さる7/20に第2種電気工事士の技能試験を受けてきました。(第2種電気工事士とは、簡単に言うと家の壁や天井にあるスイッチやコンセントなどの器具の裏側の配線をさわるのに必要な国家資格です。例えばスイッチのカバーはだれでも交換できるのですが、スイッチ本体を交換をするにはこの資格が必要です。年に2回試験があり、学科試験に合格すると技能試験を受けることができます。)
技能試験の合格発表は8/16なので私の合否はまだわからないのですが、この先試験を受けられる方へのアドバイスや、不合格であった時に再試験する自分への申し送り事項をまとめておこうと思います。
●準備した物
・Amazonでホーザン(HOZAN)電気工事士技能試験工具セットと電気工事士2種技能試験セット 2回練習分(電線、器具、テキスト)を購入しました。技能試験の本番ではあらかじめ公開されている13問のうちの1つが課題として出され、40分以内に欠陥なく施工するというものですが、この練習セットは13問を2回練習する分の電線などが入っています。
→電線セットは試験前になると品薄になり価格が上がるようなので早めの調達がお勧めです。
●練習にあたり
・ホーザンはじめいろいろな人のお勧め施工動画がYoutubeにアップされているので、それらを参考にまずはやってみて、その後自分がベストと思われる施工手順をあみ出すのが良いと思います。
●心がけたこと
①技能試験本番では自分は平常心を失っているはずなので、バカになっている自分が作業してもミスを犯さないような施工手順を考えてその通りに実行する。
②無駄な動きはできるだけ排除するが、試験はタイムトライアルではないので極端な時短にはこだわらない。
③ミスを犯しても時間内にリカバーできることを確認しておく。
●①に対する具体的な手法
・複線図をシャーペンで描くときに、配線の色をW,B,Rと線の上に記入したらその後カラーマーカーでWとRの線それぞれに色を付けました。
→最初から色付きペンで書かないのはもし間違っても消しゴムで消せるからで、色を付けるのはW,B,Rの文字を目で追わなくても接続点だけを見て線の色を把握できるからです。
・また複線図ではリングスリーブ接続箇所を極小なら「〇」で囲み、それ以外は脇に「小」「中」を記述しますが、さらにリングスリーブと差し込み形コネクタが1か所に混在する場合はコネクタの接続点を「コ」で囲みます。
→接続ミスや心線長を間違えるミスを防ぐためです。何度か練習すればここまで開始後3分もかかりません。
・ケーブルの切断長を間違えるミスは重い(その後リカバーするのに頭を使う)ので、切断する前に器具への結線を行い、その後単線図の施工寸法+100mmでケーブルを切断するようにしました。
→よってケーブル切断長さを計算して複線図に記入する手間を省けます。またバカになっている自分が足し算を間違えることを防げます。
・その後器具と反対側のシースを100mm剥いで、さらに複線図を参照して心線をコネクタ接続なら12mm、リングスリーブ接続なら20mmストリップしておきます。
→いったん全て20mmでストリップしてコネクタ接続の場合さらに12mmにペンチでカットする手法もあるのですが、最初から12mmにしておけばコネクタで接続すべき場所にリングスリーブを圧着するようなミスを防ぐことができます。
●②に対する具体的な手法
・作業中の動画を撮影して、自分が無駄に時間を費やしている作業を客観的に洗い出すのがいいと思います。考え込んでいるときは面白いようにフリーズしている自分がいました。
・ランプレセクタプルや露出形コンセントの施工では最初に2か所のネジを外し、2番目のネジはドライバの先端に噛ませた状態にしておきます。それからケーブル外装と心線をストリップし、輪作りを行ったら外した1つ目のネジを輪にあてがって適正なサイズの輪ができたかを確認&調整し、その後ケーブルを器具に通してそれぞれの輪のセンターとねじ穴が一直線になるように電線の曲がり具合を調整してからねじ止め作業に取り掛かります。
→輪のサイズが小さかったり穴の位置がずれていても無理やりねじ込むことはできるのですが、それをやると思った以上に時間を食うので焦るし指を怪我をする可能性もなきにしもあらず。「急がば回れ」です。
・1本目は、先ほど噛ませたまま置いておいたネジを指で押さえながらドライバのシャフトをつまんでネジを輪に通して2~3回ほど回して仮止めしたら、もう一方のネジも仮止めします。
→一方の心線を完全に固定しない方がもう一方のネジが穴に入りやすいからです。
・その後器具の底面を机に置いて、ドライバのシャフト部分をシュルシュルと高速で回転させてねじを締め、その後ドライバの柄を握ってしっかりと本締めします。(ネジを外すときも緩めた後はシャフトを回転させれば素早くできますね)
●③に対する具体的な手法
・いずれも実際にやってみてどのぐらい時間がかかるかを把握しておくことが重要と思います。接続ミスに関してはいったん施工を完成させた後でやってみてトータル40分以内に終わらせることができることを確認しておくと自信になると思います。
・リングスリーブを「〇」で圧着すべきを「小」で圧着した。
→凹部分を合わせて「〇」で圧着し直します。これは正式なやり方です。この場合一瞬でリカバーできます。
・リングスリーブを「小」で圧着すべきを「〇」で圧着した。
→圧着の凹箇所をカットし、残った下半分のスリーブをペンチで引き抜いて心線の曲がりをペンチで正してから20mmストリップして圧着し直します。リングスリーブの下端でカットしないのはその方が1cmほど得だからです。
・圧着後によく見たら絶縁被覆とリングスリーブの間の隙間がほとんどなかった。
→4本圧着で裏側の心線に注意がおろそかになると発生します。1本だけなら電工ナイフか小型のニッパで絶縁被覆を2~3mm剥ぎ取るか、↑の手法でリングスリーブを付け直します。
・差し込み形コネクタの種類を間違えた。
→クリクリ回して外します。コネクタから心線を外すのは練習で何度もやる作業なので、あまり力を入れなくてもいいことはわかっていると思います。実際の電気工事では心線に傷がつくのでカットしてやり直しですが、試験ではその必要はないと思います。(電気技術者試験センターの資料でNGとなっていないので)
・ケーブルを施工寸法+接続用の100mmでカットすべきを施工寸法通りにカットしてしまった。
→例えば施工寸法が150mmなら接続のために+100mmして250mmでカットすべきなのですが、これを150mmでカットしてしまった場合、そのまま接続用にシースを100mm剥いてしまうと残りが50mmとなってしまい150mmの50%以下となり欠陥です。よってシースは100mmではなく60mm剥いて残りを90mmとして作業を続けます。75mm以上残っていればOKなので90mmあれば安心です。リングスリーブ圧着の場合心線の絶縁被覆の残りが20mm以上必要ですが、60mmあればリングスリーブ用に20mmストリップしても余裕ありです。
・2mmケーブルのシースをストリッパの1.6mmの歯で剥こうとして心線の絶縁被覆に切れ込みを入れてしまった。
→シースを少しずらして傷の部分を隠します。傷に関しては心線を曲げた時に銅線が見えなければOKではあるのですが精神的に悪いので。検定員もわざわざシースをずらして傷の有無を確認したりはしないはずです。もちろん本当の電気工事ではNGですが。
シースずらしはランプレセクタプルや露出型コンセントでシースのストリップが長すぎた時にも使えるテクニックです。
●私が犯したミス
・実は上に書いた「絶縁被覆とリングスリーブの間の隙間がほとんどなかった」と「心線の絶縁被覆に切れ込みを入れてしまった」というのは練習時にはやらなかったのに本番でやってしまったミスです。
→4本の心線を束ねるためにダイソーの「繰り返し使える結束バンド」を使ったのですが圧着直前に裏側の1本がなぜか上にずれていたことに気付きませんでした。時間に余裕があったのでカットしてやり直しました。
→電源の2mm青ケーブルのシースがなかなか剥けなくて、再度ストリッパーで挟んだら1.6mmの歯で噛んでしまいました。シースをずらして傷を隠しました。
・それ以外は練習中に実際にやってしまったミスです。「リングスリーブ小、ヨシ」と頭の中で唱えながらなぜか極小〇で圧着して途中で気付いたもののもう戻せない、とか、シースを100mm剥こうとしてなぜかカットしてしまったり、頭と行動が別になることがあってショックでした。少し慣れた頃に発生しやすい感じでした。
●合格ゲージは必要なかった
・心線を希望の長さでストリップするために、ホーザンのストリッパP-958本体にはゲージが印刷されているのですが、これに頼るとどうも長さがばらつくので、1回目の練習中に合格ゲージを追加で購入しました。これを使うと簡単に長さの精度が出せるので本番でも使ったのですが、ふと疑問に思ったのが「コネクタの12mmという長さはどこまでが許容範囲なのか?」ということです。
・そこで差し込み形コネクタで心線のストリップ長を変えて確認してみました。
→結果10~16mmなら合格基準を満たすという事がわかりました。
→ということは、「大体12mmくらい」にストリップすればOKということで、合格ゲージに頼らなくてもP-958本体のゲージを使って(あるいは慣れれば目分量でも)多少ばらついてもOKという事です。スイッチやコンセントの差し込み部分に関しても、接点の構造は差し込み形コネクタと同じなので、そちらも結構許容範囲は広そうです。(実際のプロの電気工事の動画を見ると、いちいち12.0mmジャストであることを確認したりはしてませんしね。)
●自分を信じて試験に臨む!
・試験数日前に試験のことを考えて心が穏やかでなくなっている自分に気付きました。妙にイラついたりドキドキしたり、、、けれど「今までこれだけ練習したのだから大丈夫」と思ったら落ち着きを取り戻すことができました。
これから受験される方は(今回落ちていたら次回の自分も含めてですが)、今まで練習してきた長い道のりを思い返して自信をもって臨んでください!
●銅を売却してみた
・2回分練習して細切れになったケーブルの銅線部分を取り出して買い取り業者に持って行きました。銅が2.44kg、リングスリーブ部分が0.16kg取り出せました。(弱電の電子工作なら一生かかっても使いきれないほどの銅の量ですね)
・リングスリーブの材質は銅ですがメッキされているので分別してみました。
・業者の秤は1kg単位のようで、2kgの扱いで2,800円になりました。
・たまにこのような電気工事士練習用の銅線を引き取ることがあるそうです。「またよろしくね」と言われちゃいましたが(^_^;
・ケーブルのシース部分はカッターでサクッと外せます。IV線の絶縁被覆を安全に素早く剥くために、このような↓ツールを作ってから作業しました。それでも延べ工数は丸一日分はかかったかも。暫定で作ったツールですがカッターの刃を交換することなしに2回分の電線を剥き終わることができました。
・ツールの3Dデータはこちらに置きました。