調和旋回
もともと、バイク乗りです。
進路を変えるのなら、ちゃんと遠心力に釣り合った内傾を伴った、調和のとれた旋回が好きです。
なんで、バイクのレーサーの移動手段だけの為に乗り始めた四輪車は、とても肌に合わない乗り物でした。
カーブを曲がる時に、内滑りする。
ダッシュボードの上に置いたグラスの水が、波立つだけでも、とても不愉快な乗り物です。
(エアロヴァテックの猛者なら、バレル・ロールしても、グラスの水は静止したままです)
多少慣れても、許容できるのは、レーシング・カートぐらい傾かないものでした。
アプローチ・コントロールとコンタクト。
着陸の為に、クラス・ブラボー・エアスペースに進入。
高度2000フィートMSL(ミーンシーレベル)で、レベル・フライト。
パワー・レバーを握ったまま、エア・スピードを確認。
130ノットでエルロンをきって、大きく機体を左に傾ける。
右主翼は天を指している。
機体は70度左にバンク。
エルロンのインヂュース・ドラグで右方向に引っ張られるのを、すかさず、左ラダーを踏込むことで補正。
失速は翼端からはじまる。
急な曲率を強いられて、風を捉えられない左翼端は、揚力を失う。
左旋回による、左方向の強いインデュース・ドラグの発生。
それが、すぐに左ヨー・モーメントを生み、機の軸線とずれた進行方向に、気流と翼のアングル・オブ・アタックを生じさせる。
風を、読む。
機体は、進行方向と斜めに傾いだまま、猛烈なスピードでダイブしはじめる。
すかさず、ヨークを左に保持したまま、右ラダーを踏み込む。
機体全体に空気の剥離する、振動を感じながら、クロス・コントロールを加減。
滑走路番号をエイミング。
あそこに、降りる。
エア・スピードを殺しながら、アプローチへ・・・
左翼失速反転。
プロペラ機の、レフト・ターニング・テンデンシーを利用した、マニューバ。
大好きな、機動のひとつです。
ホ**ル国際空港は、全米でも三本の指に入る、超忙しい空港です。
その空域は、クラス・ブラボー・エア・スペースと呼ばれます。
この上の、クラス・アルファー空域は、スペース・シャトル等が飛ぶ、宇宙空間の定義。
当然、大型の旅客機を優先しての管制が行われる訳です。
その数分の隙間を狙って、小型機を着陸させねばなりません。
(にほんでは、事故削減をうたって、国際線などの第一種空港に小型機などのジェネアビは離発着を許可されていません。アホですね。箱物は造ったら使い倒すのが、正しい使い方でしょう)
普通の着陸プロシンジャーでは、ゆっくり降りるので時間がかかります。
で、忙しい時は管制官から声がかかります。
メイク ショート・アプローチ?
追い打ちをかけるように、ノー・デレィの指示。
とっとと降りれる?
アンネーブルなんて野暮なことは言いません。
管制官は機のレジ番号から、こいつなら大丈夫と踏んで、指示しているはずですから。
アファマーティブ。
すかさず機体を傾けて、大型機の間を縫って、急降下して着陸すると言うわけです。
機械を操る、バックサイドの操縦は、いつも悦楽に満ちています。
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大空 | 趣味
Posted at
2020/07/14 20:14:17