
海外レースに参戦のチームのお手伝いを、フルコン担当者として縁あってご協力させていただきました。
フルコンと言えば事前の研究と準備という地味な作業がほとんどなのですが、どうしても現地での調整が必要な箇所があるので、チームと相談の結果、海外まで同行する事に。
ちなみに、当方は初の海外となります(汗
始めての海外が「クルマ弄り」の為に・・・って相当逝っちゃってると思います。人生初海外はハネムーンとかそーゆーのを期待してたのですが(白目
https://k-carglobal.com/
イベントレース開催主催のK car Globalの公式サイトには、「軽自動車を持ち込んでマレーシアのチームとともに耐久レースさながら24時間後のチェッカーを目指してサーキットを走るイベント」と書かれています。マレーシアのセパンサーキット(過去にF1開催も!)を舞台に、24時間耐久レースごっこという、正気とは思えないイベントです。
日程は2023年11月18日のお昼12時スタート、19日のお昼12時にゴールの正真正銘24時間耐久となります。
当イベントを始めて知った時は、「本当に軽自動車で24時間レースをやるのかよ・・・アホだろ・・・」という感想でした。まさか自分が関わるようになるとは思いませんでしたが(汗
参戦お手伝いの車両はこちら。ホンダトゥデイ。内装を極力残し、タイヤもフツーのネオバで日本のナンバープレート付き車両になります。レース専用に車両を切り刻んだSタイヤ装着の車両が多いので、苦しい戦いになります。しかし仕上がり(車両本体の他、自分の担当のセットアップを含め)には自信があります。
一部の懸念材料を除いてですが。
問題の懸念材料。マレーシアセパンサーキットで支給されるガソリンです。
サーキット併設のガソリンスタンドではなく、ドラム缶による提供のガソリンをつかわなくてはなりません。
つまり、日本で一生懸命セットアップをしても、ガソリン品質が当日まで分からないので、現地で調整が必要になるわけです。
NAとは言え、出力優先の超高圧縮エンジンで挑む場合、致命的な問題となります。
もちろん、マレーシア現地で当日にその事実に気が付いても遅いので、日本で「レギュラーガソリン」を給油したり「激安ノーブランドガソリンスタンド」を利用してみたり「みんな大好き燃料洗浄添加剤」を入れてみたりと、あえてガソリンの品質を落とし、その時にどのようにノックレベルが変化するのか、自分のクルマで実験を積み重ねました。
自分のビートが生贄になっておりますが、得るものは大きかったです。
現地燃料を使った練習走行後に、最終調整の様子。
この為にマレーシアセパンサーキットまで来たと言えます。後はこれまでの事前準備の積み重ねが実になる事を祈るだけです。
自分だけではなく、「それぞれのさまざまな祈り」を込めた車両が、スタート位置へ。K4GPと同じ伝統の仮装によるルマン式です。
フルコンあるあるなのですが、「始動したい時にちゃんと始動するのか?」という不安があるので、スタート時は精神的に本当に追い詰められます。もちろん相当な事前準備と研究をしているので大丈夫だとは思いますが、事が済まない限り心の安静はありません。
既製品である「メーカー純正ECU」を使っているのであれば、こんな心配をする事は無いでしょう。でも既製品は既製品で、出来合いの物ですから。「よくわからないけど売ってる適合する物を探して、使えるうちは使って、古くなって使えなくなったら捨てる。」という単純消費の枠からは永久に抜け出せません。
少しでも「理解」したいのです。
本当に捨てるのですか?修理はできませんか?もっと改善はできませんか?
答えを見つける為に、自分はフルコンをという一つの道を選びました。
スタート後は、自分はドライバーではないので、給油などのお手伝いをしながら過ごします。「スタート前の準備の段階で、9割自分の仕事は終わるだろう、後はレース観戦を楽しむだけ」と思っていたのですが、ゴールするまでは不安に押しつぶされそうでした。
夜のセパンサーキット。そうです、24時間ありますからゴールまで相当な負担が掛かります。写真の夜中の12時に意識朦朧としていましたが、そこからまだ12時間あります。
正気ではなかったです。
ピットで仮眠は取らせていただき何とか凌ぎました。ありがとうございます。途中ピットインもありましたが、サーキットの爆音の中、一切意識が無かったようです。ドライバーはもっと大変だったでしょう・・・恐ろしいです。
ゴール30分前。総合7位クラス4位。
結果としては、ここから順位を一つ上げて「総合6位、クラス4位」という結果になりました。順位近辺の車両が、ドンガラSタイヤという事を加味すると、内装アリのネオバのナンバープレート付きでこの結果は、素晴らしいのではないでしょうか?
日常を楽しむ為の、ストリートカー弄りを愛する自分としては、大変に感動の結果です。
ゴール後のパレードランでの一枚。
ドライバーではない自分は、この時初めてセパンサーキットを一周しました。途中停車してコースを観察。ドライバーの苦労がほんの少しではありますが、分かった気がします。
この時、クルマはズタズタでした。ブレーキは異音を発しますし、タイヤはズタズタで走行に違和感があります。それでも作り手を信じて最後までアクセルペダルを踏み切ったドライバーには大変に感謝です。
帰国へ向けて、片付けの最中に走行データの引き上げ。
LinkG4Xの巨大な内蔵ログ容量のお陰で、記録データとサンプリングレートを吟味する事により長時間のデータログの取得が可能になります。海外での24時間耐久という貴重なログを少しでも無駄にしない為、早々にログデーターを保存します。
フルコンのログデータを扱うと分かるのですが、24時間分のログをじっくり隅々まで見返す事は無いです。人間の判断能力には限界がありますし、ロングタームやLinkの場合ミクスチャーの結果などもありますので、結局は要所要所です。
それでも厳重に保存しておきます。きっと思い出になると思いますので。
記念品に、K car Globalより参加証明書を頂きました。お手伝いという立場ながら、このような物を頂けて大変に感謝です。
また、大事な車両のセットアップを任せて頂いた関係者の方々、本当にありがとうございました。勉強の身であり未熟な自分に託すのは不安だったかと思いますが、今後も精進しますのでよろしくお願いいたします。
セパンサーキットから移動して現在地クアラルンプール。観光を楽しんだら帰国します。戻ったらやりたい作業が渋滞していますけど、少しの間休憩です。
Posted at 2023/11/21 03:26:27 | |
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