前回作成したスピーカーですが、低域でエコーがかるのが気になります。スピーカーのf特は言ってみれば静特性なので、音がオンオフ変化した時の動特性は実際にはどうなっているのか調べ、それを元に改修を行いました。
なおここでは前回製作した初号機を1X、今回改修した2号機を2Xと略しています。
改めて1Xのバスレフポートからの出力のf特を低い周波数のみプロットしたのが次の図です。前回使ったマイクはノイジーだったので今回マイクはダイソーのクリップマイクに変更しました。1Xのバスレフ共鳴周波数Fdは実際には94Hzであったことがわかりました。
次にWaveGeneでバースト波を出した時にバスレフポートからはどのような音が出ているのかを見てみました。バスレフ共鳴周波数Fdでのバースト波では次のように0.1sほど残響することがわかりました。
次にオクターブ低い音と高い音を出してみると、、、これは意外だったのですが、音が出ている期間にバスレフ共鳴周波数Fdの音が混ざり、音が止んだ後もバスレフ共鳴周波数Fdの音で残響することがわかりました。違う周波数で鳴らしているのに!
考えてみると共鳴を利用したスピーカーシステムってオカリナのボディにスピーカーを付けたようなものなので、空気が動いた時にひたすら本来の共鳴音を出したがるってことなんですね。それにしても1Xは共振のQが高すぎた(振動のお釣りが多すぎた)ようです。
●1X→2Xへ改良
そこでそれを含めて2Xでは以下の改良を行うことにしました。
上の図のようにバスレフは空気バネの振動なので、バネダンパーモデルで考えると減衰振動を短時間で終わらせるためには、重さを軽くするか、バネを強くするか、ダンパーの粘性抵抗を上げればいいわけです。バスレフの場合の重さは大部分ダクト内の空気の重さという事になります。バネとダンパーはダクト径と長さが関係してくるはずです。ダンパーはそれ以外にも音響的な抵抗を入れることが考えられます。そこで色々実験を行いました。
結論としてバスレフとダクト後方に音響抵抗として薄い不織布を貼り付けるという事にしました。
バスレフ共鳴周波数を下げるためにはダクトを延長すればいいのですが、スピーカーを前方から取り付けるためのバッフルは先に3Dプリンターで作成してあって、印刷し直すのも面倒なのでバスレフダクトを延長する部品を作って取り付けることにしました。不織布が外れないように押さえ用のキャップも付けました。結果としてダクトはφ22x52mmとなりました。
1Xではバスレフポート出口にテーパーを入れましたが2Xではやめました。ガスケットはTPU素材で印刷し、またアンプケースも作成しました。内部の吸音材は1Xのままです。
アンプケースも黒くなったので斜めから見ても暫定感がなくなったかと思います。
●1X→2X性能比較
バスレフポートからの残響音の減衰時間がどのくらい短くなったかを比較してみました。上が1X、下が2Xです。残響時間が約半分になりました。
●2X f特
2Xでスピーカーとバスレフポートそれぞれどんな音が出ているかを見てみました。上がスピーカーから1cm、下がバスレフポートから1cmの音です。
それではスピーカー全体としてはどのような音が出るのか?を、マイクを2本使って加算してみました。スピーカーとバスレフで位相がずれると打ち消されてレベルが下がることになります。ここではそれぞれ直近で拾った音で電気的に加算しています。無響室じゃないのでスピーカーの素性としては離れたところにマイクを置くより正しいかなと。
1Xと2Xで比較しました。こちらは縦軸dBのグラフになります。1Xではバスレフ共鳴周波数で6dBほど持ち上がっていますが2Xではほぼフラットになってます。
●音は?
・男性アナの声もボンづかずに聞こえるようになりました。(実際には残響しているんでしょうが違和感はないです。)
・下は60Hzまでは音として聞くことができました。(80Hzあたりから比べるとレベルが10dBくらいは落ちてはいるわけですが。)
・スピーカーを前面取り付けにした効果は、、、よくわかりませんでした(^_^;
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オーディオ | 日記
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2023/01/27 21:37:12