「暗く怖い場所の追想」THEME-SONG
【
ここまでのあらすじ】
同僚の部屋で行われたホームパーティーに参加した私だったが、そこに来ていた好みな娘に、軽くテンションを上げてしまったらしい。
その日は総勢7、8人の内、2人か3人が女性だったのだが。
好みの娘にしか興味が無かったので、よく憶えていない。
我ながら、評価出来るのは本能に忠実という部分だけである。
この悪癖も、周囲の条件によっては特に問題にはならない。
むしろ、「お前はホント分かり易いな。」程度の冷やかしを受けて終わる場合が多い。
しかし、この日は違った。
テンションの上がらなかった側の女性が、私のこの態度に激怒した様子。
「様子」というのは、確証が持てないからだ。
実際、自分の中では最初、怒っている理由が分からなかった。
いや、今も本当に分かっているのかと云えば、想像で書いているに過ぎない面がある。
なぜなら、好みの娘だけを相手に盛り上がってしまったと言っても、これまでの例に比べ、それは非常にささやかなレベルだったからだ。
正直、自分では差があったとは思っていない。
本音を言えば、全体的に無理をしてテンションを上げていた。
生来の社交性の無さもあり、どちらかと言えば、その場に居ること自体が苦痛だった。
では、なぜ出席したのか。
主催が、一緒に遊ぶことの多かった同僚だからである。
簡単に言えば、パーティーに行ったのは同僚と遊ぶためであって、他のメンバーには仕方なく付き合っていたのである。
そう考えると、根本的な原因は周囲への無関心さだったのかもしれない。
怒った彼女だけがこの事実に気付いたのか、全ての参加者が気付いていたのかは分からない。
いずれにせよ、気分を害した彼女の手により、私には立つ瀬の無い世界の創造が始まった。
彼女をYと呼ぶことにする。
Yは基本的に明るい性格で、頭も柔らかく気の利く部類の女性なのだが。
所謂「お姫様ポジション」への憧れが、非常に強いと思われる節がある。
そんなYを差し置いて別の女性に興味を示してしまった自分が、ただで済むはずもなく・・。
各参加者と会話を交わして場を盛り上げつつ、私だけ無視するという報復に晒されることとなる。
一部の参加者は途中でこれに気付いたらしく、「やれやれ、また始まったか。」という表情を浮かべる。
かと言って、こんな私を積極的に助けてくれるはずもないのだが。
それでも私は、少しだけ救われた気分になった。
このような目に遭ったのが、自分だけではないらしいと分かったからだ。
こうして散々な一時が過ぎた。
自業自得な部分もあるので、Yを責めるつもりは全くないのだが。
普通に考えて、Yとは縁が無かったと考え、距離を置くべきだろう。
しかし、同僚はホームパーティーを続ける気満々である。
同僚と私は同期入社で、入社から暫くの間、一緒に寮生活を送って来た関係なのだが。
Yは同僚と同じ部署であり、ホームパーティーの主要メンバーのようだ。
つまり、ホームパーティーが開催されれば出席する可能性が非常に高い。
こうなると、選択肢は当面、2つに絞られる。
同僚もろとも距離を置くか、彼女に機嫌を直して貰い距離を縮めるか。
僅かな葛藤を挟み、私は後者を選んだ。
では、その先に起こることを、もし私が知っていたらどうだったろうか。
それは全てが終わった今でも分からない。
つづく
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Posted at
2009/03/01 22:34:45