
交差点を通り過ぎたところで、対向車線の右折レーンにクルマが入ってきました。
運転中は1点を見つめず全体を見るようにしているのですが、いかつい顔のフロントマスクに目が釘付けになりました。「シトロエンDS!!」
シトロエンDSは1955年から1975年まで製造されていたフランスの高級車です。
シトロエンというとすぐに思い出すのが宇宙船を彷彿させる前衛的な流線形ボディーと「ハイドロ・ニューマチックシステム」と呼ばれる油圧制御によるエアサスペンション。「空飛ぶ絨毯」と呼ばれるふわりとした乗り心地と乗車人数に関わらず車高が一定に保たれる安定性が特長となっています。他にも油圧制御によるパワーステアリングやセミオートマチック・トランスミッション、加圧ブレーキなど非常に凝った作りとなっていました。
1955年10月にパリサロンで発表されたDSは、その日1日で1万2,000件あまりのバックオーダーを獲得しました。
フランス政府機関の公用車として広範に用いられ、大統領のシャルル・ド・ゴールもDSを愛用していたことで知られています。またアランドロンが出演する映画にDSが登場するなど、多くの映画に用いられました。
1959年にはサスペンション以外を簡略化したIDがモンテカルロ・ラリーでトップを切ったことを皮切りに、1960年のチューリップ・ラリーやツール・ド・ベルギーなどで総合優勝を果たしました。その後もDSを含めてラリーで上位の成績を上げて過酷な条件下でも速さと耐久性の高さを証明しました。
1967年にはマイナーチェンジにより、それまで固定式の砲弾型2灯であった前照灯をを包括してガラスカバー付きの4灯式コンビネーションライトとしました。恐らく今回見たDSもこのタイプかと思われます。
改良を繰り返して長期生産されたDSでしたが、シャシや駆動系の設計が古い上に室内のスペース効率も悪く、さらには部品点数、精度管理など生産効率に関する制約が余りにも多かったことから、1970年代に入ると市場競争力の面で不利になっていきました。そして1975年には主力生産を終了し、後継をCXに譲ることとなりました。
発売終了から50年を超えるDSですが、日本で入手するのは非常に困難で価格は500万円を超えるとのこと。しかも入手してからの整備で納期は1年以上かかることがザラだとか。
部品は純正部品の入手はさすがに無理ですが、日本にもサードパーティーの部品を作るメーカーがいくつかあるようでお金の問題さえ無ければ何とかなるようです。(ここが一番の問題だけど…)
お金以外での問題点はルーフおよびトランクが後方へと低く垂下し、テールは細く窄まっていて、日本のナンバープレートが入りきらないことです。後部ナンバー装着にあたっては、ステンレスバンパーを板金して日本仕様のバンパーを用意しナンバープレートを装着しているようです。
発売から70年が経つクルマですが、ハイドロ・ニューマチックシステムによる乗り心地は非常に快適だそうで、機会があれば(多分ないけど...)ぜひ乗ってみたいクルマです。
Posted at 2026/03/22 18:01:55 | |
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