インド・パキスタン・中国の日本大使館で外務省専門調査員として勤務、現在はインドの国際関係・政治を専門とする岐阜女子大学南アジア研究センター)笠井亮平特別客員准教授の最新著作。副題は、激突する「一帯一路」と「インド太平洋」となっている。
最近、その存在感を大きく増しているインド。人口は今年度中に中国を抜いて世界一になると予想され、経済成長も著しく、日本のGDPが抜かれる日もそう遠くないとされている。特にIT分野での人材は豊富で、欧米諸国での活躍も目覚ましいものがある。
私は1986年に初めてニューデリーを訪れて以降、2012年位迄、しばしば出張する機会があったが(写真は93年にムンバイを訪れた時のもの)、その独特な考え方に驚かされたことが少なくない。
特にインドの外交は独特であり、どこかと強い同盟を組むより、事案ごとにインドの利益を最大にすべく協力関係を構築している事が挙げられる。自由で開かれたインド太平洋構想で日米豪印の連携が深まっているように、インドは民主主義陣営と思われがちであるが、ロシアのウクライナ進行に対してはロシア非難決議案に棄権票を投じている。
これは、第二次世界大戦後、ヒンズー教徒が主のインドとイスラム教徒が主のパキスタンが英国から独立した際に、その間の国境問題と民族移動で大きな争いとなった。さらにインドと中国、ソ連と中国が争う中、米国はソ連に対抗するため米中パ連合を結成、インドはソ連と手を組むこととなった。以降、ロシアとなった今でも軍事のみならず工業・経済面での結びつきは続いている。
益々力を付けて行くインド、これから長らく目が離せそうにない。
Posted at 2023/12/18 17:32:50 | |
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