スタビレーに続き、こちらもドイツの総合工具メーカーの代表格、おしゃれ番長ハゼットです。
ドイツのこの2つの工具メーカーは言わば、"ヤンキーくんとメガネちゃん"という感じでしょうか。(例えが古い😅)
スタビレーが正統派な優等生タイプだとすれば、こちらのハゼットは我が道をいく個性的なタイプ。
どちらもドイツの良質な鉄鋼から造られたのは変わりありません。
スタビレーの無駄のない"Simple is Best"が個性的であると捉えるのは置いておいて、ハゼットは主にオートモーティブ系に数多く供給しており、ドイツの自動車メーカーの指定工具にもなっています。
元々デザインはイタリアのベータなどと並び、ヨーロッパ工具屈指のおしゃれさを待っていましたが、そのオートモーティブに注力する過程でよりおしゃれさが洗練されてきたものと思われます。
ヨーロッパでは高級車メーカーが多いので、自動車整備士は花形の職業ですからね。
扱う工具も洗練されていないと。
そういう理由で、スタビレーは航空業界でシェアを伸ばし(一時期NASAの指定工具にも選考された噂がありますが...)、ハゼットはオートモーティブの現場で進化してきました。
スパナ部はスタビレーよりもやや丸みを帯びたイメージです。
質実剛健さはスタビレーのそれによく似ており、本当はあまりよろしくありませんが、少しくらい固く締まったボルト/ナットでも緩められそうです。
メガネ部の立ち上がり加工は独特です。
スタビレーはまんまメガネレンチの様でしたが、ハゼットはメガネ部のやや上にレンチの柄が刺さっているかの様なデザイン。
これも独特ですね。
ちなみに安価な工具は、元々真っ直ぐに形成されたレンチを、後で曲げ加工を行い角度付けをしています。
このハゼットや、日本で言えば旭やKTCなどは、鍛造の段階からレンチの形を造るため、後で曲げ加工を行ったレンチより強度が増すのです。
スタビレーと並べてみました。
こうやって見ると、デザインコンセプトこそ違うものの、どちらも無駄のない機能美が感じられる素晴らしいレンチです。
スタビレーはあまりOEMに頼らないメーカーで9割の商品が自社生産、プライヤーに限ってはクニペックスのOEMなので、ほぼドイツ生産工具だと言えます。
一方ハゼットの場合は、花形のレンチ類こそ自社生産ですが、ヨーロッパをはじめアジアの提携メーカーの生産品が半分ほど占めている状況です。
KTCも昨今では、台湾やベトナム生産の工具が増えてきており、近い将来ハゼットの様にレンチ類しか造らなくなる可能性もあります。
TONEはレンチも、生産国不明品が多いですね。
ただ、オートモーティブに特化したメーカーだと、それも否めないのかもしれません。
日々進化する自動車業界と、それに対応しなければならない現場の整備士さん達。
一昔前のスカスカのエンジンルームとは違い、今はこの部品を外す前にまずこの部品を外してから、など日常茶飯事。
プラグ交換ですら手間がかかります。
特殊な形状のボルトにも対応しなければならないし、特殊な形のレンチが必須であったりとか。
いろんなニーズに対応するには、自社生産だけでは対応しきれないのでしょう。
15年ほど前に工具業界で革命を起こしたギアレンチも今は台湾工具メーカーの十八番です。
スタビレーもハゼットも、そしてKTCも、ギアレンチだけは台湾製に頼らざるを得ないのです。
時代の流れと言ってしまえばそれまでですが
それがこれからの工具業界の新しい形と捉えて、日々進化する工具の未来に期待しましょう。
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2024/02/22 11:59:13