
コーディング作業に関してはいろいろとLCI前→LCIへのレトロフィットの情報を探しても具体的な一連のコーディング内容を探すことはできていなかったのですがちょうど良いタイミングでマーロンさんの整備手帳でご自身が行ったレトロフィットの内容がアップされたのでマーロンさんにいろいろとご教授いただき何とかすることができました。
参考:マーロンさんの整備手帳
https://minkara.carview.co.jp/userid/406478/car/2525456/5929095/note.aspx
行った作業は以下の内容となります。
1,下準備1:まずLCIのFAを作成しておく。
CodingモードでFA >Read>FAクリック>Activate FA> Edit でFA エディターに移動 →フォルダFA>FZAuffrag>Type まで展開してTypschlussel(タイプキー:モデルコード)を”3R92“からLCIの”4Y92“へ書き換える。(F82の場合です)
“Zeitkriterium(製造時期)= 1116 クリック>右クリックでEditしてLCI後の時期である”0318“に書き換える。>FAクリック>右クリックで”calculate FP”>上書き>矢印で戻る。>Saveで名前を付けて保存する。
2, 下準備2: TAL-Calculatingで変更前と変更後の内容を確認しておく。(車両に接続状態で行う)
Confort Modeの TAL-CalculatingをクリックしてLoad>先ほど作成したLCIのFAを読み込みFAフォルダ右クリックでActivate FAをクリック。
SVT Actual>Loadクリックして最終のバックアップSVTファイルを読み込む。
(Read(VCM)でも構いません)
SVT TargetのKIS枠のComplete Flashをクリック>I-Step(shipm)で出荷時のI-Stepを指定>I-Step(target)は最新のI-Stepを指定してCalculateをクリック。
(必要であればファイル名を付けて保存する:実際の作業ではこのファイルは使用しません)
すると各モジュールに対して黒文字、青文字、赤文字が表示される。これらの意味は
黒文字:変更しなくてもよい項目
青文字;変更されるべき項目
赤文字:青文字に対して更新すべき項目
ということになる。
今回の目的はヘッドライトをLCI後にレトロフィットさせるのでそれに関わる部分として

LHM[43]とLHM[44]モジュールは不要で

またTSM[41]、TSM[42]モジュールも不要となりその代わりに

FLE[43]とFLE[44]モジュールが入ることになる。
その他はCAFDファイルとかもバージョンが古いので真っ赤です。
下準備2はあくまで確認作業なのでやらなくても問題はありませんがファイル構造を理解するためには有益な作業です。
これ以降が実際の作業となります。(LCIヘッドライトを交換後車両に接続します)
3, Expert Mode>CodingモードをクリックでFA >Load>下準備1で作成したLCIのFAを読み込むみ>FAクリック>右クリック>Activate FAをクリックする。
ここではLCIのFAをLoadするだけです。
4, SVT Actual のRead(VCM)で車両からSVTを読み込む
5, するとLHM[43]とLHM[44]のモジュールがFLE[43]とFLE[44]モジュールに入れ替わって表示されますがこの状態ではCAFDがありませんのでFLE[43]とFLE[44]モジュールそれぞれにCAFDを注入していきます。
FLEフォルダをクリック>右側にあるDetect CAF for SWEをクリック>CAF Selectionウィンドウが立ち上がるので一番新しいCAFDをクリックしてOKでCAFDがモジュール内に入る。

CAFD注入後

FLEクリック>右クリック>CodeでVOコードを行う

これをFLEモジュール43、44両方に対して行いCAFDを注入してからVOコードを行う。
6, LCI LEDヘッドライトに関わるモジュールとしてFEM BODY[40]もVOコードを行う
FEMフォルダをクリック>右クリック>Codeで新しいCAFDを書き込む。

以上でコーディング作業については完了なのだがFLEモジュールが新品若しくはユーズド品でI-Stepが違う場合はそのままでは正常に機能しないので(状態によってはVOコードを受け付けてくれないとかも?)FLEモジュールのフラッシュを行う必要がある。
確認のためコーディングが終了してからエンジンをかけてライトの点灯がどの様な状態になるのかを試してみたが
・ウィンカーが点滅しない(ウィンカーのリレータイミングも早くなる)
・スモールライトONでもスモールは点灯せず。
・ライトONで両端のライトのみ点灯
・左右ロービーム、ハイビーム異常のエラー出まくり
といった状態でまともには動作していません。
FLEモジュールのフラッシュ作業(車両に接続状態)
まずフラッシュを行う前提としてはE-Sysで使用しているpsdzdataが一般的なコーディングのみで使えるLiteバージョンではなくFullバージョンにしておく必要があります。
また一部の情報では車両に接続する際は通常的な“Connection via VIN”ではなく”Connection via gateway URL”のモードで自車のIPアドレスを入力して接続するという表記があるのですが私は通常的に使用している“Connection via VIN”モードでやったところ問題なくフラッシングできましたので必ずしもではないようです。
1, Confort Modeの TAL-CalculatingをクリックしてLoad>下準備1で作成したLCIのFAを読み込みFAフォルダ右クリックでActivate FAをクリック。
※通常的に部品交換のみでフラッシュをする場合は車両のFAをReadで問題ないと思います。
2, SVT Actual>Read(VCM)クリックして車両のSVTファイルを読み込む。> SVT TargetのKIS枠のComplete Flashをクリック>I-Step(shipm)で出荷時のI-Stepを指定>I-Step(target)は最新のI-Stepを指定してCalculateをクリック。
3, SVT-Update枠の下にあるSaveをクリックして“SVT Taeget”であることが判るファイル名を付けて保存する。
4, 更に下に下がってTAL枠のCalculationをクリックして“TAL Target”であることが判るファイル名でSaveして保存する。
5, Expert Modeに移動して>TAL-Processing>TALのところで4で保存した“TAL Target”名で保存したファイルを読み込む>SVT Targetのところで3で保存した“SVT Target”名で保存したファイルを読み込む>FAのところではLCI用FAのファイルを読み込む>read VIN out of FAをクリックしてRead VINをクリックする。Check software availability をクリックする。
6, Check software availability をクリックしてデータに問題がないことを確認しておく
7, 下半分のところにモジュールに対してどこをフラッシュするかを指定する部分がありますのでまずAllのチェックを外して>今回フラッシュを行う必要があるのはFLE44とFLE43のモジュールだけですのでその2つの“blFlash” “swDeploy” “cdDeploy”の項目のみチェックを入れます>最後にStartをクリックすると3つのI-Stepレベルがポップアップされますが変更せずにそのままOKをクリックしてフラッシュを実行します。
8. フラッシュ中はECUタブの右にあるLogタブに自動的に移りプロセスの状況を確認できます。
Logタブの最終行にVCM更新のメッセージが表示されればフラッシュ完了です。
※今回の場合2モジュールのみでしたが6~7分くらいは時間がかかっています。
終わるタイミングが今一つ判りにくいのでVCMのメッセージが表示されているかどうかを確実に確認してください。
これにてFLEモジュールのフラッシュは完了となりその後エンジンをかけてウィンカー点滅、スモールライト、メインライトの点灯をしたところ問題なく動作しました!
最後にISTAでディフェクトエラーのチェックをかけましたが残っているエラーもなく無事に完了しました。
交換前

交換後

ヘッドライトの取り付け位置が若干低かったようでバンパー上部とボンネットの隙間が少し大きくなってしまい見た目がよろしくないので後日修正予定です(-_-;)
※本内容はあくまでも私の車種F82及びAdaptive LEDヘッドライトLCI前→LCIへのレトロフィットの場合について書いていますのでキセノン→LED(配線追加が必要)等内容やモデルが違ったりする場合ではここに書いた以外の作業・手順が必要となりそれらの詳細を理解できていない方にはお勧めできません。十分に検討した上、あくまでも自己責任ということで。