
みなさん、こんにちは。
先日、ライターをしている古い友人と久し振りに会い、六本木ヒルズのEnotecaのアウトドアのテーブルに座ってワインを飲みながらいろいろと話をしました。
彼は雑誌やラジオの仕事でしょっちゅう海外へ出かけているので、会うたびに旅の土産話をしてくれるんですけど、今度もアメリカにある不思議な町の話を聞かせてくれました。
町の名前はウイリアムズ。グランド・キャニオンのすぐ手前、ルート66沿いにある小さな町だそうです。
知ってる人も多いと思うんだけど、ルート66はその昔、アメリカを象徴するような重要なハイウエイで、ナット・キング・コールやローリング・ストーンズが歌うR&Bの歌にもなったし、60年代、日本でも流行ったアメリカのテレビドラマのタイトルにもなったほどです。
ぼくはテレビドラマの『ルート66』は大好きで、毎週かかさず観ていたんですけど、設定は2人の20代後半のアメリカ人の青年がシヴォレー・コルヴェットに乗ってルート66沿いの町から町へと流れわたり、恋に落ちたり事件に巻き込まれたりする、というもの。
ぼくが特に魅かれたのは、この2人の男が毎回、新しい町で、あたかも新しいアイデンティティを得たかのようにゼロからスタートすることです。
彼らは2人ともクールなんで、過去についてはほとんど語らず、毎回、新しい人間と出会っては新しい関係を築いていく…そして、話の最後にはまた車に飛び乗り、新しい町へと去っていく…何も後には残さず、行く先に待ち受けているのは常に未知の世界…何にもとらわれないオン・ザ・ロードの生活と、いつもゼロからスタートするという再生のテーマがぼくにはたまらなく魅力的に映ったんですね。そして、彼らが訪れるハイウエイ沿いの町もみな、どこかとてものんびりしていて、古き良きアメリカの雰囲気が残っているようなところばかり。この背景もとても魅力的でした。
話が脇に逸れちゃいましたけど、アメリカの象徴の一つとして親しまれたこのルート66も近くにもっと新しいハイウエイが何本も出来たため、次第に衰退し、
今では道がところどころで寸断されてしまってたり、町も取り壊されてしまったりゴーストタウンになってしまったところが多々あるそうです。
そんな中、友人が訪れたこのウイリアムズの町は古き良き時代のルート66にタイムワープしたような不思議なところで、50年代風のダイナーもあれば、ヴィンテージカーが陳列されたカーヤードやアンティークの家具を使ったお洒落なデザイナー・ホテル、オールドスタイルのステーキハウスなどが立ち並んでいる。古いものが愛を込めて保存され、再利用されているんですね。そしてそんな古いものの隣にニューエイジ系のヴェジタリアン・レストランやヒップなブックショップやカフェ、バーやダンスクラブなどもあり、町としてとても魅力的にまとまっているそうです。
「そもそもこの町もルート66沿いの他の町と同じように衰退の道をたどって、ゴーストタウンになりかかっていたんだけど、残った住民が力を合わせて昔の町の良い所を残しながら再建したんだね。そしたら、いつの間にかアメリカの各地から人がやって来てここに住むようになって、町はもっともっと魅力的なところになっていって、今では毎年、たくさんのツーリストが訪れるようになったんだ。ぼくはここに1週間いたんだけど、ニューヨークから来たカフェのオーナーだとか、サンフランシスコ出身の花屋の店員だとか、本当にアメリカ各地から来た人が多くて、みんな、いい感じに変わり者だったね。この町のコンセプトっていうのかな、使い捨ての消費社会よりも古い物を大切にしたゆとりのある生き方…これに惹かれてやってきた人が大半なんだよね。だから町もいい感じにソフィスティケートされていて、アーティストとかインテリも多いしね。ロバートだったら絶対好きになると思うよ」彼に言わせるとこの町、実はアニメ映画『カーズ』の舞台というか、モデルになった町だそうで、道を歩いていると登場人物にそっくりな人にあったりもするそうです。
ぼくは昔からこのルート66を車で走破したいという夢をもっていたんですけど、彼の話を聞いた後、ぜひ近い将来、このハイウエイを走れるだけ走り、最後にこのウイリアムズの町を訪れ、ゆっくりとした時をおくりたいなと思いました。そして、チャンスがあったらぜひとも、慣れ親しんだ場所を後にしてこの町に移り住んだ”いい感じの変わり者”とじっくりと酒を酌み交わしながら語り合いたいと思います。
※今日のマスタングは、横浜、赤煉瓦倉庫前にて。
Posted at 2008/07/02 17:44:12 | |
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