分近く待たざるを得なかった。
川越に着いてからが遠い~涙

買ってきたコゴメの一部
近所の人で、母と同い年の福島出身の人におすそ分けしたらものすごく喜んでくれた。
ご実家が福島の浜通りに近いせいか、山菜もキノコも食べていないそうだ。
もちろんコシアブラのことも知っていた。
いろいろお世話になっている人だから、来春もし行けたら、もっとたくさんいろいろ買ってきておすそ分けしようと思う。