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ハーバード大学教授、政治哲学が専門のマイケル・サンデルの著。

近年、エリートに対する労働者の不満が爆発している。米国しかり、英国・フランスしかり、日本も例外ではない。エリートの収入は激増しているが、労働者の収入は増えないばかりか実質的には減っている。グローバリゼーションや金融イノベーションもその一因であろうが、根本的な問題は行き過ぎた能力主義である。厄介な事に、両者がこれを平等な制度として受け入れていた。

エリート達は能力を授けるために機会均等さえ与えれば良いとの考えに陥りがちだが、これは大きな間違いである。成功は、与えられた能力・社会環境なども生まれによって大きく左右され、不平等さは世代ごとに拡大、昔の貴族社会と変わりがない。

労働者が求めているのは収入だけではなく、社会的貢献に対する承認である。労働の尊厳を取り戻すことは容易ではないが、いくつかの提案がされている。
色々と考えさせられることが多かった。氏のベストセラー、ジャスティスも読んでみたい。