龍神岳の樹氷(その1)
投稿日 : 2015年01月19日
1
7:30に護摩山スカイタワーに到着。
風はごうごうとうなりを上げているが、天気がよくて視界良好。
7:45に先月と同じように、ごまさんスカイタワーの裏から遊歩道を登り始めた。
わたしがアルト滑りを楽しんでいる間に、来る途中で追い越した“なにわ”ナンバーのエクストレイルが先に駐車場に着き、遊歩道の入り口では50代ぐらいのご夫婦が先いたけれど、スノーシューの装着に手間取っていたので先を歩かせてもらった。
2
護摩壇山までの上り坂は、先月は遊歩道に設けられた階段の段数がわかるぐらいの深さで積もっていたけれど、今月は完全に埋もれて、ただの斜面になっている。
それでも、つぼ足で歩いた跡があり、あまり深く沈まずに歩けていた様子だ。
表面にさらっと積もった新雪の下は、氷のように硬く締まった雪が隠れていて、トレッキングポールを突き立てれば体重を支えるのに十分な手応えがある。
寒い日の粉雪ならば風で飛ばされてしまうぐらい強い風が吹き付ける尾根なので、なかなか雪は積もらない一方、暖かい日の日中は山頂付近でも5℃ぐらいまで気温が上がるらしいから、いったん積もった湿雪が溶けたり固まったりを繰り返して根雪になっているのだろう。
徐々に勾配がきつくなる斜面を、足ひとつ分ぐらいずつの小さい歩幅できざみ、「あっちゃーふん、あっちゃーふん」と昔懐かしいテレビコマーシャルのリズムで黙々と歩く。
あんまり大きく歩幅をとって欲張ると、いかに鉄の爪が付いたスノーシューでもずるっと滑ってエネルギー効率が悪いのである。
スノーシューを付けた足を持ち上げるのもしんどいしね。
地道な歩行に飽きてきたら、疾走感たっぷりの歌でも歌ってモチベーションを保つ。
きっみーにっ みっせーたっいんだあ~♪
こっのーむっこおーがっわーにっあるもっのを~♪
『向かい風』という歌を大口開けて歌ってたら、体感温度マイナス15度の向かい風が口いっぱいに吹き込んで咽せた。
3
8:15、護摩壇山の山頂に到着。
頂部の風下に吹きだまりができて、前回訪れたときとは全く様子が変わっている。
護摩焚きの段木を模したモニュメントがずいぶんと低くなってしまった。
休むことなく護摩壇山を通過して、龍神岳の山頂へ足を進める。
先ほどまでのつぼ足で歩いた足跡は、10mほど歩いた辺りで引き返している。
駐車場に着いたとき、CR-Vに乗った、わたしと同じぐらいの歳のおじさんがカメラを持ってうろうろしていたから、きっとこの足跡の持ち主だろう。
ここからの道は東西に延びる尾根の頂点よりほんの少し南側で、北から吹く風が巻き込んで雪が深い吹きだまりになるのである。
先月のわたしのパターンと似たような行動だが、先月よりもずっと深い。
雪に埋もれた立木の枝の高さから想像するに、わたしの胸の高さぐらいまでは積もっているだろうか。
下の方が硬く締まっているとは言え、つぼ足だったら膝より深く沈むことだろう。
さすがにわたしも、冬将軍が絶好調のこの時期にスノーシューを用意しないで登ってくるほどの勇気はない。
4
いったん緩やかに下る尾根道を、バッフバッフとスノーシューで雪面を叩きながら歩くと、チリチリと氷霧のような粒が頬に当たる。
見上げると、薄い雲がものすごい速度でぐんぐんと南に流れていく。
今歩いてる尾根の北側斜面から吹き上がる上昇気流でできたばかりの雲だろう。
空の様子はめまぐるしく変わり、まぶしく日が差して青い空が顔をのぞかせたと思ったら、次の瞬間には氷の粒を降らせる雲が辺りを暗くする。
馬の背を過ぎて登りに転じると雪の深さがさらに増し、相対的に低くなった木の枝が行く手を阻む。
時折四つん這いになって枝をくぐりながら進むが、うっかりリュックを引っかけてしまうと、枝はとても脆く折れてしまう。
枝に引っかかって帽子も脱げる。
濃緑色の毛糸の帽子に、先ほどから吹き付ける氷の粒がびっしりとくっついて真っ白になってしまっていた。
5
尾根の風下には雪庇もできる。
アニメによくあるネタだと、上に乗ってしまって、ぼこっと崩れて落っこちるパターンのヤツ。
最近だと『アナ雪』で見たな。
ここはマンガみたいな大きな雪庇にはなっていないので、崩して踏み外しても転がり落ちるだけで、すぐにブナの林で受け止められるだろうれど、ふかふかに積もった雪庇をよじ登って道に戻るのは相当な体力を食われるに違いない。
トレッキングポールの手応えを頼りに、雪庇に近づかないようにして歩く。
ポールを刺してザクッと手応えがあるうちは大丈夫。
スルーッとなんの手応えもなく、刺さってしまったらそれより風下は踏まない。
どうにも歩けないところに出くわすと、遊歩道を外れて風上の斜面に迂回する。
風上の斜面は雪が吹き飛んで根雪が露出し、スノーシューの爪がカリカリと音を立てるぐらいに硬いのだけど、傾斜がきついし、中途半端に茂った灌木をかき分けながら進まなければならないので、これまた歩きにくいのである。
雪が深くてヤバそうなところの距離を目測していったん道から外れて迂回し、頃合いを見て道に戻った。
6
樹氷で真っ白になったミツバツツジたんの冬芽。
写真を撮りながらゆっくりと登っていると、登り口にいたご夫婦の声が近づいてきた。
山頂の電波塔が見えてきて、あと数十メートルも歩けば山頂だ。
つづく
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