
TVでよく見かける脳科学者、東日本国際大学特任教授、中野信子の著作。幼少の頃から自分は異質であると感じ、親や教師も扱いに苦慮するほど孤立。自分がおかしいのは脳のせいで、脳をもっと知らなければと思ったのは中学生の事だそうだ。
人間の体についてはかなりの事が解明されてきたが、脳にはまだまだ不明な点が多く残されている。個人的には、人はなぜこんな言動を取るのだろうかと不思議に思うことが多々あって脳関連の本を読み漁ってはいるが、この本はそんな疑問を解き明かす一助になりそうだ。
人(脳)は自由を嫌う:そんなばかなと思われるが、誰もが本心では誰かに意思決定を委ねたいと思っている。脳の重さは体重の2%程度しかないが、ブドウ糖の消費量は全身の18%、酸素は25%も消費する。従って、選択の自由がない状況の方が負うべき責任や余計なリスクも考えずに済むので、脳が楽を出来るからだ。
正義中毒:前頭前野に良心や倫理を掌る領域があり、正しい事をすれば活性化されて快楽が得られる一方、正しさに反する事をすればストレスを生じて苦痛を感じさせる仕組みとなっている。一見素晴らしい制御システムに思われるが、厄介なのは他人が正しい事に
反することをした場合にも同様に働くため、それを解消しようとその他人を攻撃しようとする。
他にも色々と紹介したい事柄があるが、それは本書に譲ることにする。定性的な話だけでなく、その証明のための実験事例が示されていて説得力がある。一気に読めた面白い本であった。
Posted at 2024/12/04 06:09:50 | |
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