
前回の書き込みの通り、自分の魔改造DME(オーバーホール & パスコン追加、EPROMソケット28ピン化、24<->28ピンDipスイッチ切り替え選択化)でERTが無事稼働した。本来であればここでチャンチャンなのだが、そうは問屋が卸さない。DMEとERT間のROMプローブケーブルが短すぎてDMEの蓋が閉まらず、このままだと常用できないからだ。
以前は「プローブケーブル短いけど、そもそも'86 CarreraのDMEでERT使えねぇよなぁ…」と妄想で終わっていたのだが、以前と違い今回は動作確認は取れてるのでERT稼働に対して俄然本気モード(笑)。
実は上記構想は旧ERTを入手した時からすでに考えており、その時の構想は最終的に以下の2つに絞られていた。
1. DMEの基盤の表にEPROMソケットがあるが、これを裏側(!)につけなおして改造ケーブルで接続。
2. DME自体はそのままで、2階建て仕様の真ん中から自作の超ロングケーブルを作成して外に出す。
1.に関してはDMEの内部構造(2階建て仕様)はちゃんと組み立てられるのと、裏側(実際はDME上部)にROMソケットがあるのでプローブケーブルの接続はしやすいがROMソケットの配線が左右2本単位で逆になるのでプローブケーブルの改造(っつーか、完全作り直しレベル)が必要。現時点でICピンヘッダ(DME側のEPROMコネクタ)の入手が非常に厳しいし、ピンヘッダ使うと左右入れ替えが事実上不可なので今からやるならICソケットを使ってケーブル作成を行ったほうが現実的。(ERT側のコネクタで変換アダプタという手もあるが、ノイズでエンジン掛からなかった事を考えるとコレが原因でトラブルになる可能性大)
ただ、どちらにしても2階建て構造はきっちり組みあがるが、ICソケットやらプローブケーブルやらの高さが出てくるのでDMEケースはつけられない。そして一番の問題はEPROMソケットを表裏逆差しした関係で既存のEPROMがさせない(=オリジナルに戻せない)ということ。これだけで自分の中ではありえない(爆)。
2.に関しては1.の問題であったEPROMも普通に使えるし何かあったらすぐに元に戻せるが、超ロングケーブルが必要。(標準ケーブルに自作延長ケーブルで対応、というのも考えたが、前述の通りココが原因でトラブる可能性があるので却下)
通常のフラットケーブルだと柔軟性がある為、最短距離を走らせられるが今回の銅シールド加工フラットケーブルを使用する場合は柔軟性がないため、曲げるときは折りこみをしていくしかなく、長さとしては最低でも350mm程度必要。
上記を考える限り2.しかないのだが、K-Specさんとの意見交換の際、ERT開発当初はROMプローブケーブルを長くしたかったのだが400mmだと稼働しなかったので確実に動く200mmのケーブルにした、とのお話をお伺いしたので、そういった意味ではロングケーブルは非常にリスキー。少しでもケーブル長を詰めたいのならケースにケーブル出すための穴をあけるという大技もあるが、捨てるカバーがあるならいざ知らず一つしかないケースにそんなことはできない(湿気対策も厳しいし)。ただ、400mmで稼働しなかったのが信号減衰でなくノイズ混入が原因だとすると、今回の銅シールド加工をすることによって解決する可能性がある(っつーか、もうその前提で動いてるんだが(汗))。
と、いうことで早速ICピンヘッダを含めた部材をそろえ、作成を開始。長さはとりあえず400mmを越さない、という前提でDME内にフラットケーブルを実際に這わせての採寸と後述するフラットケーブルの構造から355mm(コネクタ部含む)に決定。(数字で見るとえれーなげー(泣))
で、本来であれば圧着端子を買った店で圧着してもらうのが一番楽だし順当なのだが、頼みの秋葉原ではICピンヘッダは絶版、ERT側コネクタは在庫なしなので泣く泣くそれぞれ通販で購入し、小型万力等を使って一人で泣きながら圧着した(汗)。ERT側コネクタ側は比較的簡単に圧着できたが、ICピンヘッダのほうがめちゃくちゃ時間がかかった。いろいろな工具や部材を使用して何とか圧着できたが、もう一度同じものを作れと言われたらちょっと自信がない(苦笑)。(それこれICソケットに半田付けして作ったほうが楽(汗))

※圧着直後のシールド加工前ケーブル。見てわかる通り、一定間隔でケーブルがまとまっている箇所(30mm)とまとまってない箇所(70mm)があるので、キリのいいコネクタ間330mmで作成した。
圧着が完成した後、導通・ショートチェックを行い問題がないのを確認した上で早速、シールド加工に入る。前回の型紙を修正して355mm用の型紙を作成して加工。今回は前回と違ってちゃんとシールド線加工をしてから表面加工し、作成を行うことができた(笑)。あとは実際にDMEに取り付けてテストするだけなのだが、今回は二階建て構造のDME内部を通すため、こすれによる絶縁部破損・熱による絶縁部焼損を考えると極薄の表面絶縁だけでは不安だったのでまたも幅広の絶縁テープを使用して二重構造とした。

※二重シールド加工処理後。上の標準ケーブルと比べると見れば見るほど長い。それに絶縁部分のこの黒さを見てると金子英男先生のブチルケーブルを思い出す(爆)。冷静に考えるとこんな長いと間違いなく動かないと思うんだが…
ちなみに今回の施工と同時にDMEのEPROMソケットをOMROM製の金メッキ高耐久ソケットに交換した。CR屋さんがつけてくれたKEL社の絶版ゼロプレッシャICソケットが経年劣化で破損してしまった為だ(泣)。それと同時にICピンヘッダがものすごく耐久性に乏しいため(すぐ折れそう(汗))、保護用として同じソケットを使用した。

※無論オムロン(古)のOMRON製金メッキ高耐久ICソケット。気になる人は「OMRON XR2A-2801-N」で検索。あとEPROM抜き差ししすぎてでEPROMが手でとれるほどグラングランになっちゃった人は振動でEPROMが落ちる前に「XR2Z-13」を2つ使ってROM固定をおすすめ。
ケーブルの作成が完了したので実際にDMEに接続して現物合わせをしていく。ちなみに前述したDME現物採寸の際にプローブケーブルの経路を考えたのだが、(DME端子側を手前として)奥のほうからの取り出しはDMEの1階から2階の内部ケーブルがあるから通せず、右側はヒートシンクの関係で非常に出しづらい。消去法で左から出すこととした(右に比べて左のほうが余裕がある)。左側ルートはDME内にケーブルが一番長く通るので出来れば避けたかったんだが…
で、とりあえずケースをおさめ、ケース上部にERTを固定。当初は横向きに設置する予定だったが、ERTのUSB端子側を前面に持ってくるとエミュレート状態LEDが非常に見やすいため縦向きに設置した(旧ERTは蓋開けていないと確認できなかった(汗))。実際に配線すると結構キチキチだったので、あと50mm程長ければよかったのだが、あまり長くして動かなかったらシャレにならないので結果オーライ(汗)。

※ERT対応'84~89 911 Carrera用DME完成写真。この写真だけだと「あ、911 618 111 05のDME使えばERTつなげられるのね!?」と勘違いされるような気がするが、DME・ERTそれぞれ手をかけないととてもじゃないがいろんな意味で繋がらない(爆)。
早速出来上がったDMEを接続し、満を持してエミュレーションモードにエンジン始動。今回はケーブル以外にもROMソケット交換やらなんやらいろいろといじくったので動かなかったら何処から見直しするか、とビクビクもんでの始動だったが、結果はあっけなくかかった(汗)。アイドルも問題なく、PC上の空燃比計も問題なく稼働してる(回転計は相変わらずだが(汗))。
とりあえずエンジン始動したので、前回と同様エンジンを切って正弦インバータ接続したPCを接続し今度はEPROMモードにてエンジン始動。こちらもあっけなく稼働した。その後の試乗も問題なく、全開踏んだらちゃんと全開Mapを見てくれているのも確認できた(笑)。(勿論K-Specさんに超ロングケーブルの写真と共に再度ご報告もした(笑))
ちなみに今回のロングケーブル作成に関してはK-Specさんに相談・了承の上とはいえ想定範囲外での使用方法だし、自己責任での作成なので動かない・壊れても泣かない(笑)ということで構想・作成した。なのでもし自分の書き込みを見てERTの導入・自作ロングケーブル作成を考えている人は自己責任でよろしくです。(<-お約束)
でも正直な話、自分はERTの実車テストする以前にERTのロングケーブル化する際はケーブルシールド化しないとダメだろうなと思っていたので、そういう意味では標準ケーブルでもシールドしないとダメだったのはちょいと意外だった。国産車だとノイズ関係はちゃんと対策してあるからか問題なかったと思うけど、国産でも一部の車種や構造的にロングケーブルが必須な車もあるだろうから、そういう意味では悩んでいる人に一つの解決策を提示できたと思う。(マジな話、シールドの問題でトラブってた方はかなりいると思うし、ロングケーブル化は切望している人がかなりいるはず)
今回、計画していたことがすべて無事に完了出来て非常に嬉しかったがここだけの話、自分の中では今回の自分の仕様だけじゃなくて突拍子もない仕様でもERTが稼働するかどうか試してみたい気持ちがある(笑)。例えば最初期の2716仕様(それもROM直付け(笑))のDMEにあえて旧タイプのERT、プローブケーブルはピンヘッダの代わりにICソケットを使ってケーブル直接半田付け + 400mm超の特製シールド加工ケーブル、とかで(笑)。ERT側のコネクタとフラットケーブル、銅シールドやICソケットはまだストックが手元にあるので2716仕様のDMEと旧型ERTが入手出来ればやってみたい気持ちはあるんだが…誰かやらせてもらえねーかな(苦笑)。
で、車両側ハードウェア面はある程度解決したので今度はPCハードウェア及びソフトウェア面の準備。まずはPCハードウェア。こちらは当初小型PC(12.1インチ 1366 x 768 dpi / Core i5 3337U / 16GB / 512GB SSD)を使用していたのだがERTを使うこととなると広大な画面が必要となるのとある程度のパワー・スピード、多くのUSBポートが必要となるのでノートPCを代替。こちらに関しては死蔵ノートPCの中から「落として壊れても泣かない(汗)」ノートPCを見つけて使用(15.6インチ 1920 x 1080 dpi / Core i7 4712MQ / 16GB /512GB SSD)。このノートPCはキーボードは…だがUSB3.0が本体左側に3ポート入るので、ERTとLC-1、WebカメラがHub無しでダイレクトに接続できるので都合がいい。電源コネクタも左側なのでちょうどいいが、CPU熱排出口が右にあるのでそれは対策が必要。
それに対してERTのオンラインエディタ、Motronic Editor(PORSCHE用BOSCH DMEのマップ変更プログラム)、全画面録画ツールをインストール。ERTオンラインエディタは別段問題がないが問題はMotronic Editor。こちらはインストールがちょいと面倒なんだがその上でERT用の27C128(16KB)のデータをダイレクトに修正できるようにマップスペック(SPC)ファイルを新規に生成、ERTから吐き出したデータを直接Motronic Editorで確認・修正できるようにした。最初はMotronic EditorをERTに対応させるつもりがなかったが、実際にERTをいじり始めると地味に不便なのでSPCファイルの内部を解析して対応させてしまった。ちなみにこのSPCファイル、最初は新タイプのSPC形式で作成したがどうしてもERTのファイルに対応させることができず、結局は挫折して旧タイプをベースに作成した(汗)。結果的には同じことだが、自分の中では今回の一件での唯一の負け戦(爆)。
全画面録画ツールに関しては以前も書いた通り、ERTのマップトレース画面と空燃比計、回転系と共にWebカメラで前方を撮影するために導入。ERTやLC-1はそれぞれログは取れるが、それだけだと後から見ても正直何が何だかわからない(汗)。その代わり数値データとして残らないが、それぞれの画面と共に前方撮影した動画と音声を全画面で録画すれば、後から見てどこでどのタイミングで何やったかが一目瞭然にわかる。助手席にメカが乗って逐一修正できるのであればそれに越したことがないが、それでない限りはこういった形で記録に残すのが一番手っ取り早い。以前自分が悩んでいた冷間初爆トラブルに関して言えば特定マップをマップトレースした画面と空燃比計・回転系とエンジン音が記録されているのを見ればいつどのMap見たときに問題が発生しているのが分かれば対策は立てやすい。
ちなみにわざわざ全画面ツールをインストールしたのはWindows標準のツール(Xbox Game Bar)だとアクティブのウィンドウのみの録画対応で全画面録画は対応できていないから(知らんかった(汗))。ちなみに全画面録画ツールは何点かあるが、自分が試した某メーカのツールは録画のフレームレートが遅すぎて使い物にならず(最初はPCのスペックがアウトかと思ったくらい(笑))、もう一社のツールはフレームレートは抜群に良かったが何らかのタイミングで前面撮影用のWebカメラのキャプチャーが止まるという謎トラブルが発生し(音は普通に録音されてる(笑))、今試用しているツールは毎回Webカメラのセッティングが必要だがそれ以外は問題なく使用できているので、たぶんこのツールがデフォルトになると思う。
ちなみにWebカメラは「とりあえず前方の風景が写ってりゃいいからなんでもいーや、変にいいの買うと画素数多いから転送データ量多くて全画面録画の負荷になるし」的に適当な安カメラを選んだのだがコレが大失敗(汗)。(<-負け戦まだあるやん(泣)) まさか安いカメラはフレームレートまで低いのには気がつかんかった(汗)。とりあえずは使えているが、解像度はともかく30fpsじゃハナシにならんて(泣)。これに関してはしばらくは使うが、いよいよになったら交換予定(汗)。

※実際の走行時のSS。商業特注ROMベースなので著作権の関係でマップ部分はモザイクを入れさせていただいた(汗)。ERT左側の燃料マップウィンドウ内の緑の部分が今アクセスしている場所。この番地はアクセルoffでなくパーシャルで踏んでいる場所で、なおかつ踏み足していない状態(踏み足していると連続した複数マップが緑になる)。ちなみにアクセルOff状態だとそのマップ下部のアイドルマップ部分が緑になるのと空燃比計が一気に20.8以下を指すのでわかりやすい。
で、上記のシステムを構築後、実際にいろいろといじり始めてはいるが、いじり始めるといろいろと気になる点が出てくる。例えばエンスト時。エンストした時は再始動の為に一旦Key Offにしなければならないがその時点でERTの電源も一度切れる為、いじってた設定がすべて飛ぶ(汗)。まぁデータ保存してから再始動すればいいが、街中ではとてもじゃないけどそれどころじゃない(笑)。それにPC接続時に一度電源が切れるとPC接続も切断 -> 再接続を行わなくてはならず、マップトレースをしていた場合はマップトレース機能をONにしたあと、マップトレースするMapを選択しないといけないから地味に面倒くさい。これに関しては電源OFFになるのをディレイする特別ユニットを作れば解決をするので、近く作る予定。
実際のマップ変更に関してはいろいろと進展があったが、これに関してはまだまとめている最中なので、また今度(笑)。