
今年の頭にPumpkinからOwnice C960に交換したばかりの中華ナビなのですが、Owniceは開発者オプションに疑似ロケーションアプリを設定する項目がありません。自作の慣性航法ユニットの実験をしたかったので買い替えることにしました。
●NaviFlyのUIS7862モデルをチョイス
aliexpressを見るとTeyesのCC3が良さげでしたが本体も送料も高めです。NaviFlyのメモリ4G/64Gモデルが送料込みで253ドルと安かったのでこちらのJazz(Fit3)用モデルを選択しました。発注から6日で郵便局から配達されました。Fedexだと速いですね。
https://ja.aliexpress.com/item/1005002487703470.html
●中身
・Owniceでは結線図の紙が入っていましたが、NaviFlyには説明書の類は何も入っていませんでした。
・NaviFlyのHPにもマニュアルは見当たりませんでしたが、Webで本体と画面の写真を見る限りIsudarのV72と同じ物のようなので、IsudarのHPよりマニュアルをゲットしておきました。https://www.isudar.com/blogs/user-manual/instruction-for-h53
・一応最低限の配線には信号名を書いたタグが付けられています。
・WiFiアンテナは小指の先ほどのサイズの5G用が本体から直接生えています。2.4G用は先のマニュアルによれば本体の一番左端のコネクタにBluetoothと共用で出ているようですが、コネクタの先には短いシールド線がピロンと出ているだけで、しかも先端が乱暴にカットされています(心線が1cmほどの長さで切られていてかつ絶縁保護キャップが付けられていない)。そのためか2.4Gの感度は悪く、部屋で3m先にある中継器の電波強度が中程度です。車内だけで使う分にはこれでも問題ないと思いますが、駐車場から家のWiFiにつなぐためにはUSBの5Vで動作する中継器を車内に持ち込む必要がありそうです。
・ちなみに同梱されていたGPSアンテナは不良品で衛星を全くつかみませんでした。今回はこのアンテナを使わないつもりでしたし、手元にある以前のNAVIのアンテナで動作チェックはできるので問題なしとしましたが、このNAVIが最初の1台目だときついですね。
★準備(ハードウェア)
・真夏の車での作業を極力減らすために、定電圧電源装置から+B電源と、ACC、イルミ、バックそれぞれスイッチを介して信号線を配線し、NAVIが机上で動作できる環境を整えました。
・ちなみに電源電圧12.5V時に起動時の消費電流は0.7~0.8A、暗電流はスリープ時6.4mA、シャットダウン時1.7mAでした。
●ハーネスの改修
・海外モデルのFit3用の変換ハーネスが同梱されていますが、国内モデルに対応するためには1か所改修が必要です。
・具体的にはステアスイッチを読み込むためのKey-2が車体側24Pカプラの9ピンに接続されているので、これをカットしてFitの車体側20Pカプラの12ピンに接続するためにギボシ加工を行いました。(実車側では20Pカプラの12ピンから配線を引き出してギボシ加工を済ませてあります。)
・ちなみに実車側では20Pカプラの12ピンと2ピンを470オームで接続する加工をしてあります。これを行わないと10個のキー全てを読むことができません。
・この辺はOwniceと同じなのでピン配の図は過去のブログを見てください。
・なお変換ハーネスの24Pカプラの9ピンの端子は引き抜いて22ピンに入れなおしました。(このピンに車速パルスが来ているのでいずれ自律航法ユニットで使うため)
・OwniceもそうですがパネルタイプのNAVIは本体を取り付けただけではGNDが車のボディと電気的に接続されません。GNDは車体ハーネス経由ではなく直近でボディに落とした方がノイズ的に有利なので、変換ハーネスのGND線の外皮を剥いて太めの線を半田付けしました。これを直近のボディに接続する予定です。
・またACCも他に使いたいので半田で3本ほど分岐してギボシを付けました。
・半田付けした箇所を保護するためいったんピンを抜いて熱収縮チューブをかぶせました。
・+Bラインには自作の低電圧遮断ユニットを入れるため中間で切断して両端にギボシを付けました。実車にはバッテリー上がりを防ぐための小さなソーラーパネルが設置してあるので、そこからの受け側のギボシもこの部分に併せて付けました。
●リバース時のオフディレイを追加
・リバースにシフトするとバックカメラの映像に切り替わり、シフトを戻すとすぐに元の画面に戻るわけですが、戻る側に数秒のディレイを入れたら便利ではないかと常に思っていました。切り返し時に、車体をまっすぐにラインに沿わせたり、また今回のナビはリバースに入れてから画面が切り替わるまで1~2秒かかるのを埋める効果もあります。
・NAVIのバック線はデジタル信号の入力端子なので電圧をコンデンサで保持することにしました。バック線に直結だとコンデンサのチャージはバックランプ側に流れてしまうのでダイオードで逆流防止をしています。これでNAVIのバック線の電圧はコンデンサーのチャージ電圧がNAVIのリバース入力端子の内部抵抗で徐々に放電し、閾値を下回るまではバックのままと認識されます。実験してみると220μFのコンデンサで7秒ほどのディレイが得られました。・パーキングを引いたらもはやディレイは不要なので、1kΩの抵抗とダイオードでコンデンサのチャージを急速に放電するようにしています。0.1秒ほどで元に戻るはずです。
・ダイオードは手持ちの整流用の1Aクラスのシリコンダイオードです。
・コンデンサはバッテリ電圧が14V以上になることもあり、さらにサージが乗ることを考慮して耐圧16Vではなく25V品を使っています。
・製作は空中配線で熱収縮で保護してギボシを付けました。配線の途中に割り込ませるだけです。
・このNAVIにはリアカメラのビデオ入力と同じコネクタに[CAM 12V]という線が出ていますが、ここにはリバース時とリバース解除後5秒ほど12Vが出ることがわかりました。よって今回はリアカメラはこの線から給電することにします。カメラの電源を従来のようにリバースからとると、せっかくディレイを入れても画像だけが消えてしまいますので。・この線がないNAVIでもディレイを入れたい場合は、リアカメラの電源はバック線ではなくACCからとる必要があります。言わずもがなですが。
・ただ、遅延時間はコンデンサの容量とデジタル入力の内部抵抗に依存するわけですが、内部抵抗はメーカーごとに異なるので他社のナビだと調整が必要か、うまくいかないかもしれません。ちなみにOwnice C960では100μFで同程度の遅延、Pumpkinでは内部抵抗が小さいようですぐに放電してしまい目的が果たせませんでした。その場合は次のようにバッファを入れるとうまくいきました。
●ラジオアンテナ給電線の変更・今の車のラジオアンテナにはブースターが組み込まれているのでNAVIから電源線が接続されていますが、実はこの線[ANT+12V]は信号線であり給電線ではないという情報を得ました。実際測定してみると電源12.5V時にこの線の出力電圧は10.59Vで1kΩ抵抗をつなぐと0.12V電圧がドロップしました。計算すると11Ω程度が直列に入っていることになり、100mA取り出したら1.2Vも電圧が下がるわけでやはり給電には使えないことがわかりました。そこでアンテナへの給電線をカットして[ANT+12V]からACCに変更しました。
・ちなみにアンプ制御線[AMP-CON]もNAVI側から電圧を出せますが、電気的特性は[ANT+12V]と同じでしたので、そちらも給電には不向きです。
●冷却ファンの追加
・IsudarのUIS7862モデルにはV72の後継機種と思われるT72という製品があり、Webを見るとそちらはリアに冷却ファンが付いていると思われます。TeyesのCC3にもファンは付いています。
・室温28℃でCpu Monitorで温度を見ながらGeekbench5を走らせると90%を超えたあたりで瞬間的にですが99℃に達しました。やはり冷却ファンがあった方がよさそうです。
・12Vの静音ファンを調達し、針金で(タイラップだと熱でやられる可能性があるので)、ケース側に風が当たる向き、すなわちラベルを内側に取り付けました。ファン側のパルス出力の白線はカットし赤と黒線にそれぞれギボシを付けました。リード線が0.5sqより細いのでギボシの圧着部に半田を流し込み、スリーブの後ろからグルーを流し込んで固定しています。
・給電はACC直結としています。回しっぱなしですがファンの寿命はNAVIよりは長いと踏んでいます。これで先のベンチでも86℃程度に収まるようになりました。無負荷だと室温より10℃アップ程度なので問題ないと思われます。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B002TOJVE6
●内蔵マイクの切り離し・中華NAVIは本体左側にマイクが内蔵されており、右ハンドルの車ではドライバの声は車のノイズに埋もれてしまい走行中の認識率はいまいちでした。今回のNAVIは3.5mmのジャック接続の外付けマイクが付属していますが、これを差し込んでも内蔵マイクはオフにはなりません。そこで内蔵マイクを電気的に切り離すことにしました。
・XDAの情報によればKEY接続のフラットケーブルの右側2本分がマイクの信号線とのことなので、この部分をカプトンテープで絶縁しました。私はケースを開けたこともありメインボード側のケーブル端にテープを張りましたが、NAVI本体をパネルから外すとスイッチ部分のカバーが外せるみたいなのでそちらのケーブル端でやった方が楽だったかもしれません。
●GPS変換ケーブルの調達・私のFit3はNAVI装着スペシャルパッケージ車なのでGPSアンテナは取り付け済みです。今回はそれをそのまま使うこととし、GT5コネクタとSMAのオスを変換するケーブルをAliexpressから調達しました。
https://ja.aliexpress.com/item/1005001559550967.html
ソフト準備編に続く