
どぅりんりです(^^)/
今回は、今のエンジンには欠かせない排気ガス再循環システム(Exhaust Gas Recirculation)「EGR」について解説します。
EGRはアメリカで「大気浄化法改正案(俗に言うマスキー法)」が取り沙汰されていた1970年前後に排ガス中の汚染3物質(CO/HC/NOx)を、改正前の10分の1に減らせというこの法案を達成するために考え出された方法です。ホンダのシビックが採用したCVCCが有名です。
当時は排気ガスのクリーン化が目的でしたがのちに三元触媒が発明され、理論空燃比で燃やすだけで汚染3物質は90%以上、浄化できるようになったため、ガソリンエンジンではEGRは一時役目を終えていました。2000年代に入り採用されたEGRは主に燃費や熱効率の改善する目的で再び採用されるようになり、作動不良に陥ると燃費悪化やパワーダウンが起こります。
ガソリンエンジンの熱効率を悪化させている要因のひとつは吸気損失です。いつでも理論空燃比で燃やしたいガソリンエンジンは、燃料噴射量を絞った分だけ吸気量も絞らなければならず、低負荷時には空気を吸い込むだけでエネルギーを消費してしまいます。
そこで酸素の入っていない別の気体を吸わせることで、理論空燃比を維持したまま、吸気損失を減らす方法としてEGRが再び採用されました。
EGRには、吸気損失の低減以外にもメリットがあります。燃焼温度が下がることで、燃焼室壁に熱を奪われる冷却損失も減らすことがでます。水が高いところから低いところに流れるとき、高低差が大きいほど流れが速くなるのと同じように、熱は温度差が大きいほど移動速度が速くなるため、燃焼温度は低いほうが、冷却損失も少なくなるのです。
燃焼温度が下がることで冷却による損失を軽減でき、吸気中の酸素濃度も下がることでスロットル開度が大きくなるためスロットル損失も抑えられます。これらのはたらきによって、燃費効率の向上を果たすことができるのです。
また燃料消費量が少なくなることは、有害物質の排出をさらに減らすことにもつながります。
制御面でのEGRの効果についても触れていきましょう。
【低負荷時におけるEGR導入】
① スロットル開度が小さくてもポンピングロスにならない
外部からスロットルバルブを通過してシリンダー内に入ってくる空気量は少ない。したがってポンピングロスが発生する状況である。しかし、スロットルバルブの下流でEGRを行なうと状況は変わる。EGRガスの流入によりシリンダー内の負圧が減少するためだ。近年の低負荷EGRは、このようにポンピングロスの低減効果を得るために利用される。排ガス浄化や燃焼温度よりもむしろ、こちらのほうが主流であるケースの方が多い。
※Motor Fan illustrated編集部コラムより転載
【高負荷時におけるEGR導入】
① 高回転域ではノッキング防止効果を得られる
高負荷領域ではスロットルバルブが全開になり、外部から空気がどんどん入ってくる。高圧縮エンジンや過給エンジンでは、ノッキングを防ぐために大幅な点火リタードを行なうことから、空気が入った割にはトルクが出ないという問題がある。そこで、EGR(クールドEGR)を導入すれば、酸素濃度が低下してノッキングが起こりにくくなるので、点火時期を進めることができる。EGRが入った分は空気の量が減少するが、エンジンによっては点火時期を早めたことで、逆にトルクが大きくなる場合がある。また、排気温度が低下するので燃料リッチ化(排気温度を上昇させる目的)も不要になる。
※Motor Fan illustrated編集部コラムより転載
そのため多くの車種では全域でフィードバック制御をもとに作動しています。
ただ、誤解を招かないようにお話ししておかなければならないのは、ディーゼルエンジンやクリーンディーゼルエンジンでは目的がことなる場合もありますし、スポーツカーやスーパーカーなど車種によってEGRを用いない制御領域がある場合もあります。
EGRが再び採用されるようになって20年以上が経ちました。経年車のEGRトラブルはプリウスやハイエースを筆頭に増えている印象です。スロットルボディやO2センサー、イグニッションコイル以上に重要という考え方もあります。
気になる方は確かめてみてはいかがでしょう?
ブログ一覧 |
車だいすき | 日記
Posted at
2022/10/16 19:49:37