せっかくみんカラに登録したので、自己紹介代わりに私がロードスターに憧れ、購入、納車に至るまでの事の顛末を記したものを投稿しようと思います。私が別で利用しているブログの過去記事に微妙に加筆修正を加えただけのものですが...
初めてロードスターという車を知ったのは、まだ物心つく前の幼い時でした。母親が私に一番最初に買ってくれたトミカが、ユーノスロードスターのVスペシャルだったのです。もちろん当時は車の事なんて全く知りませんから名前やどんな車かなんて全く知りませんでしたし、気にもなりませんでした。しかしあの独特のスタイリングは私の脳裏にはっきりと刻まれました。
それからは特に車に興味を持つこともなく育ったのですが、中学生の時にPSPのグランツーリスモをプレイしました。グランツーリスモには数多くの車種が登場します。ゲームの中でユーノスロードスターを再び見た時、これはあのミニカーのクルマだ!という事は一発でわかりました。グランツーリスモは車種ごとに解説文が用意されています。それはマニアック過ぎず、かといってスペックの羅列にとどまらず、いろんなクルマの概要を知るにはちょうど良い教材でした。プレイするとともに、クルマの姿かたちとどんな車なのかという知識はどんどん広がり、クルマへの興味は瞬く間に募っていきました。
そして解説文に綴られたユーノスロードスターのコンセプトや価値観に私はとても共鳴しました。
ユーノスロードスターがデビューした89年当時、あらゆるクルマが大きく、重く、ハイパワーになっていく中で、小さく軽くコンパクトにまとめ、絶対的な性能よりも走る楽しさを追い求める。なんていいクルマなんだと思いました。
いつしか私は、将来はユーノスロードスターに乗るんだと決意を固めていました。高校生になったらバイトして貯金して、免許は勿論マニュアルで取って・・・自分の就きたい職業などとは別に、将来の目標が一つ出来上がりました。
いざ高校生になってみると、アルバイトするのは厳しい状況だと感じました。通学に時間がかかる、学業はおろそかにしたくない・・・高校を卒業して進学なり就職なりしたらすぐにでもユーノスロードスターを買う。今度はそう心に決めました。
高校三年生の夏、もう運転というもの、クルマというものに憧れすぎて悶々としていた私は、誕生日のキッチリ二か月前から教習所に通い始めて運転免許を取得しました。当時、実家のクルマはオートマのジムニーでしたので、この俺がマニュアル車を運転してる!というだけでよだれが出そうでした。いかにも元警察官といった感じのぶっきらぼうな教官が多い中で、優しくもしっかりと教えてくれて、しかも教習中の車内ではクルマの話で盛り上がれる・・・そんな教官がいらしたのも印象に残っています。そしてその年の9月、現行型であるNDロードスターが発表されたのです。
クルマに興味を持っていくうち、ロードスターも代を重ねるごとに大きく重くなっていっている事(もちろん時代背景や安全基準もあるので仕方ないし、その中でも血のにじむような軽量化をしているわけですが。)、ユーノスロードスターくらいの年式になってくると維持が大変な面もおそらくあるという事が分かってきました。そういった中で発表されたNDに、私は非常に感動しました。デザインが発表される日、授業中の机の中にスマホを置き、特設サイトの更新ボタンをこっそり押したことはいまでも鮮明に覚えています笑
更に引き付けられるデザイン、小さくまとまったパッケージ、再び軽くなった車重!私はすっかり新しいロードスターのとりこになりました。
しかしいざ自分が購入することを想像してみると、卒業して進学するにしても就職するにしてもすぐにはとても乗れないよな・・・とも思いました。いままで憧れてきたNAか、新型のNDか・・・もっとも私がこの時点で幾ら迷いようが、ただのクルマ好き中高生の妄想に過ぎないわけですが汗
私は将来の就きたい職業のため、専門学校に進学する道を選びました。無事に進学が決まってよかったと思いましたが、専門学校でバイトなんてできるのだろうか・・・とも思いました。早く乗りたい、早く夢を実現したい、そのためには・・・
そして年が明け、2015年1月10日。この日私は運命ともいえる体験をすることになりました。
私はこの日、チューニングカーの祭典、大規模な展示会である東京オートサロンに遊びに行きました。ここでNDロードスターが展示されるとあって、とてもワクワクしながら足を運びました。
そしてマツダのブースのステージの上に燦然と輝くNDロードスターの実物を、私はこの時初めて目にしました。その美しさ、カッコよさ、見ただけでただ感動したというにはもったいないほどに惹かれました。なんてかっこいいクルマなんだ・・・そう思いました。
ちょうどその時、ブースの方が抽選券を配って回っていました。抽選に当たると、発売前のロードスターの運転席に座り、開発主査の山本さん、チーフデザイナーの中山さん(お二人とも当時)と一緒に記念写真を撮ってもらえるというイベントでした。こんな若造が当たってしまったらコアなファンの方々に申し訳ないとは思いつつも、まあどのみち当たらないだろうから記念にもらっておくか。と思い、券を受け取りました。そして抽選発表の時、なんと私が持っていた抽選券の番号が呼ばれたのです!途端に心臓が高鳴るのを感じつつも名乗り出て、私は壇上にあがり、NDロードスターの運転席に座りました。センスの良いインテリア、小さな球形のシフトノブ、このクルマで走ったら、窓の外にはどんな景色が流れるだろうか!!まさしく夢見心地でした。そして私は山本さん、中山さんと一緒に記念写真を撮っていただきました。その時に中山さんが仰っていましたが、ロードスターの運転席に座ったのは、私が世界で7番目だった。との事でした。それほどにこの時は貴重な体験をさせていただきました。
運転席から降りて、お二人と握手をしました。その瞬間、私の憧れは確固たる決意に変貌しました。「いつかNDロードスターを新車で買う」と。
その日から殊のことロードスターに関しては、渇望の日々を送りました。専門学校では学業に努力し、資格の試験や就職試験を受けて、全てロードスターに乗りたいという思いが原動力といっても過言ではありませんでした。何度も苦しみ、挫折し、そのたびにいつかは絶対に、、、との思いでなんとか立ち直りました。一方、専門学生の頃には運転も大分習熟し、レンタカーでスポーツカーのハンドルを握ったりもしました。CR-Z,S660,86。



実家の車はスポーツカーとは無縁で、スポーツカーにのる知り合いや親せきもほとんどいなかったこともあり、そういった車を初めて自分で操った時の感動はひとしおでした。クルマってこんなにも楽しいものなのかと思いました。
そして専門学校の三年間を過ごし、何とか卒業も出来ました。
無事に就職してからも、大変なことはいろいろとありました。それでも、ここまでバイトなどほとんどせずに過ごしてきた私にとって、お給料がもらえるという事はとても感動的でした。いままでの努力は間接的でしかありませんでしたが、毎月の生活費を引いて余った額を貯金すると、直接的にNDロードスターに近づいていくという感触が堪りませんでした。生活費の余り、ボーナス、etc...つぎ込める物は全て貯金に回しました。
就職して一年が過ぎ、全額を給料だけで貯金というのは勿論無理がありますが、自分の状況を鑑み、これなら買えるかもしれない。。。と何とか思えなくもないくらいの経済状況になりました。この間、ロードスターにも様々な出来事がありました。カーオブザイヤー受賞、生産100万台達成、RFの追加、NAのレストアサービス開始、マイナーチェンジ、30周年記念車・・・
2019年。十月に消費税増税が控える中、景気刺激策として自動車税の恒久減税と取得税の廃止が検討されているとのニュースが流れました。このニュースを聞いた時、私は10月にロードスターを買うと決めました。
「新車 購入」などと意味もなくグーグル検索を続ける中で初めてディーラーに行くのはいつ頃が相場なんて情報も知っていた私は、「6月になったらディーラーへ行く。」と決めました。それでも相場からすると大分早いとは思いましたが・・・
6月の最初の週末、覚悟を決めてマツダディーラーへ行ってみました。そもそも車のディーラーというものにはレンタカーを借りるためと、冷やかしの試乗のためぐらいでしかいった事がない上、マツダのディーラーは初めて。しかも近所のマツダディーラーは非常にお洒落で高級感があり、まるで高級外車のディーラーのよう。果たして相手にしてもらえるのかとバクバクに緊張しながらも覚悟を決めて左ウインカーを出し、ジムニーのハンドルを切りました。
黒いお絞りで手を拭き、紅茶を啜り、ロータスをそっと齧ったあとに、一通りロードスターについて説明を受けました。
希望のグレードや色、オプションを聞かれればふつうは迷いながら返事をするのでしょうが、公式サイトを穴のあくほど見ていた私はすでに希望が固まり切っていて、何の迷いもなく答えていきました。初めて見積もりというものをとってもらいました。
そして・・・購入のための試乗以外はしないと誓っていた私は、初めてNDロードスターを運転しました。それは人生がひっくり返りそうな体験でした。
あのNDを、私が運転している!そしてNDはこんなにも楽しいクルマなのか!と。せっかくだからと屋根を開けてくれた時の景色。6月の湿った風とエアコンの乾いた風が右手のあたりで複雑にまじりあう感触。この体験は忘れられないものとなりました。
この日は見積もりと試乗だけのつもりでいたのですが、ディーラーに戻った後、いつの間にか契約の流れに話が向いてきていました。。「先ほどの条件で、これでどうですか」と。消費増税に伴う自動車税減税のタイミングを狙っている旨も伝えていましたが、それも踏まえたうえで、その条件は自動車税の恒久減税でちみちみとランニングコストを抑える分を簡単に吹き飛ばしてしまうほどのものでした。そして、「今日までならこの条件でできますよ。」と。
実は先ほど、私は試乗車の中でロードスターへの愛を金輪際語ってしまっていました。正直者の私は、ネットで見るような手の内を隠すようなテクなど一切使えませんでした。しかしディーラーの方は言いました。「ここまでロードスターに共感してくれているあなたにぜひ乗ってほしい。そのために私たちも精一杯頑張る。」と。
家族と電話をしました。家族はあなたの夢なんだからいいんじゃないと背中を押してくれました。その後、私は恐る恐るその一言を口にしました。
「決めます。」
いまごろエンジンが生産されたかな・・・ トランスミッションが、組み立てが・・・と考える2か月間が過ぎました。
そして7月末。その日がやってきました。初めてユーノスロードスターに乗りたいと思ってから少なくとも7年。東京オートサロンで山本さんと中山さんと握手をしてから4年6か月。夏雲が浮かぶ暑い日でした。家を出て一歩一歩ディーラーへと歩きます。そして、夢にまで見たその一台は遂に私の目の前に姿を現しました。その姿を見た瞬間の興奮と言ったらもう!!

ロードスター S マシーングレープレミアムメタリック。ついに私のもとへ憧れのクルマが納車されました。
これからはこのクルマを大切に末永く維持していきます。こんどはそのために頑張ります。
そしてロードスターの輪の中に入れるのがとても楽しみです。このクルマがいろんな縁につながっていけば、こんなに幸せなことはないと思っています。