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地政学はあまり馴染みのない学問であったが、最近のウクライナ情勢や移民問題などから脚光浴びている。この研究の第一人者、ロンドン大学クラウス・ドッズ教授の最新著作“新しい国境、新しい地政学”。

海に囲まれた日本に住む我々は、戦後、国境を意識することが少なかったように思われる（返還前の沖縄を除き）。個人的には、90年代半ばに朝鮮半島38度線を訪問した際には衝撃を受けたが、欧州や北米に行ってもパスポートコントロール以外に国境を意識させられることは少なかった。

ところが、最近は日本でも尖閣・竹島やコロナによる出入国規制、ニュースで見聞きするメキシコの壁など国境を意識、しかも閉鎖的に意識させられることが増えて来た。本書では世界中、そして宇宙まで含めた国境問題を扱っており、これだけ多くの問題があるのかと驚かされるとともに、その原因分析の確かさに唸らされた。

移動の自由シェンゲン協定を掲げたEUでさえ後退し始めている。国際司法裁判所も十分機能しているとは言い難い。しかし、開かれた国境を実現することに努力を続けて行かねばならないことは明白だ。