
☆ 信号の進めは「青」or「緑」?
タイトル写真は、夜の「青」信号を撮影したものです。
この写真を私の感覚で見ると、「緑」色に点灯していると判断します。
しかし、交通事故の訴訟で、訴状や答弁書を書くときは「青」と表記するのです。これは、法令用語が青としているからです。
法廷外で、この写真の信号の点灯色は?と質問されれば、私は緑と答えます。
しかし、法令用語は青。
オマエだいじょうぶか?と言われるかもしれません。
しかし、私は、この色が青なのか緑なのかについて深刻に考えた時期もありました。
緑に見える原因は、私の視覚に問題があるかも?と悩んだわけですね。
※ 近年よく見かけるLEDの交通信号機は、青にしか見えないものもあるように感じています。
☆ このイラストを媒体に載せるときはどう作りますか?
上は、警視庁から拝借してきた信号機のイラストです。
このイラストをネット媒体と紙媒体にカラーで表現してみましょう。
・インターネット向けの作り方
このイラストをインターネット上で表現するときは、RGBカラーで指定します。
私が、RGBで、この信号の色を指定せよとの注文を受けたら、
○ RGB = 0-176-107
という数値をベースにします。
コンパスで真円を描くとき、最初にすることは「中心点に針をキチンと刺す」ことです。
まず中心点を決め、次に指定された面積の円を描き、最後はまん丸にまとめる!というのが、キレイな円を描くためのセオリーでしょう。
同じように、依頼者が希望する色をRGBで表現するときの中心点はRGB = 0-176-107 となるわけです。
それを中心に依頼者と話し合いながら、最後に「まん丸にまとめる!」とクレームのない良品が完成するわけです。
・紙媒体向けの作り方
一般的な印刷物は、4色で印刷されます。
4色で印刷してくれと言われれば、CMYKだと、
○ CMYK = 85-0-80-0
という数値が基準になります。
上でネット媒体向けのお話をしたところのコンパスの中心点がこの数値になります。
印刷会社に対する実務的な色指定だと、
C85Y80
とするのが慣行ですね。
ところが、CMYKの4色だと、緑はキチンと表現できないのです。
どんなにがんばっても似たような色を作るぐらいしかできません。
印刷後の出来映えは、少しくすんだような感じになります。
これが現在の4色印刷の限界です。
依頼者から、緑のような4色では表現が難しい色を正確に表現して欲しいと依頼されれば、「特色」と呼ばれる第5の色を指定することになります。
もちろん4色印刷より、特色を加えた5色印刷の方が印刷代が高くなります。
正確な表現をするために特色が必要になるのは、緑と橙色が代表格です。
金色のような光沢が必要な色、蛍光色全般も4色印刷が苦手とする表現です。
あ、ごめんなさい。
話がずれまくりました。
私が言いたかったことを整理します。
ここであげた警視庁のイラストを見る限りは、交通信号機の法令用語で言う「青」は、「緑」で制作するということです。
☆ 世界的にはどのような表現になっていますか?
上の写真は神奈川県警察のホームページから借用してきました。
進めは青というより緑に見えないかなぁ?と思いませんか。
では、世界的にはどう表現するのでしょう?
・日本
赤 青 黄
・英国
red green amber
・米国
red green yellow
・中華人民共和国
红 绿 黄
クリアレンズのクルマのウインカーを注文するとき、「yellow」と表現するメーカーはあまり見かけません。
「amber」と表現するメーカーの方が多いように感じます。
クルマは左、人は右とする英国式交通ルールを採用している日本なので、そのあたりも英国式なっているのかな?なんて思ったりもしますが、実際はわかりません。
結局、米英中3国とも、日本が青とする色を緑としています。
グローバルスタンダード云々とか言う言葉が大好きな日本です。
交通信号機の色の国際化をはかるなら、法令用語も青から緑とする!となりますかね。
そんなとってもくだらない話でした。
☆ 20世紀の昔話
~ 広告代理店と印刷会社の板ばさみになる出版社のお話 ~
私は、10年少々の間、出版社を持っていたことがあります。
その時代の思い出話をさせてください。
カラーの印刷物を作るとき、色を指定する方法が決まっています。
印刷・出版関係のみなさんのほか、広報関係者なども含め、その方法をご存知の方もかつては多かったと思います。
そして、広告代理店。
耳にする音から想像する業種と実際の業務が違う会社ってありませんか?
・電話関係の会社?と誤認する人もいる「臀痛」
・そこ、骨董品店だよと言われれば騙されてしまいそうな「吐苦包童」
いずれも大手の広告代理店です。
この2社ともなると、CMYKによる指定のほか、DICのカラーガイドをペタペタ貼り付けて指定してきたりします。
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※ とても困った話(実話)
→ ある臀痛の担当者の話です。
その担当者には、CMYKの色指定の知識がありませんでした…と言うより、印刷に関する知識が皆無でした。
これ、道路交通法を知らずに公道を運転するに等しい話です。
クライアントを担当する資格を欠く担当者ですね。
DICカラーガイドに拘泥するあまり、ムチャな色指定変更を多発させ、色校正を何度も出すハメになりました。
納期はすでに限界を超え、各人が超人的パワーを発揮して作業するほかないような押し具合となりました。
この事件の始末は、臀痛が私の会社が余分に負担した費用+アルファを支払うことで決着しました。
なぜそのような社員が入社できたのか…?
今なおナゾのままです。
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このカラーガイドというモノも実は印刷物。つまり、経年劣化によって色合いが変化することもあるわけです。
時折、明らかにCMYKで指定された色合いと異なるカラーガイドが貼り付けてあったりします。
「この担当者、消費期限が切れて久しいカラーガイドを使いやがったな…」とわかっていても、いちいち代理店の担当者に問い合わせなければいけません。
そんなときに限って担当者不在!というのが「印刷・出版会社あるある話」のひとつ。
印刷・出版会社は、納期遅れが許されない業種。また、納期が押しているのが常態なので、相手がいないからまた明日…というわけにはいきません。
相手方不在だと残業決定宣告も同様でした。
結局、先方の帰社を待ちながら他の業務を進めることになります。
そして、相手方と連絡が取れたのが午後11時過ぎ…なんてことが何回あったやら。
「臀痛」は業界の大手と言われます。
しかし、ここの就業規則はどうなっているのか?と思うようなことがあきれるほどありました。
取引する側まで臀痛の就業時間に巻き込まれるわけです。ああメイワクな…
臀痛は、いつまでもそんな体質を改善しませんでした。
その結果として、尊い命が失われることになったという事実を臀痛は大いに反省し、カイゼンしてください。
さて、その深夜の色指定確認の話に戻ります。
私は、相手方に色指定をしてもらったら、相手方の指定内容を確認書として書面化します。
その書面は、即座に相手方にファックス。送信後には相手方に着信を確認し、その後は確認書記載の内容についての再確認をします。
再確認が終われば、先方のサインをもらい、ファックスで返送しておきます。
相手方のサインが入った確認書を入手した時点で、いちおうの業務終了となります。
しかし、通常はそこからまだ仕事が続きます。
納期変更不可でありかつ日程が押しているので、待ってもらっていた印刷会社に確認書を転送、色指定を決定します。
それが終わるとまずは日付変更ライン超えとなります。
さて、その書面ベースの確認作業を怠るとどうなるかですが…
印刷~製本が終わり、クライアントに出版物を送付したあとに「この色は違う」と代理店にクレームが入ることがあります。
そんなことがあると、いとも簡単に経営規模が小さく力が弱い私が責任を取ることになります。
そんな強いものが弱いものを力でねじ伏せるような理不尽が通らないように最大限の努力をしなければならないわけですね。
当時は、なんともムダな作業をしていたものです。
下請悲哀史なんてドキュメント作品を作ることもできるなぁと思う今日このごろです。