
◯ 世界と日本のFF車の歴史 武田 隆 (著) 2009/5/25初版発行 グランプリ出版
第1章 前輪駆動車とはどんなものか 2.横置きFFの登場(P16-17)
(前略)ミニのイシゴニス式は、エンジンと変速機を2階建て式にしていたのに対し、フィアットのジアコーザ式は、エンジンと変速機を横に並べる簡潔な構造だった。ジアコーザ式は、デフが片側に寄っているので不利な面があったものの、等速ジョイントの進化などによって実用上の問題がなくなり、世界に普及した。(後略)(図)
第4章 フランスにおける前輪駆動車の進展 1. ヨーロッパの横置きFF車の進化 ■横置きFF車の普及(P87)
(前略)FF技術の進化としては、要の部品である等速ジョイントの改良が進み、信頼性の向上や、曲げ角の増大などが実現された。ジアコーザ式では、左右のハーフシャフトを等長にするために、中間シャフトを入れる方式がやがて普及した。(後略)
各方式ごとに見る戦後の4気筒FF車の新規導入 直列4気筒・横置き(ジアコーザ式)
1964年 アウトビアンキ・プリムラ(伊)
1967年 シムカ1100(仏)
1968年 フィアット128(伊)
1972年 ホンダ・シビック(日)
1972年 ランチア・ベータ(伊)
1974年 シトロエンCX(仏)
1974年 VWゴルフ(独)
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SIMCA(シムカ)1100(1967-1979)の概要
シムカは1934年にフィアットをフランスでライセンス生産するために設立された。1951年に最初のオリジナルモデルであるアロンドを発表した。1961年にはフィアットの設計によるリアエンジンの1000を発表。1963年にクライスラーの強引な乗っ取りに遭い、その傘下に入った。1967年に最後のフィアット系デザインのモデルとしてシムカ1100が発表される。シムカ1100の開発は「プロジェクト928」として1962年にスタート。当時のシムカはまだクライスラーに乗っ取られる前年で、技術的には50%の株式を持つ親会社・フィアットの影響下にあった。シムカのエンジニア、Philippe GrundelerとCharles Scalesは、いわゆるジアコーサ方式の前輪駆動を採用、ボディはルノーが4、16で既に採用していたハッチバックスタイルを採用した。1963年にフィアットに代わってシムカを傘下に収めたクライスラーもこのプロジェクトを承認、フロントサスペンションにクライスラー流のトーションバー・スプリングを用いた以外、フィアット色の強い設計コンセプトはそのまま維持された。当時フィアットで最終段階まで煮詰められていた128と平行して開発され、128よりも半年早く市場に投入された。
参照資料:「自動車アーカイヴ」シリーズ(二玄社)ほか
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第8章 日本の前輪駆動車の展開 2. FFで四輪に賭けたホンダ ■ジアコーザ式を採用したライフ(P197−198)
(前略)N360との大きな違いは、FFの駆動系部分にもあり、その後の世界標準となるジアコーザ式に転換された。(中略)ホンダはエンジンとギアボックスを一直線に配するこの方式を、物干し竿と呼んでいた。このほかにも、2階建て方式や、水平対向4気筒を垂直に置いたユニークな方式も試されたという。いろいろ試して駆動系レイアウトを独自に模索し、その結果、やはりジアコーザ式が良いという見解に達したようだった。ジアコーザ式などという呼び名はまだなく、フィアット128の発表は、1969年3月のことだった。ただ1964年にアウトビアンキ・プリムラもこの方式を採用していて、ダンテ・ジアコーザは関連する特許をとっていたので、採用にあたってはそれを回避する工夫が必要だったという。(後略)
第8章 日本の前輪駆動車の展開 3. FFハッチバックの普及 ■新時代の三菱のFF車 ミラージュ(P209)
(前略)FF方式としては、もはや定番化の様相を呈し始めたジアコーザ式が採用され、ただしホンダと同じように、通常とは違う進行方向右側にギアボックスを置いていた。ホンダは新設計エンジンが逆回転だったのに対し、三菱の場合はFRのランサー用の既存エンジンを使用するという制約があり、過冷却を避けてキャブレターを後方側に置いたのでこの配置になった。回転を合わせるために変速ギアの軸を1本増やして3本にする必要があり、それをうまく利用して副変速機付きにした。エコノミーモードに切り替える方式で、スーパーシフトと名付けられた。(後略)
(ここはMIKITOの考察です)
図は「世界と日本のFF車の歴史」のP17にあるもので、車両の後方から見た図になります。ジアコーザ式では進行方向に向かって変速機(左)−エンジン(右)となります。同書にあるようにホンダがジアコーザ式を採用する最初のモデルは軽自動車のライフです。そして「ダンテ・ジアコーザは関連する特許をとっていたので、採用にあたってはそれを回避する工夫が必要だったという。」ということで以下のような工夫がされています。CAR GRAPHIC(121)1971年7月号の記事 NEW MODEL ホンダ・ライフによると、「このレイアウトはフィアットの特許によっており、Lifeシリーズもフィアット127/128と同様に左右のハーフシャフトの長さが異なる。(左のほうが約50mm長い)。また、エンジンの向きが逆になったため、ニッサン・チェリーなどと同じくアイドラー・ギアを1個噛ませて、回転方向を整えている。」とあるように、ライフではエンジン(左)−変速機(右)としていたのです。また、ホンダは1972年発表のシビックでもエンジン(左)−変速機(右)としています。シビックではエンジンの回転方向を一般的なもの(エンジンに向かって見たときに出力取出軸端の回転方向が反時計回り)と逆にしたもの新設計して搭載しています。
シムカ1100、シトロエンGSビロトール及びシトロエンCXはフィアットと提携関係があったので、フィアットから技術供与を受け、特許を回避すること無しにジアコーザ式を採用できたと考えられます。
Posted at 2026/09/26 21:49:48 | |
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